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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

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根回し

私とミランダ社長、ヘンリーさん、そしてドライスタ様御一家は勇者達と会食をしている。

今回もコース料理で、メインディッシュはワイバーバーンと地龍のカツレツ風、キノコソース添えだった。なるほど・・・2種類の肉の味の違いを楽しませ、高級キノコは目立たせず、ソースに使うとは、ロイさんも腕を上げたわね。

そんなことを思っていたところ、ドライスタ様が唐突にスタンビートの危険があると話始めた。予定ではデザートを食べ終わった後だったのに・・・・これでは、デザートをゆっくりと食べられないではないか!!


まあ、今回のスタンビートを含めた情報を勇者に伝えることが目的だったので、目的はあっているのだが・・・会食まで計画させる必要はあったのだろうか?

私としてはロイさんのコース料理が食べられるので嬉しい限りだが、だったらデザートが終るまで待ってほしかった。


ドライスタ様の話を聞いた勇者は、予想以上に焦っていた。


「新規ダンジョンからスタンビートですって!!魔物が大量に発生する大災害ですよね・・・それに大陸規模だなんて。すぐに関係者に連絡を!!そして緊急会議を招集します・・・・それから・・・」


するとドライスタ様が言った。


「クラシアよ、少しは落ち着いたらどうだ?それにデザートはまだではないか。こんな事態だからこそ、ゆっくりと食事を楽しむ余裕も必要だと思うのだがな」


「ドライスタ様、お言葉を返すようですが・・・あっ!!そういうことですね。こういう緊急事態だからこそ、落ち着いて冷静に対処することが大事ということですね。分かりました。一端落ち着いて冷静に考えます」


これには感心した。ここまで考えてのことだったとは。

するとリバイア様がこっそりと真相を教えてくれた。リバイア様の話によると緊急会議でのキョウカ様の取った行動に感銘を受けたらしい。そして、自分もあんな感じで、緊急事態でもどっしりと構えている凄い人感を出したいと言っていたそうだ。

何ともキョウカ様もそうだが、長命種という奴は・・・・まあ、今回も上手くいったから、結果オーライとしておこう。


落ち着きを取り戻した勇者は、色々と質問をしてきた。ほとんどはヘンリーさんが対応していたが、話がミランダ社長に及んだ。


「そちらのミランダさんとドライスタ様は、どのような関係がおありなのでしょうか?ミランダさんは五代目勇者パーティーのメンバーで、魔国デリライトの王太子妃とも交流があるということは存じておりますが」


「実は、彼女はダンジョン研究の第一人者でもあり、セントラルハイツ学園の終身名誉教授で博士号も持たれています。今回の事案の関係でアドバイスを依頼したのです」


「そういう事情だったのですね。それではよろしくお願いします」


「分かりました。クラシア王女、まずはダンジョンとは何か?そしてダンジョンの魅力について話しますね・・・」


嫌な予感がする。長い話が始まってしまう。勇者も以前に経験があるみたいで嫌な顔をしていた。

ヘンリーさんも察したようでミランダ社長の話を遮る。


「ミランダ教授!!とりあえず、スタンビートの発生原因と対策について説明をお願いします」


「そ、そうね・・・本当はダンジョンの成り立ちから話したほうがいいと思うのだけどね」


渋々従ってくれた。



ミランダ社長の説明は、ヘンリーさんが話が脱線しそうになると引き戻したことで、何とか短時間で終了した。勇者は言った。


「つまり、ダンジョンコアを破壊すればスタンビートは止まる。しかし、スタンビートが発生するまでは、ダンジョンコアの設置ポイントがまず分からないということですね。これはかなり難しいですね。私も過去に一度だけダンジョンコアを壊したことがあるのですが、ダンジョンコアを探すのには苦労しました」


ダンジョンコアを破壊すれば、ダンジョン自体が崩壊する。なので、ダンジョン側も容易に見付からない場所にダンジョンコアを隠している。

なので、通常は見付けることは不可能に近い。しかし、スタンビートを発生させるのには、ある程度分かりやすい場所に設置しなければ、魔物をダンジョン外に出すことはできない。だから、必然的にスタンビートの発生を待たなければダンジョンコアは壊せないということになる。


「幸いクラシア王女はダンジョンコアを破壊した経験もありますし、ノーザニア王国は、温泉地ベッツで発生したスタンビートを最小限の被害で抑え込んだ実績もあります。各国で協力するれば対処可能ではないでしょうか?」


「そうですね。緊急の大陸会議の招集を検討します。ただ、ここまで信じがたい話しだと各国が賛成してくれるかどうか不安になってしまいますね」


「それは大丈夫だと思いますよ。各国ともこの程度の情報はすでに入手していることでしょうし」



私達が勇者に情報を伝える前に各国にはそれぞれの担当が情報を伝えているのだ。これには理由がある。人は誰しも自分で得た情報は信じてしまうものだ。ましてや、普段使うことのない特別な情報源であればあるほど。

例を上げれば、オルマン帝国はキョウカ様、小国家群はフロレインさんとドラガンさんといった具合だ。どちらもあまり公にはできない存在なので、情報の出し方を迷うと思う。そこにニューポートにドライスタ様が情報を伝えたことをきっかけに勇者が協力を訴えれば、これ幸いと便乗するだろう。

因みにオルマン帝国の皇帝は「ドライスタ様よりも速く、情報を入手できたのは我らが大陸ナンバー1の国家だからだ」と嬉しがっていたらしい。


そんなこともあり、根回しは上手く行き、各国の首脳を集めた緊急の大陸会議が開かれることになったのである。

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