表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/152

スタンビート 9

スタンビートについては引き続き安全策を取っているが、商工会議所に立て籠っていた過激派は全員拘束された。取調べの結果、続々と新事実が判明する。


まず、過激派組織の構成員だが大きく分けて3つのタイプに分かれている。一つはマリアを崇拝し、マリアに近い人物、旧アルボラからの流れを組む構成員、入信したての信者だ。この中で、入信したての信者はほとんど情報を持っていない。

幹部でマリアを信望している信者の取調べ状況を記録した映像を確認する。30歳位の男性信者が語っている。


「マリア様は偉大な方だ。様々な奇跡を起こされている。貴様等はスタンビートを上手く収めたつもりだろうが、そうはいかないぞ。それに俺はこれ以上何をされても話すことはない」


マリアの信望者からは、これ以上情報が聞き出せないようだった。

続いて、旧アルボラからの流れを組む構成員はというと、打って変わってベラベラと話している。


「やっぱり、アルボラはこうでなくちゃと思うんですよ。隠れてコソコソなんてせずに、大きくドーンといった感じですかね。

えっと、我々の凄い企みですか?・・・・あっ、やっぱりケルベロスでしょ。冥府の門番ケルベロス!!

これを召喚できるなんて、並みの者じゃできないですよ。マリア様のやり方はあまり好きじゃないですが、ケルベロスの召喚は凄いと思いますよ・・・・」


旧アルボラからの流れを組む構成員は、自慢げに語る。その他に組織の活動の詳細を語っている。神聖国ルキシアの担当者が言うには、旧アルボラの構成員は大体、こんな感じらしい。犯行計画も杜撰で、特に害は無く、拘束されると素直に自供する。

こんな組織なら長い期間、各国から本気で潰されることは無かったと思ってしまう。



それよりも問題はケルベロスの召喚だ。

ダンジョンボスとして出現するようで、現在も対策会議が行われている。ケルベロスは、三つの犬の頭と蛇の尾を持つ魔物で、死者の魂が集う黄泉の国の番人として知られている存在だ。

私が思わず呟いた。


「三つの犬の頭と蛇の尾・・・・最近、同じようなものを見たような・・・」


「龍神ダンジョンのボスの三頭龍ヒュドラに近い感じですね。実力はどうか分かりませんが、基本戦術は同じですね。三つの頭と尻尾に実力あるパーティーを当てる・・・まあ、何とかなるでしょう」


これに勇者が反論する。


「ヘンリーさんは簡単に言うけど、三頭龍ヒュドラにはかなり苦戦したんですから・・・・私達、勇者パーティーは出るとして、後は・・・」




ローモナス大公国でスタンビートが発生してから7日目、とうとうケルベロスが出現した。幸い出現したのは1箇所だった。

すぐに討伐チームが編成された。三つの頭をそれぞれ、勇者パーティー、魔国デリライトの部隊、オルマン帝国の部隊が対応し、蛇の尾をローモナス大公国の部隊が対応する。ローモナス大公国も国としての威信があるため、特別チームを編成していた。ローモナス大公国の部隊は勇者パーティーと比べると少し見劣りする。決して弱いわけではないのだが、火力が不足している。結局ダンカン将軍とゴブリンと阿修羅族のメンバーが臨時加入することになった。


戦闘は、あっさり決着がついた。ケルベロスは三頭龍ヒュドラの下位互換だったし、前回はダンジョン内での戦闘で補給のことを常に考えなければならない状況だったのに対して、今回は国を挙げて支援しているので、圧倒的にこちらが有利だった。

もう一つのダンジョンも難なく、ダンジョンコアを破壊できた。こちらはオルマン帝国とローモナス大公国の混成部隊で臨んでいた。

オルマン帝国の部隊はダンジョン破壊のノウハウを持っているので、本当に危なげなく任務を達成することができていた。





ローモナス大公国がスタンビートを鎮圧したことで、すべてのスタンビートが鎮圧された。

残る無許可ダンジョンは1箇所で、セントラルハイツ学園付近のダンジョンだ。こちらは全く動きがない。各地でスタンビートが発生すると同時にこのダンジョンには立ち入れなくなってしまっている。それだけに不気味だ。

ダンジョン協会も各国の関係者も監視はしているが、新たな情報は得られなかった。

私はヘンリーさんに尋ねた。


「相手組織は何者で、何が目的なんでしょうか?」


「それは分からないな。だから今できることを頑張ろう」



私達は現在、セントラルハイツ学園で各種分析をしている。学長のウメック先生の計らいで、研究室を用意してくれて、ダンジョン協会の関係者が詰めていて、表向きはミランダ社長の研究室となっている。


そこでは、メンバー総出で破壊されたダンジョンコアを回収し、解析を進めている。照合の結果、所在不明となっていた旧型ダンジョンコアと判明した。後は破壊されたダンジョンコアの残存魔力を分析して、使用者を特定する作業を進めているのだ。

分析には専門の技能が必要なので、専門技能の無い私は分析されたデータをまとめ、論文という形で学園側や各国の関係者に情報を提供している。


3日後、驚きの分析結果が出た。ダンジョンコアの魔力を解析した結果、一人の人物が浮かび上がった。

不正を犯した元ダンジョン協会会長の息子で、私やヘンリーさんの同級生のローレンス・エドワーズだった。

不正に加担したという明確な証拠はなかったが、事件発覚後から行方不明となっていた。一応捜索はしていたようだが、発見できなかったようだった。解析担当者が言う。


「ダンジョン協会に保管されている魔力データと照合した結果、ほぼすべてのダンジョンで彼が魔力操作をしたことは間違いありません。彼が積極的に関わっているのか、それとも脅されて協力しているのかは分かりませんが・・・。

それと、一流の死霊術士ネクロマンサーが魔力操作した形跡があります。こちらはデータに無いタイプなので、ダンジョン協会の関係者ではないと思われます」


死霊術士ネクロマンサー・・・・・この人物が十中八九、ローモナス大公国のスタンビートを発生させたのだろう。出現した魔物の種類から間違いないと思われる。


ミランダ社長が言う。


「謎の死霊術士ネクロマンサーのことは置いておいて、確実な関与が疑われるローレンス・エドワーズの足取りを追うことが先決ね。ダンジョン協会としても人員を割いて対応しなければならないわね」


これには全員が同意した。エリーナがすぐに人員や物資の確保を行うためにダンジョン協会本部に戻っていった。


そんなとき、セントラルハイツ学園の学長であるウメック先生が研究室を訪ねて来た。


「ちょっと、聞きたいことがあるんだが・・・・。ダンジョンバトルを申し込まれたんだけど、どうすりゃいいんだ?」


ウメック先生は手に果し状を持っていた。

内容を確認する。なんと差出人は、私達が大規模な捜索をする予定のローレンス・エドワーズだった。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