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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

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対策会議 1

私は今、緊急のマスター会議に出席している。マスター会議の3日前にダンジョン協会のエリーナから緊急依頼があり、それから今まで不眠不休で情報収集に当たっている。なので、非常に眠い。

まあ、状況が状況だけに居眠りができる雰囲気では全くないのだが。


司会のエリーナが開始の挨拶を述べる。


「この度は、皆さまお忙しい中、わざわざご臨席を賜り・・・・」


「状況が状況だから気にするな。とにかく時間が惜しい。早く会議を始めてくれ。礼儀も何も気にしなくていい」


エリーナの言葉を遮って、声を上げたのはタルシュ帝国の皇帝陛下だった。事案の重大性を鑑みて、皇帝陛下自ら出席することになったようだ。


「お気遣い感謝します。それではまず、一番緊急性があるダンジョンブレイカー集団の情報から始めます。それでは被害者を代表して「森のダンジョン」のフロレイン様、お願い致します」


「本当に腹が立つわ!!あのバカ集団!!大切に育てていた森にあんなことをするなんて!!絶対捕まえて、森に逆さ吊りにしてやるわ!!」


かなり興奮している。エリーナが宥めたところで、ようやく落ち着いたフロレインさんは話始めた。説明によると、襲撃して来たのは全身白装束の怪しい集団だったらしい。多分、聖母教会の過激派ではないのだろうか?


「森のダンジョン」は小国家群にあるダンジョンで、大きな森のダンジョンだ。森の中にはエルフの里もある。フロレインさん曰く、エルフの保護を目的に作ったのがその起源だそうだ。襲撃の日、怪しい白装束集団が「森のダンジョン」にやって来て、急に森に火をつけ始めたそうだ。これに激怒したエルフ達が討伐に出たが、里から出動する際に隠蔽魔法を解除したのだが、そこを別動隊につかれてエルフの里に侵入されたそうだ。


「里は滅茶苦茶よ!!手当たり次第に火をつけやがって・・・・それで、これは想像なんだけど、森や里を滅茶苦茶にしたのは、どうも陽動だと思うのよね。戦闘を行ったエルフが言うには、子供や戦闘力の低い女性を攫おうとしたんじゃないかって」


どういうことだろうか?

これにドワーフのマスタードラガンさんも続く。


「儂らのダンジョンにも来たぞ。ただ、ウチはフロレインから連絡があったので、上手く対応することができた。被害もほぼないがな。ところで、何を基準にダンジョンを襲撃しているんじゃろうか?」


これにヘンリーさんが答える。


「あくまで推測ですが、私の見解を聞いてください。現在の所、襲撃されたダンジョンは3つあります。もう一つのダンジョンのマスターは、復旧作業のため今回の会議は欠席ですが、襲撃されたダンジョンには共通点があるのです。


1 古いダンジョンで旧式のダンジョンコアを使用している

2 ダンジョン内に居住する種族がいる

3 ダンジョンマスターがその種族を心から愛している


です。1については、後程説明するとして、2,3は共通してますよね。ドラガンさんのところもドワーフが多数居住しているし、もう一つのダンジョンもコボルト族が多数居住していました。今回欠席されているダンジョンマスターは今も必死でコボルト達の治療に当たっています」


フロレインさんやドラガンさんの態度を見ると本当に居住者を大切に思っていることが、ひしひしと伝わってくる。


「この条件でいうと、次に狙われるのは・・・」


(多分、あそこだ。間違いない。愛の深さで言えば他の追随を許さない)


「それってウチじゃないですか!!ゴブリン達が心配だ。会議なんかしている場合じゃない!!すぐに帰らせていただきます。それとキョウカ様!!ロンメル殿を派遣してください。これからすぐに防衛体制に移行します」


そう矢継ぎ早に言ったのは「光の洞窟」のネロスさんで、すぐに会議室から出て行ってしまった。事態が事態だけに誰も止める者はいなかった。


「とりあえず、一番危なそうなダンジョンはこれで対策できたと思います。次の議題にも話を進めます」


エリーナが情報が出尽くしたところで、議題を変えた。議題は後二つある。時間は有限なので、話を進めなければならない。


「次はスタンビートについてです。ナタリーさん、発表をお願いします」


「分かりました。まずスタンビートが起こったのはノーザニア王国の温泉地ベッツです。以前に破壊された無許可ダンジョンから発生しました。

ベッツには幸いベッツ・スパクラブという30人規模のAランクのクランが常駐しております。国軍と一緒になって堅実な防衛線を構築し、発生する魔物の数がかなり減ったところで、ノーザニア王国の特殊部隊が合流しました。

特殊部隊が突入したところ、ダンジョンコアから魔物が発生していることが分かり、これを破壊したところ、スタンビートは鎮圧されました」


私は、人族領各国に配置しているモフモフ達を通じて情報収集をしていたのだ。

私の発表の後に皇帝陛下が話を始めた。


「恥ずかしいことだが、以前こちらの協会を騒がせた残党はまだ拘束しきれておらん。それに横領されたDPもそうだが、旧式のダンジョンコアも複数行方不明になっているのだ。この旧式のダンジョンコアが厄介なもので、スタンビートを発生させる機能が搭載されているのだ」


皇帝陛下には失礼とだが、会場のほとんどの者が思ったことを心の中で叫んだ。


「馬鹿じゃないのか!!」



皇帝陛下の説明によると、話は神話の時代まで遡るらしい。神から委託され、ダンジョン管理に勤しんでいた当時の皇帝一族に神から「旧型のダンジョンコアは、スタンビートを起こす機能が搭載されているから使わないようにしてね」とのお告げがあったらしい。

当時の皇帝が神に問いただしたところ、神はこう言ったそうだ。


「神にも邪神という悪い奴がいてね。いたずらで、付けたみたいなんだ。特殊な術式じゃないと発動しないから大丈夫だと思うけどね。いきなり全部新型に取り替えられないから、徐々に取り替えていってね。それじゃ、元気でね!!」


この神様、なんか軽すぎないだろうか?


それはさておき、皇帝陛下の説明は続く。


「・・・と、ここまで話してきたわけだが、次の議題の無許可ダンジョンについても少し言及しよう。

現在確認できている無許可ダンジョンは10箇所、行方不明となっている旧型のダンジョンコアは全部で10個だ。

ダンジョンブレイカーに襲撃されたのは、旧型のダンジョンコアを使用しているダンジョンばかりで、おまけにスタンビートが発生している。

これから推理できることは・・・・・。ヘンリー、後はお前が説明しろ」


ヘンリーさんが、指名された。


「分かりました。無許可ダンジョンの調査結果と併せて説明いたしましょう」

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