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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

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襲撃者 3

今日はいよいよ記念式典が開催される日だ。過激派が襲撃してくることを前提に対策をしている。


式典に先立ち、私達はダンコルの会員を集めて定期報告会をしていた。

いつものメンバーで、ダンコルからは私とミランダ社長とヘンリーさん、「試練の塔」からはキョウカ様、ミルカ様、骸骨騎士様ロンメルさん、ミスタリアからはラッセル会長とミーナ、クワトロメイズからは代表のクリスさんとコーディネーターのニールさん、私とミーナの同級生のルキアさん、「血のダンジョン」のアスタロッテさん、「至高のダンジョン」のトリスさんとマーサさん、それに加えて、ドライスタ様ご夫妻も参加されている。

「光の洞窟」のマスターのネロスさん御一家がホストとして、もてなす形だ。、

まあ、報告会と言っても雑談がメインなのだが。


形式的なことだが、順番に活動状況を報告してもらった。クワトロメイズでは、スタンビートを疑似体験してもらおうとサブダンジョンをスタンビートダンジョンにして一定時間スタンビートに耐え続けるフロアを作っているそうだ。魔物を大量に発生させるので、かなりDPを消費してしまう。

状況が状況なので採算度外視で行う予定だったのだが、逆に収益が上がってしまったという。

なんでも意識の高い冒険者や各国の軍隊がこぞって訓練にやって来たそうだ。約1時間、スタンビートに耐えれば攻略となるのだが、どこまで耐えられるか各国の軍隊で競争のようなことになっているらしい。因みにランキング1位はオルマン帝国軍で16時間だそうだ。

参加者からは、「そんなところで見栄を張らなくても」とのツッコミが入った。


そんなオルマン帝国軍だが、突入部隊は「試練の塔」で訓練を積んでいる。骸骨騎士様ロンメルさんが言う。


「身内贔屓ではないが、なかなかの練度だぞ。そこらのS級パーティーよりも強いだろう。それに18番の斥候も部隊に馴染んでいて、元気そうだった」


特に面識はないが、「龍神ダンジョン」でダンジョンバトルを繰り広げたメンバーは彼のことをライバルとして認め、戦友に近いような親近感を持っている。私も名前も知らない彼のことを好ましく思っている。彼からしてみれば私達に「18番の斥候」と呼ばれているとは、思いもしないだろう。


そんな感じで和気あいあいと雑談しているところで、ネロスさんが話始めた。


「もうすぐ式典が始まりますので、モニターをご覧ください」


どうやら式典が始まるようだ。オープニングセレモニー、ゴブタンさんの挨拶は予定通りであったが、聖女のスピーチが始まったところで、ドカーンという爆発音が響いた。

過激派が襲撃して来たのだ。


奇襲や暗殺ではなく、正面から強行突破してきた。

会場のは出席者が100人程度、警備のゴブリンが50人程度、神聖国ルキシアとノーザニア王国の護衛が20人程度なので、数の力で蹂躙する作戦のようだった。過激派はざっと見ても500人位はいる。当初は300人位と予想していたが、相手も直前で戦力を増強したのだろう。

ヘンリーさんが言う。


「数に任せて正面から来てくれて助かりましたね。これなら安心でしょう?」


「もちろんです。ゴブリンの強さを見せつけてやりますよ」


ダンジョンマスターのネロスさんが自信を持って答えた。


まず会場だが、これは防衛しやすいように作られている。出入口を3か所に限定し、そこにはバリケードやトラップを設置して容易に侵入できないようにしている。それと動員したゴブリン軍の人員だが、ざっと3000人程だ。会場の出席者も会場スタッフも実は、ゴブリン軍の精鋭達で、会場だけでも1000人のゴブリン軍がいるのだ。

ここで数だけでも相手より10倍も多い。


相手からしてみれば、数も少なく、戦闘力の低いゴブリン達をあっという間に蹂躙する予定だったのだろう。

更にゴブリン軍は新兵器を用意していた。伸縮式の長槍だ。


ゴブリンの平均身長は成人男性が150センチメートル前後、女性が140センチメートル前後なので、リーチは無いし、パワーも期待できない。魔族において最弱種族と言われている所以である。なので、その弱点を補うため、かなり長い槍を持ち、相手を近付けさせないようにするのだ。そしてこの長槍は伸縮式なので、相手に間合いを計らせない。急に槍が延びてくるので、なかなか近付けない。

それにバリケードには電撃の魔法が付与してあり、乗り越えようとすると電撃魔法が発動する。伸縮式の長槍もバリケードも致命傷を負わせるようなものではないが、過激派の突撃を確実に止めていた。


そこに高所に配置していた弓兵と魔法兵で遠距離攻撃を仕掛ける。こちらも威力はさほどではないが、数が違う。相手の5倍以上の人員なので、過激派はどんどんと討ち取られたり、投降したりして削られて行った。

ネロスさんは言う。


「ニューポートでは、様々な種族の特徴を生かした部隊編成にしていますが、こちらはゴブリンだけなので、このような戦術を採用しています。将来的に多種族が増えれば、ニューポートのような運用ができるかもしれんませんが」


ゴブリンの短所であるパワーとリーチ不足を補い、長所である集団行動能力の高さを生かしたいい戦術だと思う。


しばらくして、過激派は撤退を開始した。現在は半数以上討ち取られ、残り200人弱になっている。このまま作戦続行は不可能と判断したのだろう。

撤退先は、拠点となっている教会施設で、籠城するようだ。


「こうなることは想定済みです。こちらは攻城兵器も用意してますから」


ネロスさんが言うとおり、ゴブリン軍は大型のバリスタや投石機で攻撃を開始した。相手も結界魔法を張ったり、元々籠城できるような作りをしていたので、決定打を与えられないでいる。


「そろそろ新型兵器を使うときですね」


戦況を見守っていると10名のゴブリン達が肩に金属製の筒を担いで、教会の前に一列に並んだ。そして轟音とともに一斉に筒から弾丸が発射された。結界魔法を撃ち破り、建物を半壊させた。

私はネロスさんに質問した。


「あれはニューポートで開発されたマジックランチャーですよね。かなりコストがかかるとお聞きしたのですが?」


「そうです。かなりDPをつぎ込みましたよ。1ヶ月の収入の半分はこれに消えてしまいましたよ」


ネロスさん曰く、管理者として10階層でマジックランチャーの原料となる鉱石が大量に採取できるとお告げを出したそうだ。

ヘンリーさんは言う。


「このような事態ですから、多少の出費は仕方ありませんが、事前に連絡をお願いします」


「はい、気を付けます」


マジックランチャーの効果は絶大で、過激派の攻撃はぱったりと止んだ。これを受けてゴブタンさんが降伏勧告を行う。

すると過激派数名が教会から出て来た。何人かの過激派でない教会関係者が拘束されている。


「こいつらがどうなってもいいのか?我々を安全にここから解放しろ!!」


ゴブタンさんは冷静に答える。


「我々はゴブリン以外の者がどうなっても別に構わんのだがな」


「ちょっと待て!!こいつらは神聖国ルキシアの教会関係者だ。お前らは良くても、ここでこいつらを見捨てたら外交問題に発展することになるぞ!!」


「分かった。とりあえず時間をくれ!!協議してから返答する!!」


各国の首脳陣は協議を始めたようで、過激派は教会で籠城したままだ。

ヘンリーさんは言う。


「これも作戦どおりですね」


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