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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

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ダンジョン攻略3

三頭龍ヒュドラと遭遇してから、2時間以上が経過している。

戦線は安定しているものの、疲労からか徐々に拠点に搬送される負傷者が増えてきた。まだ、戦線が崩壊するほどではないが、このままではジリ貧だろう。


討伐部隊はというと攻めあぐねていた。古い文献では、三つの頭を潰せば再生することはないようなのだが、そうは上手くいかなかった。予想外に尻尾攻撃が厄介だった。当初の作戦としては三つの頭から繰り出されるブレス攻撃を凌ぎ、頭を潰すというものだった。だからこそ、討伐部隊にそれぞれの担当する頭を決めて、三つの頭が連携しないようにしていたのだ。

当初はこの作戦が機能して、討伐部隊が押し気味に戦闘が続いていた。しかし、三頭龍ヒュドラは思った以上に知能が高く、このままでは討伐されてしまうと思ったのだろうか、討伐部隊の殲滅は諦め、持久戦に持ち込んだ。

三つの頭から絶え間なくブレスを吐き続け、それでも近付こうとした討伐部隊を巨大な尻尾で薙ぎ払い接近させない。討伐部隊も遠距離攻撃で応戦するが、流石に三つの頭を同時に潰す特大魔法は持っていない。

一度、グリエラ、ガイエル、アッシュが尻尾の薙ぎ払いを止めようと体を張ってガードしたが吹き飛ばされてしまった。体を張って止めようとする発想も、吹き飛ばされてもほぼ無傷の彼らもまた常人ではない。僕が近くにいれば絶対にそんなことはさせないんだけど・・・・。


僕は拠点に防衛部隊の指揮官のゴブル管理官を呼び出し、今後の作戦を立てることにした。

ダンカン将軍が防衛部隊が後どのくらい持たせられるかを訪ねた。


「2日でも3日でも戦い抜く覚悟です!!」


(そういう精神論を聞いてないのですが・・・)


結局、消耗度合いから考えて、最大で後半日、安全な撤退を考えるのなら後3時間くらいだという。

ダンカン将軍が言う。


「あの尻尾攻撃が厄介だな・・・・。誰か尻尾を押さえてくれていれば、我がぶった切ってやるのだがな・・・」


尻尾を押えて、ぶった切る・・・・待てよ、できるかもしれない。


「マップを持ってきてください。それとリザド将軍とシクスさん、アースラさんを呼んでください!!」


リザド将軍は水中部隊の指揮官で、シクスさんとアースラさんは阿修羅族部隊の代表者だ。メンバーが揃うと僕が作戦を伝えると一同絶句した。

最初に口を開いたのはダンカン将軍だ。


「貴殿は何とも凄いことを考え付くものであるな・・・・できないことはないが・・・」


次に口を開いたのはマティアスさんだった。


「撤退のことを考えても、これくらいの魔力消費量なら私は可能だよ」


シクスさんとアースラさんも続く。


「地龍だけじゃ物足りなかったから、ちょうどいいですぜ」

「もちろん大丈夫だ」


最後にリザド将軍が尋ねてきた。


「我らリザードマン部隊の任務であれば十分可能だ。ただ、一つ質問させてほしい。この作戦が失敗したらどうする?」


「もちろん、潔く撤退しますよ」


作戦が決まると遊撃部隊に伝令を頼んだ。防衛部隊からは「終わりが見えたから士気が上がった」との報告があり、討伐部隊からは「相変わらずロイは凄いな!!作戦が上手くいったら後は任せて」と力強い返答が届く。


討伐部隊は作戦通り、じわじわと後退を始める。流石は強者揃いなだけあって、後退も見事だった。三頭龍ヒュドラに悟られないように後退している。三頭龍ヒュドラが予定のポイントまで誘い込だところで、リザド将軍に指示を出す。


「それではリザド将軍お願いします」


作戦というのは、ため池を利用して三頭龍ヒュドラの後方に回り込むことだ。そのためにはリザードマン部隊が後方から攻撃する部隊を誘導しなければならない。後方に回り込む部隊には水中で呼吸できる魔道具を装備させている。これは以前から開発を進めていたもので、ニューポートには「水龍ダンジョン」もあるため、このような魔道具の開発は必須だったのだ。今回も念のため用意しておいてよかったと思う。


しばらくして、無事に後方に回り込むことができた。回り込んだメンバーはマティアスさん、シクスさん、アースラさん、そしてダンカン将軍だ。

三頭龍ヒュドラにはまだ気付かれていない。慎重に移動し、一気にシクスさん、アースラさん、マティアスさんが召喚したゴーレムで三頭龍ヒュドラの尻尾を押さえつける。三頭龍ヒュドラは激しく暴れるも尻尾は固定されたままだ。


「金剛斬!!」


気合の入ったダンカン将軍の大剣の一撃で三頭龍ヒュドラの尻尾は切り落とされた。ダンカン将軍の必殺技の「金剛斬」は発動までにかなりの時間が必要だが、威力だけなら帝国一だという。


これに併せて、討伐部隊が一斉に三頭龍ヒュドラに襲い掛かる。

三頭龍ヒュドラとしては作戦が崩れたことで、精彩を欠いていた。すぐに左の頭に大量の矢が刺さり、ブラックゲイルが首を切り落とした。次に右側の頭が初代勇者パーティーに潰され、ラーシア王国の国王で僕の義父、レオナルド王が首を切り落した。


そして最後に僕の奥さんであるクラシアが必殺技「スラッシュストライク」で真ん中の頭諸共、三頭龍ヒュドラを真っ二つにした。程なくして三頭龍ヒュドラは消滅した。

今になって思うが、僕は凄い人を妻に迎えてしまったのだと思う。今のところ、夫婦喧嘩はしたことはないが、もし勃発したらすぐに降伏することにしよう。


しばらくして、龍神様の声が響き渡る。


『勇者達よ。見事な戦いであった。我が直々に特別な褒美をやろう。楽しみにしておくがいい』



この言葉を聞いて、大歓声に包まれた。

ドロップアイテムは三頭龍ヒュドラの牙、鱗、爪と大量の肉だった。大商人のトルキオさんが言うには「これは値段が付けられない。小国が2~3個買えるレベル」だそうだ。

部隊の人員を確認したところ、死者は無く、重傷者も治療済みで今回の攻略作戦は大成功と言っていいだろう。


転移スポットで帰還する。攻略記念式典は2日後に開催することになり、僕達関係者は休む間もなく仕事が始まる。


「ああ・・・ドロップアイテムの分配、報奨金の支給、式典の準備・・・やることが有り過ぎる・・・おい!!シクス!!勝手に飲みに行こうとしてるんじゃない!!ちゃんと手伝え!!」


早速ゴブル管理官はパニックになっていた。

僕はというと、パターンとして、今回のドロップアイテムを利用した料理を龍神様御一家に振舞わないといけないだろう。早速メニューの開発に取り掛かる。

キノコと地龍の肉を炒めて・・・・・


というか、龍神様が言っていた特別なご褒美とはなんだろうか?


そんなことを思いながら作業をしていたところ、いつの間にか眠ってしまっていた。

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