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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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戦闘準備

1ヶ月が経過した。

「ダンコル」の事務所と「光の洞窟」は簡易の転移スポットでつながっているので、夜間は自宅に帰れるし、休日もあるので、その辺は嬉しい。ゴブリン達も訓練に慣れてきたみたいで、動きも洗練されていた。骸骨騎士様ロンメルさんも褒めていた。


「ゴブリンは集団行動が得意な種族なのかもしれんな。短期間でここまでの練度が上がる部隊はオルマン帝国にもそうそうおらんだろう」


ヘンリーさんも同意見のようだった。


「そうですね。武器や拠点づくりもドワーフ達ほどではないですが、時間を掛ければそれなりのものを作れるようになりました。それに指揮官が育ったのも大きいですね」


指揮官というのは、元々ゴブリンの集落をまとめていたゴブタンという壮年の男性で、冷静で賢く、信頼も厚い人物だ。今も行軍訓練の指揮をしているが、ゴブタンさんの号令に併せて、部隊が隊形を変えたりしながら、統制の取れた動きをしていた。

また、バリスタと呼ばれる据え置き式の大型弩砲に、ある程度移動ができるように車輪を装着したものや投石器などの大型武器の扱いも慣れてきたみたいだった。


「そろそろ、実戦訓練してもいいかもしれませんね。それにデータも取りたいですし」


ヘンリーさんの提案にみんなが同意した。

実戦訓練というのは、実際にミスリルリザードと戦ってみることだ。討伐が目的ではないので、心配はないという。私はというと回復ポーションをせっせと作っていた。ある程度の怪我人が出ることは想定しているので、期日までに必要数を確保しなければならない。初級のポーションであれば、私でも作れるということで、キョウカ様からツンデレ指導を受け、なんとか合格と言われる品質にすることができた。

就職してから、様々なスキルが身に付いたと思う。燻製肉やクッキーなどの保存食から初級ポーションまで今では作ることができる。これなら将来雑貨屋も開けそうだ。



そして、いよいよミスリルリザードとの対戦に臨む。

今回は遠距離攻撃主体で行う。目的はゴブリン軍の練度の確認、ミスリルリザードの弱点や行動パターンの分析がメインだ。これに併せて、ウメック先生以下のセントラルハイツ学園の教授陣もやってきた。分析と大型武器の性能チェックのためだ。


出陣の前、管理者様ことネロスさんが訓示を述べる。


「諸君!!ここまで厳しい訓練によく耐えた。練度も上がり、実力もついた。少し小手調べといこうではないか!!今回の目的は討伐ではない。自分達がどこまでできるかを見定めるためだ。安全第一で、くれぐれも怪我をしないように」


隊列を整え、それぞれが任務の確認を行い、準備ができたところで、ミスリルリザードの待つ10階層に向かう。

ミスリルリザードは体長10メートルほどの大きなトカゲで、長い尻尾を持ち、全身をミスリルの鱗で覆われている。見た感じ、防御力はかなり高そうだ。


「それでは予定通りに行きましょう。部隊の指揮はゴブリン族の代表ゴブタン殿、ゴブタン殿の補助をロンメル殿、弓兵と魔法部隊の指導をミルカ様でお願いします。セントラルハイツ学園の皆さんは専門分野の分析をしてください。私はDPダンジョンポイントの消費量などを解析します」


緊張感が漂う中、ゴブタンさんが指示を出す。


「投石部隊、バリスタ部隊、一斉射撃!!」


投石から巨大な岩とバリスタから通常よりも大きな矢が打ち出される。全弾命中とは行かなかったが、8割くらいはミスリルリザードにヒットした。


「グエア!!」


ミスリルリザードは叫ぶ。攻撃は効いているようだが、自動回復スキルで傷がどんどん塞がっていく。ヘンリーさんが呟く。


「自動回復スキルは厄介ですね。それにDPの消費量が尋常ではない。この辺も対策しないと・・・」


ゴブタンさんが指示を出す。


「バリスタ部隊、投石部隊は下がれ!!魔法部隊は火、土、水、風、電撃の順番で魔法を放て!!」


魔法部隊が順番に魔法を放っていった。ゴブリンの中でもそれなりに魔法が得意な者もいる。1000年以上生きてるハイエルフ様から指導されたので、短期間で一番上達した部隊かもしれない。

