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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第二章 新人コンサルタント

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ウサギ奴隷 捕まる

私は白装束の男達に捕まり、目隠しをされて白装束集団のアジトに連れてこられた。

やってしまった!!奴隷の振りではなく、下手すると本当の奴隷にされるかもしれない。「兎人ではなく、実は魔族です」と言ったところで、状況は変わらないだろう。だって彼らは人間族以外の殲滅を謳っている過激派なのだから・・・・。


アジトでは、牢屋のようなところに入れられた。私の他にも多くの女性や子供が収容されていた。私は落ち込んで塞ぎ込んでいたところ、10歳位のリザードマンの少女に声を掛けられた。


「ウサギのお姉ちゃん。元気を出して!!私のお父さんはAランク冒険者だから強いのよ。絶対に助けにきてくれるんだから・・・」


リザードマンは、トカゲのような顔つきなので、魔物と間違えられることも多いが、一応獣人ということになっている。始まりの洞窟には湖のエリアがあり、水中活動が得意なリザードマンの冒険者が多くバージニアに住んでいるそうだ。

(こんな小さな子が気丈に振舞って・・・。私もできることはしよう)


私にできることはヘンリーさん達に知らせることだけだ。ヘンリーさんがきっと何とかしてくれる。私は奥の手を使うことにする。これは使いたくなかったけど・・・。でも状況が状況だ。私は大声で叫ぶ。


「お姉様!!哀れで間抜けなアバズレ・ウソツキ・クソビッチをどうかお助けください!!」


過激派の牢番はおろか、一緒に捕まっている獣人達にも白い目で見られる。牢番に怒鳴られた。


「静かにしろ!!このクソウサギ!!」


これで、落ち込んではいけない。実は私が首に付けている首輪は超高性能の魔道具で、大声で「お姉様!!哀れで間抜けなアバズレ・ウソツキ・クソビッチをどうかお助けください!!」と叫べば、キョウカ様かミルカ様に念話がつながり、私の現在地も正確に分かるそうだ。

ただ、発動条件が恥ずかしすぎる・・・。

しばらくして、ミルカ様から念話があった。


(ミルカです。後2時間もすれば救出できます。そこに収容されている人数と大まかな過激派の配置状況を教えてください)


(えっ?ミルカ様?なぜ?)


(詳しいことは私の質問の後です)


私がミルカ様の質問に答え終わると状況を教えてくれた。実は、私が兎人の奴隷にされたのは作戦だったらしい。初めから、過激派のせいでダンジョンに潜る亜人や獣人が減っているとの情報は掴んでいたそうだ。問題は過激派のアジトがどこかということだった。なので私を囮に使って、アジトを突き止めたというわけだ。

ミルカ様と骸骨騎士様ロンメルさんは、気付かれないように私を尾行していて、ヘンリーさん達は地元の冒険者とともにアジトを包囲しているとのことだった。


ミルカ様がキョウカ様と一緒に行動しないのを不思議に思っていたのだが、こういう理由があったのか・・・。また私だけ除け者にして・・・・。


しばらくして、ドーンという壁が壊れる音が聞こえてきた。救出隊が来たのだ。アジトの壁をぶち抜いて助けに来たのはリザードマンの一団だった。その中のリーダ格の屈強な男にリザードマンの少女が抱き着く。


「お父さん!!会いたかった!!」


「よしよし。もう大丈夫だ」


親子の感動の再会だ。私はその光景を微笑ましく見守って1たのだが、少女の父親が近寄ってきて、私に跪いた。


「勇敢な兎人の方、お礼を言っても言い切れない。本当にありがとう!!娘を助けられたのはあなたのおかげだ!!」


「はっ、はい・・・いえいえ」


(どういうことだろうか?)


事情を聞いたところ、私は獣人達の状況を不憫に思い、わざわざ奴隷の恰好をして、ワザと誘拐されてアジトを突き止めたという話だった。

リザードマン親子の後も、エルフの冒険者やドワーフの冒険者、虎獣人の冒険者に次々とお礼を言われた。少し胸を張って答えた。


「まあ、同じ獣人として当然のことをしたまでですよ!!」


(お馬鹿さん!!調子に乗るんじゃありませんよ!!)


念話でキョウカ様に叱られた・・・・。



そして一夜明け、私達は冒険者ギルドにいる。私達の真の目的は過激派に囚われた獣人達を救出することではなく、A-2ダンジョン(始まりの洞窟)の入場者数を回復させるためにある。現在は、ミランダ社長がギルドマスターと話している。


「申し遅れましたが、私はミランダ・マース。しがないダンジョン研究者です。これでもセントラルハイツ学園の博士号を持っております」


「当ギルドのダンジョンマスターのグスタフです。この度は獣人達を救出していただき、本当にありがとうございました。ところでどうしてこちらへ?」


ミランダ社長は言う。


「ダンジョンの調査です。その途中で、今回の事件があり、私達のパーティーにはエルフも獣人もいるので、他人事と思えなかったのです。始まりの洞窟では、特異な現象が起こったとか?」


「その通りです。こちらとしてもどうしていいのか、対応に苦慮しています」


「そうなのですね。私の研究では、そう言った特異現象があった後に貴重な素材が採取できるとの研究データもあります。なので、一度詳しく調査させてください。湖エリアを中心に調査をしようと思いますので、水中活動の特異な冒険者を紹介願えませんか?」


あながち間違いではない。実際ダンジョンに新しく階層を追加したり、新素材を発現させたり、出現する魔物の種類を変更したりするときは、いくら気を付けていたとしてもヒューマンエラーが起きやすい。私程酷いのは稀だろうけど。


「しかしですね。特異現象があってから、潜る冒険者の数は減っています。特に特異現象があった湖エリアと鉱山エリアについては、今も立ち入り禁止にしているんですよ」


ダンジョン自体の立ち入り禁止は解けたが、問題のあったエリアは未だに立ち入り禁止だという。


「調査に協力して、早く立入禁止を解除したいのですけど、協力してくれる冒険者がいるかどうか・・・。みんな我が身が可愛いですからね」


そんなとき、大きな声がした。リザードマンの少女の父親だ。


「おいギルマス!!この方達は娘の命の恩人だ!!その方達に恩返しできる機会を奪うな。ここで何もしなければ、バージニアの冒険者の名が廃るぜ」


それからは、話がうまく進んだ。リザードマン達が調査に協力してくれることになった。

早速、私達はA-2ダンジョン(始まりの洞窟)にリザードマン達と向かうことになる。








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