「試練の塔」の日常
骸骨騎士様に敗北宣言をした勇者だったが、後ろ向きの骸骨騎士様に何かの液体が入った瓶を投げ付けた。すると骸骨騎士様は苦しみだした。
「聖水か。くそ。卑怯な」
「マリアやっちまえ!!誰がアンデットなんかと、まともに相手するかよ」
すると聖女は聖魔法を放つ。骸骨騎士様はまともに喰らってしまい、剣を落としてしまった。骸骨騎士様が勇者に右手を切り落とされる。
「おのれ!!この恥知らずが」
骸骨騎士様が叫ぶ。追い打ちをかけるように聖女が魔法を放つ。
「穢れたアンデットめ、滅しなさい。ホーリードライブ!!」
骸骨騎士様に光の矢が雨のように降り注ぐ。しばらくして、骸骨騎士様は跡形もなく消えてしまった。
「ろ、ろ、ロンメルさん・・・・イヤー!!」
私はパニックになり、思わず叫んでしまった。するとミルカ様に優しく抱きしめられた。
「大丈夫よ。時間が経てばロンメルは復活するから・・・。だけどこの落とし前は付けさせてあげるわ」
その日私は、かなりショックを受けたので、すぐに自室で休むように言われた。自室で休んでいるとキョウカ様が訪ねてきてハーブティーを入れてくれた。
「これからミルカさんとお茶する予定だから・・・・ついでよ」
これは嬉しかった。優しい味がして、すぐ眠りに就くことができた。
翌日、骸骨騎士様は復活しており、本当に安心した。勇者達は6階層で踏破証明書を受け取って帰っていったそうだ。
復活した骸骨騎士様の元にミルカ様と一緒に訪れる。
「恥ずかしいところを見せてしまったな。油断したわ」
元気そうでよかった。
「私も腹が立って仕方がありません。私に考えがあります、7階層で勇者を血祭にあげましょう」
ミルカ様が言うには、キョウカ様、ミルカ様、骸骨騎士様で勇者パーティーを待ち構えて、フルボッコにするの計画だった。
「あの!!サポーターの少年はお世話になった方の息子さんなので、できれば・・・」
「詳しく聞こうか?」
骸骨騎士様に言われて、話の流れからカーン男爵領での出来事について話した。カーン男爵一家は素性の知れない私達のために怒り、一緒に戦うとまで言ってくれたことが嬉しかったとも話した。
「オルマン帝国貴族もまだ捨てたものではないな!!よし、手心を加えてやろう」
そんな感じで、キョウカ様とミルカ様と骸骨騎士様は7階層で勇者を迎え撃つ話し合いが始まった。
「ミルカさん!!7階層は砂漠エリアだから、拘束して死ぬ寸前まで放置するのはどうかしら?水が飲みたくて、発狂すると思うわ」
「キョウカ殿、我としては正々堂々戦いたいのだが・・・・」
「それでは、間を取って正々堂々とボコボコにした後、拘束して放置でどうでしょうか?」
物騒な話をしているが、結構楽しそうだ。こんな雰囲気でダンジョンを経営していけばキョウカ様の症状も安定してくるのではと思う。
それから2週間が経過した。残念なことに勇者パーティーが7階層に来ることはなかった。ただ、サポーターの少年と赤髪の女剣士は骸骨騎士様に稽古を付けてもらいに毎日のように5階層に来ていた。たまに様子を見ると、サポーターの少年は凄くいい子だった。一生懸命で毎回骸骨騎士様に料理を作って持ってきていた。やはり、カーン男爵夫妻の息子さんだと思った。
赤髪の女剣士も一生懸命で、かなりの腕前だった。私が見るにキョウカ様と同じツンデレタイプだと思う。
他のメンバーは全くダンジョンに来なかった。なので「勇者パーティー発見報告書」に他のメンバーについては、
勇者 傲慢で横暴なゴミ人間。そこそこの実力だが卑怯者で、死んだほうがいい。
聖女 ニコニコしているが不気味。多分、ヤバイ感じがする。殺しても差し支えない
魔術師 よく分からない。人間嫌いのようだ
とだけ記載した。ミルカ様に見てもらったら、
「勇者と聖女に対して恨みがこもっていますが、まあいいでしょう」
と言って合格にしてもらった。
勇者パーティーも去り、研修期間も残り3日となった。キョウカ様、ミルカ様、骸骨騎士様だけでなくスタッフさんとも大変仲良くなった。
ここで私の一日のスケジュールをお教えしよう。まず、朝起きるとメイド服(首輪付き)に着替え、スタッフさんとともに朝食の準備をして、キョウカ様とミルカ様を呼びに行く。そのときに決まってキョウカ様が言う。
「信用できない人が作った料理なんて安心して食べられません。あなたも毒見役として一緒にお食べなさい」
(美味しそう。ありがとう。一緒に食べよう)
やっぱりツンデレだ。そこから、ミルカ様と一緒にスタッフさんから、ダンジョン関係の報告を受けて予定を決める。勇者パーティーの挑戦以降は何もないので、これでダンジョン関係の業務は終了になる。そこからは昼食と休憩をとりながら、燻製肉の制作やマッサージの指導、キョウカ様とミルカ様の私室の清掃などを行う。最近では、キョウカ様からハーブティーの作り方を教えてもらっている。もちろんツンデレ指導だ。
最終的には、お褒めの言葉?をもらった。
「飲めなくわないわ。練習で明日も作って持ってきてもいいわよ」
その後、夕食も一緒に取り、3人で入浴する。入浴中ももちろんツンデレだ。
「貧相な体を洗ってあげるのよ。ありがたく思いなさい」
(あなた達姉妹に比べたら、誰でも貧相ですよ)
今思ったのだが、「勇者パーティー発見報告書」の作成以来、ダンジョン経営に関する研修はしていない。新たに身に付いたスキルはハーブティーの製作ぐらいだろうか。将来が不安になってきた。
それよりも、もっと心配なことがある。ヘンリーさんが一向に帰ってこないのだ。心配になって、ミルカ様に尋ねる。
「もしヘンリーさんが戻って来なかったらどうなるのでしょうか?」
たまたま居合わせた骸骨騎士様が答える。
「キョウカ殿は相当お怒りになるだろうな。スケルトンにされて、一生ここでただ働きかもしれんぞ」
「ああ・・・」
「大丈夫ですよ、ナタリーさん。スケルトンになるときはロンメルに痛みを感じないように殺してもらいますから」
「ミ、ミ、ミルカお姉様まで、ひどい・・・・」
もちろん冗談だと分かっている。それだけ信頼関係が築けたと思っている。
しかし、ヘンリーさんは一体どこで、何をしてるんだろうか?
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