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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第二章 新人コンサルタント

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再びの試練

第二章がスタートです。


一応は就職が決まり、すぐに卒業を迎えた。大規模な卒業パーティーがあったが出席はしなかった。というかできなかった。多分何かされると思ったからだ。卒業までは引きこもり、自宅で図書館で借りてきたミランダ社長の本を読んで、のんびり過ごした。

たまにミーナが訪ねて来てくれたので、寂しくはなかった。


そして今日、初めて出勤する。緊張を胸に事務所に入る。ミランダ社長が出迎えてくれた。


「来てくれてありがとう。もう一人採用してるんだけど、かなり優秀だったから、1ヶ月前から出勤してもらっているんだよ。それに社長権限で副社長にしたんだ」


「副社長って?」


「まあ3人しかいないからね」


(それは少し不安だ。もう一人がいい人なら助かるな・・・)


そう思っていたところ、男性が一人入って来た。


「社長。ミスタリアグループとの顧問契約が取れました」


(あれ?ヘンリーさんだ!!)


「よくやってくれた!!みんな揃ったから今後のことをゆっくりと話し合おう」


ミランダ社長がそう言ったので、私はハーブティーと持ってきたクッキーをテーブルに並べた。


「お茶もクッキーも美味しいね。ナタリーちゃんにも役職を考えよう。とりあえず・・・お茶係で」


それはどうかと思う。


「冗談は置いておいて、二人は顔見知りのようだから自己紹介は省くよ」


「あの!!ヘンリーさんはダンジョン協会本部に就職して、エリートコースを歩むはずなのに何でこんなところに?」


「こんなところって言うのはちょっと酷いね。ヘンリー君、説明してあげたら?」


「分かりました。実はダンジョン協会本部の就職の内定は取り消しになってしまったんだ・・・・」


ヘンリーさんは説明を始める。

取り消しになった理由は、「試練の塔」での研修にあるという。ヘンリーさんが示した解決案のとおりに改革した「試練の塔」はDPダンジョンポイントの納入額を減らして、DPによる美術品の購入も止めた。

ダンジョン協会からすると年間で10億ポイント近いDPが突如として無くなってしまった。それも永久にだ。ダンジョン協会はすぐに「試練の塔」に人員を派遣し、以前と同様にDPを納めて欲しいと頼み込んできたが、ミルカ様が撥ね付けたそうだ。

そして、ダンジョン協会で調査した結果、研修生のヘンリーさんが原因と分かり、ヘンリーさんから事情を聞くことにした。ヘンリーさんは理路整然と自分がやった改革について説明したらしいのだが、激怒されて就職の内定は取り消しになったということらしい。


「そんなときに図書館でミランダ社長とたまたま出会ってね。事情を話したら、ここで雇ってもらうことになったんだよ。君が出勤して来るまでは社長と二人で事前に動いていたのさ」


(そういう事情だったのか。ヘンリーさんを手放すなんて、ダンジョン協会は後悔するだろうな)


「お互い事情が分かったところで、仕事の話といこう。まず私達の業務内容だけど、ダンジョンの様々な問題を解決することにある。自分達では解決できない問題を私達が解決するんだ。今のところ2件のダンジョンから顧問契約を取り付けている。一つは大手ダンジョンチェーンのミスタリアグループだよ。君達が研修したダンジョンだ」


会長のラッセルさんは、ヘンリーさんを高く評価していたので、ヘンリーさんがいるなら契約してくれるかもしれない。


「もう一つは・・・行けば分かるかよ。これからもう一つのダンジョンに3人で向かおうと思う。しばらく泊まり込みになるけど、ナタリーちゃんは大丈夫?」


「それは大丈夫です」


そこから、相手先のダンジョンに向かう準備をした。そして、事務所に設置してある転移スポットから転移する。社長の話では事務所は置かなくてもいいと思っていたらしいが、転移スポットを設置したほうが都合がいいので、事務所を置くことにしたらしい。


転移スポットで転移した先はなんと「試練の塔」のマスタールームだった。ミルカ様が出迎えてくれる。


「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」


ミルカ様が私達を謁見の間に案内してくれた。謁見の間は以前よりもすっきりした感じで、玉座に座っているキョウカ様のドレスも落ち着いた物になっていた。


「この度は我々「ダンコル」と正式に顧問契約していただきましてありがとうございます。社長のミランダ・マースでございます」


このとき私は初めて自分が勤務する会社名を知った。「ダンコル」はダンジョンコンサルタントを略しただけみたいだけど・・・。


「キョウカ様、わが社のコンサルタントを紹介します。こちらがヘンリーで、こちらが・・・・」


「もういいわ。ミルカさんが勝手に契約しただけだから私には関係ないし・・・急にそんな・・・忙しいから私は・・・」


そういうとキョウカ様は立ち去ってしまった。

ミルカ様が私に事情を説明してくれた。


「姉には内緒でミランダさんとヘンリーさんと協議しながら話を進めてきました。正式契約する前からダンジョンの改革に取り掛かってくれていました」


キョウカ様は、私達が研修を終えてダンジョンを離れてから、1日に1回は私のことを話題にしていたようだった。


『あのお馬鹿さんは、何もできないのに・・・・。そうだ、ちょっと虐めに行こうと思うのだけど』


『さすがにそれはお止めください』


多分寂しかったのだろう。そんな時「ダンコル」の話を聞き、ヘンリーさんとナタリーさんが入社するとのことだったので、契約することにしたそうだ。


「なぜ姉に内緒にしておいたかというと、ちょっと姉にも意地悪をしてみたかったからですね。その話をミランダさんにしたところ、『だったら一緒にナタリーちゃんにも秘密にしよう』とミランダさんがおっしゃったので・・・」


「事情は分かりました。でもミルカ様がそんなことをするとは思いもよりませんでした」


「元々はこんな性格なんですよ」


そう言うとミルカ様はニッコリと笑った。ミルカ様も雰囲気が明るくなったと思う。感情が豊かになった感じだ。


「それと姉のことは心配いりませんので。言葉ではあのように言っていましたが嬉しすぎて、どうしていいか分からなくなっただけですから」


「相変わらずツンデレですね」



話が途切れたところで、ミランダ社長が言う。


「それでは予定通り、どのようにダンジョンが改善されたか見て行きましょうか?ナタリーちゃんがここに来るのは研修のとき以来だし」


実際ダンジョンがどのように変わったか興味があるし、楽しみだ。

しかし、結局楽しむことはできなかったのだが・・・・。


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