指導したミルカ様が分析する。


「セントラルハイツ学園の教授さんの仮説どおり、電撃の魔法が一番効果が高いですね。これからは電撃魔法中心で訓練しましょう。それと結界魔法の効果も調べないと」


ミスリルリザードも何もしてこないわけではない。攻撃パターンは接近しての直接攻撃かミスリルの弾丸を飛ばしてくるかだ。ミスリルリザードは私達が大部隊と分かり、ミスリルの弾丸を撃ち出してきた。再びゴブタンさんが指示をする。


「結界魔法発動!!近接部隊は楯で防御!!」


凄い威力だった。結界魔法を何重にもかけていたが、ほとんどが破壊された。近接部隊は酷い有様で、楯はボロボロ、骨折などの重傷者も20名は出てしまった。骸骨騎士様ロンメルさんは言う。


「近接部隊は今のままでは歯が立たんな!!ちょっと我が遊んでやろう」


骸骨騎士様ロンメルさんはミスリルリザードに進み出て、剣で攻撃し始めた。


「動きはそれ程早くはないが、問題は自動回復スキルだな。それに防御力は高い。特殊部隊の隊長が言っていたように人数を掛けて力押しが確実だな・・・」


しばらくして、骸骨騎士様ロンメルさんが前足を1本切り落とした。やっぱり骸骨騎士様ロンメルさんは凄い。ゴブリン達からも歓声が上がる。このままこの人だけで勝てるのではと思っていたが、ヘンリーさんが止める。


「ロンメル殿!!引いてください!!DPが持ちません。それに必要なデータは揃いました!!」


「了解した」


そして、ゴブタンさんの指揮の元、整然と撤退した。私はというと回復魔法が使えるゴブリン達とともに拠点で治療をしていた。重症といっても幸い、私のポーションで治るくらいだった。私が作れるポーションは治せて骨折までだ。四肢の欠損などは治せない。それが作れれば、それだけで大金持ちだけどね。


ゴブリン達とは、拠点で分かれ、私達はマスタールームに移動する。ウメック先生以下の教授陣も「忙しいから帰る」と言ってセントラルハイツ学園に戻っていった。ミランダ社長を除く「ダンコル」のメンバーとマルクスさん一家とで、データを基に今後のことについて協議を始める。最初に発言したのは骸骨騎士様ロンメルさんだった。


「近接部隊は今の装備では歯が立たんな。減らすか、装備を整えないとな。それよりも弓兵と魔法兵に人員を回すほうがいいと思うぞ。我々だけで討伐するとなるとゴブリンにかなりの犠牲が出てしまう・・・」


次にミルカ様が発言する。


「今後訓練では電撃魔法を中心に訓練をします。ミスリルの弾丸は結界魔法でもある程度は防げますが、それよりも攻撃したらすぐ撤退の方がいいのではと思います。弓兵についてですが、通常の矢では攻撃が通りません。鏃に電撃魔法を付与したものを使えば効果があると思うのですが・・・・」


ヘンリーさんも発言する。


「私としては、ダンジョンからのDP回収を阻害することを中心にやっていきます。今のままでは討伐より先にダンジョンが崩壊してしまいます。今後はネロスさんと一緒にやろうと思います。よろしいでしょうか?」


これにはみんなが同意する。ミスリルリザードはダンジョンからDPを吸い取ってスキルを使用している。ヘンリーさんの話ではこのDP回収を阻害できれば、自動回復は遅くなるし、ミスリルの弾丸を撃ち出してから次に撃ち出すまでの期間が長くなる。専門用語でいえば、クールタイムが長くなるということだ。

えっと、私は何をしようかな?発言しないと・・・と思っていたところにミランダ社長がひょっこりやって来た。


「ごめんね、遅くなって。知り合いの勇者マニアがこれがまた話が長いんだわ。でもちゃんと勇者パーティーの情報を仕入れてきたよ」

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