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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

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事件の真相 1

~ローレンス・エドワーズ視点~


一体なぜこんなことになったのだろうか?

自問自答してみる。


私は代々ダンジョン協会の要職に就くエドワーズ家の長男として生まれ、父がダンジョン協会の会長だったこともあり、エリート街道を歩いてきた。しかし、ダンジョン経営学部に入学してからは違った。上には上がいるもので、私は成績だけでなく、すべてにおいて次席だった。

ヘンリー・グラシアス、私が唯一勝てなかった相手だ。


何とか奴に勝ちたかった。しかし、結果はいつも2位だった。座学、戦闘訓練、各種実習、何一つ勝てなかった。当初は、自力で勝とうとしていたのだが、あるとき、魔が差してしまった。1度くらいなら・・・

父の立場を利用して、座学の試験問題を不正に入手したのだ。

結果は、ヘンリーを抑えて1位になった。


「ローレンスさん、凄いです!!ヘンリーさんに勝てるのはローレンスさんしかいませんよ」

「いやあ、ローレンスさんも本気を出したんですね。今までは様子見だったんですね」

「今度食事でもどうですか?色々教えてください」


称賛の嵐だった。

そこから、度々不正をするようになっていた。周囲の期待する声が、後戻りをさせなかった。

それでも、すべてにおいて不正をすることなんてできない。部分的には勝てても、総合成績は次席のままだ。

何とか、逆転する方法はないか?と考えていたところに今期から卒業前にダンジョンで、実際の実務を経験するダンジョン研修が行われることを知った。


これだ!!


担当の講師を買収した。研修は当初、総合成績に関係ないことになっていたが、無理やり総合成績に反映させるようにしたのだ。そして研修で1位を取れば、必然的に総合成績がトップになるくらい、配点も高くさせた。研修先の成績なんてこちらでどうとでもなる。しかも、私以外の学生は研修に成績が付くことを知らない。


勝った!!


私が不正を行っていることは、父の知るところとなったのだが、怒られるどころか協力してくれるようになったし、不正に必要な資金も提供してもらえることになった。父は言う。


「勝負は勝てばいいんだ。バレなければ不正ではないのだ。トップに立つ者は清濁併せ吞むくらいの気持ちが必要なのだ」


今思えば、そんな父がダンジョン協会始まって以来の不正に手を染めて失脚したのは、皮肉なものだ。


肝心の研修はというと、ダントツでヘンリーが1位を取ってしまった。念には念を入れて、歴代屈指の馬鹿学生とペアを組ませたのにである。

失意の私は、ヘンリーの就職を邪魔することにした。ヘンリーはダンジョン協会にほぼ内定していたのだが、急遽不採用にさせた。私もダンジョン協会に就職することになっていたので、就職してもヘンリーの同期として負け続ける日々を送ることは、私には耐えられなかった。


ヘンリーがダンジョン協会を不採用になったことは、大きく話題になった。憶測が飛び交う。中には的を得ているものもあり、「ローレンスが父の権力を利用してヘンリーを不採用にした」との噂もあった。

これを打ち消すため、私はヘンリーのペアとなった学生を利用することにした。その学生はナタリーという女学生だった。ヘンリーとペアとなり、研修をしたことでダントツの最下位から一気に総合4位になり、反感を買っていたのだ。特に女子学生からは、敵意を向けられていた。


私は取り巻きの学生にそれとなく伝える。


「これは親父から聞いた話なんだが、ここだけの話で他言しないでほしいんだが・・・・」


「「何ですか?教えてください」」


「ヘンリーとペアを組んでいたナタリーは、かなりのアバズレらしい。研修が総合成績に反映されたのも、ヘンリーとペアになったことをこれ幸いと思ったナタリーが、担当講師を体を使ってたらしこんだって話さ。

そして研修先でもナタリーは同じことをしていたみたいだ」


「そうだったんですね。可愛らしい、いい子だと思ってたのにちょっとショックです」


「それで話はそこで終わらないんだ。ダンジョン協会が調査したところ、ヘンリーも酷い奴だったんだ。ナタリーが色仕掛けで、研修の成績を上げようとしていたのを知って、今度はナタリーを脅し始めたんだ。自分の慰み者にするのはもちろん、都合のいいようにナタリーを利用し始めた。そして成績も見てのとおりだ。研修の成績がダントツの1位なんて不正しているとしか思えない。それにナタリーが4位になるなんてありえないだろ?」


「ナタリーもクズならヘンリーもクズですね」


「二人で「試練の塔」に研修に行かせたのも、二人がいないうちに不正を調査するのが目的さ。ここで君達に頼みたいんだ。実は、調査はなかなか進んでいなくて、このままじゃ、奴らの不正を立証できない。何でもいい、情報を集めてくれ。ヘンリーに酷いことをされたとか、ナタリーに色仕掛けで迫られたとか、その程度でいいんだ。いい情報があればすぐに教えてくれ」


「「もちろんです」」


「ただ、情報が漏れないように注意だけはしてくれよ。信頼できる相手なら、ある程度は話てもいいが、必ず『ここだけの話だから、他言はするな』と念を押してくれよ」



作戦は成功した。

瞬く間に噂は広まった。その結果、「ヘンリーがダンジョン協会を不採用になったのも納得がいく」という空気になった。

少しかわいそうだが、ナタリーは就職に失敗し、「ダンコル」という得体の知れない会社に就職したと人伝に聞いた。ヘンリーと関わったばっかりに・・・・恨むならヘンリーを恨むんだな。

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