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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第三章 対決!!勇者パーティー

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進め!!ゴブリン軍

結局、キョウカ様の意見が採用され、ゴブリン達を鍛えることになった。ヘンリーさんが説明してくれる。


「キョウカ様の御意見は的確で、本質を突いています」


キョウカ様はドヤ顔で私を見ている。ちょっと腹立たしい。


「理由はいくつかあります。まず、すべて私達で今回の問題を解決したならば、ゴブリン達は今後危機があっても、すべて誰かが解決してくれると思ってしまい、良くないと思います。それに今後、ノーザニア王国が6階層以下に探索隊を進めてくる可能性が非常に高く、そのためにもある程度の軍事力を持っておいた方がいいと考えます。キョウカ様のご意見はそこまで考えてのことではないのでしょうか?」


(さらっとキョウカ様を持ち上げるあたりは流石としか言いようがない)


「そ、そうですわね。満点ではないですが・・・合格としておきましょう」


(多分、思いつきで言っただけなんでしょうね。ここでもツンデレ)


そんなとき、ネロスさんが口を開いた。


「ゴブリン達だけで討伐なんて、できるわけないでしょ!!一回騙されたから分かります。あなた達も騙すつもりなんじゃ・・・」


この発言に骸骨騎士様ロンメルさんが激怒した。


「元はと言えばお主が原因であろう。根性を叩き直すのはゴブリンだけでなく、お主もだ!!」


ということで、ネロスさんも地獄の訓練に強制参加となった。

そこで、ネロスさんを通じて、ゴブリン達と接触する。交渉はスムーズにいった。


と言うのもゴブリン達は伝承で、管理者様という神様に近い存在を信仰していた。今回もネロスさんがゴブリン達を事前に避難させたことで、ネロスさんを管理者様と勘違いしていた。

種明かしをすれば、困っているゴブリン達を代々のダンジョンマスターが助けていただけなのだが・・・。

ヘンリーさんは言う。


「これを利用しない手はないですね」


ネロスさんには管理者様を演じてもらうことになった。演技指導はキョウカ様が行った。


「ゴブリン達よ!!聞いてください!!」


「違います!!もっと尊大に上から目線で、そして見下すように・・・・」


どうかと思う指導だったが、それなりに様になった。


そして、9階層に全ゴブリンを集めて演説を行う。総勢1000人程だ。単純計算しても、毎日DPが24万ポイント(滞在ポイント10ポイント×24時間×1000人)回収できる。これに自生している魔物などを入れると、結構裕福なダンジョンだ。それを一代で・・・・、ネロスさんはとんだ馬鹿息子だ。

でもやるときはやる。演説前は「緊張で吐きそう」と言っていたけど、結構感動する演説だった。


「よく聞けゴブリン達よ!!我が管理者である!!」


ゴブリン達から大歓声が上がる。


「今現在、我々は未曽有の危機の中にいる。諸君らも知ってる通り、敵は憎きミスリルリザードだ!!」


(元はと言えばあなたが騙されて買ったんでしょ)


「危機はそれだけではない!!これから数々の困難が待ち受けている」


ゴブリン達が青ざめたりして、不安になり、悲鳴を上げる者もいる。


「しかし、君たちは強い!!絶対に生き残れる。そのための策も用意した。つらく厳しい戦いになるだろう。だがこれだけは言える。我々は生き残る!!これはゴブリンの誇りと名誉を掛けた戦いだ!!」


再び、大歓声が起きる。この演説のおかげで、訓練はスムーズに実施することができた。後から聞いた話だと演説の原稿はヘンリーさんが書いたみたいだ。キョウカ様が書いた原稿を読ませてもらったが見るに堪えないものだった。さわりだけだが・・・・


「このクズが!!死ね!!言われた通りにしろ!!お仕置きしてやろうか・・・・」





ということで、訓練を含めたゴブリン改造計画が動き出した。訓練担当はもちろん骸骨騎士様ロンメルさんだ。さすが大将軍だっただけはある。ここでもゴブリン達に「教官」と呼ばれて慕われていた。それとネロスさんも訓練に参加して、一生懸命に頑張っていた。ネロスさんは私達と同じダンジョン経営学部卒で、学生時代は戦闘術サークルに入っていたみたいで、そこそこの腕前だった。冒険者ランクで言えばB~Cランク、なので、ほとんど素人のゴブリンからしたら達人に見えてしまう。


「管理者様は凄い方だったのか!!」

「俺達と同じ訓練をして、苦労を分かち合おうとしてくれてる」

「管理者様を信じて良かった」


とカリスマ性が上がっていた。ただ、骸骨騎士様ロンメルさんにフルボッコにされているのを見たゴブリン達は


「管理者様をいとも簡単に・・・あの方は、軍神様だ!!」

「そうだ軍神様だ!!ありがたや、ありがたや」


とか言って、骸骨騎士様ロンメルさんを神様扱いしていた。本当は骸骨様なんだけど。


他の「ダンコル」のメンバーもそれぞれ任務に就いている。ミルカ様が弓兵の訓練補助をしている。今回はスパルタではなく、丁寧に優しく教えていた。弓兵は女性ゴブリンが多くいたのもあって、和気あいあいとしていた。


ヘンリーさんは作戦の立案と砦や拠点づくりを指導していた。多分完璧に仕事をこなすんだろう。ミランダ社長は勇者パーティーやノーザニア王国の情勢を調査をしてくると言ってダンジョンから離れた。様々な肩書があり、伝手も多そうなので適任だろう。


私はというと非戦闘員、特に女性や子供、老人達を集めて、長期戦になってもいいように保存食を作っている。私が燻製肉や干し肉などの作り方を指導していたが、ゴブリン達からも薬草茶やドライフルーツの作り方を学び、新たなスキルも得た。ヘンリーさんや骸骨騎士様ロンメルさんが言うには「兵站(補給)が戦争では一番重要」と言っていたので、私は重要な役割を担っていると感じて、やる気に満ち溢れていた。


キョウカ様はというと、ふらっと姿を消してしまった。みんな頑張っているのに・・・今度帰ってきたら文句の一つでも言ってやろう。そう思っていたが、実は重要な仕事をしてくれていた。ダンジョンからいなくなって3日後、セントラルハイツ学園のウメック先生とエルフの教授、ドワーフの集団を連れて帰って来た。

ウメック先生は言う。


「キョウカが急に来てね。『私の為に働ける、誇り高い仕事があるけど、絶対きますわよね』とか言ってきてね。事情を聞いて、適任の奴を連れて来たのさ。こっちのエルフがミスリルリザードに詳しい魔物学者で、こっちのドワーフ達が武器や拠点建設の専門家だ。キョウカももう少し、素直に頼めばいいのにね」


これには骸骨騎士様ロンメルさんが大喜びした。


「ミスリルリザードの弱点も分かるし、大型の武器も作れる。作戦の幅も広がる。流石はキョウカ殿だ!!」


やっぱりキョウカ様はドヤ顔をしていた。


「ダンコル」としてはキョウカ様を特別顧問にしたのは、幸運だったのかもしれない、虐められる私を除いては・・・・。


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