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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

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スタンビート 3

レイモンドさんが話をつけてくれて私達は勇者達と合流することになった。指定された場所に赴くと勇者達以外にもノーザニア王国、神聖国ルキシア、魔国デリライトの三ヶ国の特殊部隊の責任者も同席していた。

レイモンドさんが私達のことを紹介してくれ、ここまで来た経緯を説明してくれた。

これを受けて勇者が話始める。


「まず、私達には時間がありません。今回の議長は王族である私がやります。儀礼的なことは考慮せず、すぐに情報交換から入りましょう」


まず、発言したのは魔国デリライトの特殊部隊スペシャルブラックスの隊長ローグさんだった。この人は何度もニューポートに訪れているので顔見知りだ。


「恥ずかしい話ですが、過激派の追跡に失敗してしまっております。というのも・・・・」


ローグ隊長の話によると「光の洞窟」からベルンまでの追跡は難なくできたのだが、ベルンで数名と合流した後に先代勇者パーティーの聖女マリアのグループがベルン近郊のダンジョンに入ったそうだ。数日間ダンジョンの入口で待機していたが、別動隊の到着を受けてダンジョン内の捜索を開始した。

しかし、マリアのグループは忽然と姿を消したという。冒険者ギルドから精鋭の冒険者を雇って、ダンジョン内を隈なく捜したが、発見できなかった。

私達、ダンジョン関係者は納得する。ダンジョンの転移スポットを使ったのだろう。これで、過激派とダンジョン協会の不正に関わった一味の接点が見えて来た。


しかし、そうとは知らないローグさんは反省の言葉を述べる。


「本当に申し訳ありません。それにどのようにこの包囲網を抜けたかも、いまだに分からないのです」


勇者は言う。


「顔を上げてください。過ぎたことを悔やんでも仕方ありません。それにスタンビートを起こすような奴らですから、何かしら特別な能力を持っているのかもしれませんし」


次に発言したのは神聖国ルキシアの特殊部隊の隊長だった。偽装魔法を掛けてはいるが、多分魔族だ。


「こちらは首謀者のマリアと分離した一団の監視に当たっていました。今回村人達を集めているのは、間違いなくその一団です」


「分かりました。それでは明日、首謀者のマリアが現れたら拘束するというのはどうでしょうか?」


「それができればいいのですが・・・。拘束した過激派を取り調べたところ、マリアは接した人を魅了するスキルを持っているようで、洗脳状態にされている者もいました。マリアを拘束する際に民衆がマリア奪還に動いたりすれば、かなりの被害を出してしまいますし・・・」


「洗脳を解く方法はないのでしょうか?」


「あるにはあるのですが・・・・」


神聖国ルキシアの隊長が言うには、強い刺激を与えればいいそうだ。マリアのスキルは無理やり、相手を操る程の能力はないようで、洗脳が解けた者が言うには、きっかけはシスターフローレンスがマリアを何度も論破したことだという。

そこで「この女は嘘吐きかもしれない」と思ったそうだ。何気にシスターフローレンスは凄い人なのかもしれない。聞くところによると曾祖母が高名な神学者だったそうだ。


「そのマリアよりも強いインパクトを与える人物を連れてくればいいのでしょうか?さすがに「私が勇者です」と言って登場してもインパクトを残せるかどうか・・・。龍神様クラスの方が来てくれればいいのですけど・・・・」


これにヘンリーさんが自信を持って言う。


「いますよ。打って付けの人がね」




次の日、作戦が決行される。

話し合いの結果、民衆の安全を第一にするということになった。なので、民衆をこちら側につけ、それを察知してマリアが逃走しても仕方がないということになった。


聖女降臨まで後1時間を切った。過激派の関係者が「もうすぐ聖女様が降臨されます!!」とアナウンスを始める。

しばらくして、集まった観衆が騒ぎ始める。


「なんだあれは?」

「ドラゴンよ!!」

「それに人が乗っているわよ!!」

「聖女様だ!!間違いない」


観衆の前に登場したのは、龍の姿のドミティア様の背に乗ったキョウカ様とミルカ様だった。

過激派の関係者は唖然としている。気にせずに観衆の前に降り立ったキョウカ様が話始める。


「私達はハイエルフです。現在エルフの森とドワーフの里で100年に一度の魔力噴出が起きています。その関係で普段取れないような高級な素材が大量に取れるのです。それを知らせに来てあげました」


観衆は大盛り上がりだ。少し時間をおいて、ミルカ様が説明をする。


「それでは素材採取をしたい方は私達に付いてきてください。途中まで全員で移動して、そこからエルフの森でキノコや薬草を採取したい方とドワーフの里で鉱石を採取したい方に分かれます。疑問点につきましては、お近くのエルフやドワーフにお尋ねください」


用意がいいことに案内スタッフとして、エルフとドワーフを連れてきていた。

ヘンリーさんが協力を持ちかけたとき、フロレインさんもドラガンさんも快く協力してくれた。なんでもダンジョン協会からお見舞いとして多額のDPが渡されていて、使い道に困っていたそうだ。なので、渡りに船だったみたいで、それぞれのダンジョンに臨時で大量に採取できる高級素材を発生させてくれた。


過激派はというと、二つのタイプに分かれていた。キョウカ様とミルカ様を聖女と思い込んでいる者と「違う!!聖女ではありません。皆さん落ち着いて!!」と移動しようとする観衆を止めている者に分かれていた。

過激派といえども全員が作戦を理解しているわけではないようで、メインで指示を出している者達は機会を見て、特殊部隊で拘束するようだ。


当然だが、マリアは登場しなかった。


この試みは上手く行き、エルフの森とドワーフの里の中間あたりに開拓村ができ、すぐに大手の商会や冒険者ギルドがやって来た。これが元で後々小国家群を代表する都市となったのは、また別の話だ。

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