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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第二章 新人コンサルタント

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他の要因

辛い・・・、冒険者とはかくも過酷なものなのだろうか?


私はオルマン帝国の「試練の塔」から西に約3日の距離にあるミスタリアグループのA-2ダンジョンを目指して街道を進んでいる。もちろん私一人ではない。ヘンリーさん、ミランダ社長、それにキョウカ様もいる。なぜこのメンバーで冒険者みたいにパーティーを組んで移動しているかというとA-2ダンジョンの調査のためだ。


DP横領事件からしばらくしてもA-2ダンジョンの業績が回復しないのだ。ラッセルさんからの依頼で原因を究明して欲しいとのことだった。A-2ダンジョンのサブマスターはミーナだし、父親として心配なのだろう。

ではなぜ、キョウカ様まで連れて、街道を進んでいるかというと、まずミランダ社長が「ダンジョン周辺だけ調べたんじゃ駄目だ、周辺の町や環境も調査しないと」と言い出し、ちょうどそのころ、キョウカ様も「外の世界を旅してみたい、新婚旅行に行ったミルカさんが羨ましい」と言い出したので、だったらA-2ダンジョンの調査隊にキョウカ様が臨時で入ればいいのではという話になった。そしてどうせなら「試練の塔」からA-2ダンジョンまで徒歩で向かおうということになって今に至っている。


ミルカ様の話では、キョウカ様はワクワクしすぎて、前日は一睡もしてないみたいだ。


まあ、そんなわけで街道を進んでいるのだが、既に魔物に3回、盗賊に1回襲われている。

しかし、私を除く3人が馬鹿みたいに強い。ヘンリーさんは言わずもがな、ミランダ社長もヘンリーさんと同じ魔巧流の免許皆伝の実力を持つ魔法剣士で、キョウカ様はなんと素手での攻撃がメインで、魔物や盗賊を拳一つでノックアウトしていった。

過剰戦力というやつだ。


キョウカ様の話によると、ハイエルフの中には、拳一つで戦う者も多いという。エルフというと弓と魔法というイメージがあるがそうではないらしい。


「今のエルフは弓と魔法がメインになっちゃたけど、たまに魔法も弓も不得意で近接攻撃が得意な子が生まれるの。その子達は虐められたりするんだけど、実は先祖返りと言って素晴らしい能力の持ち主なのよ。もしそんな子を虐めていたら、私がお仕置きをしてあげるんだけど」


それとキョウカ様は魔力量が莫大に多いので、魔力を抑える魔道具を3つも付けている。


そんな中、私は戦闘中はすることがない。倒した魔物の素材採取や食事のお世話、荷物運びくらいしかしていない。それは仕方がない。私の実力は贔屓目に見ても冒険者ランクC~Dランク、他の3人は間違いなくAランク以上で、キョウカ様ならSランク冒険者でも勝てないだろう。


「ナタリーは戦力的に差が有り過ぎるわね。何なら奴隷にしませんか?」


キョウカ様が提案してきた。もちろん断ってくれると思ったが、社長とヘンリーさんは同意してしまった。


「いい考えですね。どうせなら獣人奴隷にしましょう。えっとそうだこのウサ耳バンド付けて・・・」


「じゃあいつも着けている首輪を着けて、えっと・・・名前は・・・ミミリンはどう?」


残念なことに兎人の奴隷、ミミリンとして活動することになってしまった。


そして、出発から3日後A-2ダンジョンの直近の町、バージニアに入った。

ここで私とミランダ社長とヘンリーさんは擬態魔法を使うことになった。魔族はこの地方ではほとんど見かけず、注目を浴びてしまうからだ。

因みにキョウカ様はそのままだ。ハイエルフとエルフは区別がつきにくく、エルフであれば、それなりに人族領にもいるので、人目を引くことはない。


しかし、実際は予想外に人目を引いてしまう。それも敵意に満ち溢れた目だ。理由はいわゆるハーレムパーティーだと思われているからだろう。「綺麗な女を3人も引き連れて!!殺す!!」みたいな感じだ。

(ヘンリーさんも人から理不尽に恨まれることを経験すればいいんだ!!)


バージニアでは、宿を取り、情報を集める。冒険者ギルドや酒場だけでなく、商店や教会などからも幅広く情報を集める。個別で情報を収集したほうが効率がいいとのことで、私は商店で必要な物品を買う振りをしながらそれとなくA-2ダンジョンのことを聞く。


「最近は「始まりの洞窟」に潜る冒険者が減って来たんで、こっちも売り上げが落ちて大変だよ」


「始まりの洞窟?」


「町の東にあるダンジョンをそう呼ぶんだよ・・・」


店主が言うには、A-2ダンジョンは、この町では「始まりの洞窟」と呼ばれているらしい。

名前の由来は、この町が発展したのはダンジョンのおかげだという。時の領主が、ダンジョンを最大限活用した領政を行い、発展したとのことだった。なので、この町バージニアができたのもダンジョンのおかげである。それで町の人は敬意を込めて「始まりの洞窟」と呼ばれるようになったそうだ。

余談だが、人族に名前を付けられて始めて、一角のダンジョンとして認められることになる。「試練の塔」なんて、まさにその名のとおりだ。


「始まりの洞窟は地元の方に愛されてるんですね。なんで潜る人が減ったんですか?」


「過激派だ・・・。お嬢ちゃんもすぐに離れたほうがいい。獣人の奴隷なんて、いいカモだ・・・」


店主の説明では、聖母教会に過激派いう宗派があるそうだ。聖母教会は正式に認めていないが、人間族以外のエルフやドワーフなどの亜人や獣人、魔族を徹底的に迫害しようという教義を持ち、過激なテロ行為をするらしい。

その過激派がバージニアで、活動を活発化させ、亜人や獣人の誘拐事件が多発しているようだ。


「捕まったら大変な目に遭うそうだ。だから、家族持ちの獣人なんかは町を離れることを考え始めている。領主様も対応に苦慮しているみたいだし・・・。それに「始まりの洞窟」も異常現象があってしばらく立ち入り禁止だった影響で、この町を離れようという奴も多くいるってわけさ・・・」


過激派はともかくとして、ダンジョンの異常現象は私のせいだ。私は、携帯食料やポーションなどの資材を購入し、宿に戻ることにする。

しばらく歩いたところで、5人組の全身白装束で覆面をした集団に囲まれた。そして背中にナイフを突きつけられた。


「奴隷のウサギさん。俺達に大人しく付いてきてもらおうか?」


私は過激派に誘拐されてしまった。

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