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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
最終章

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ダンジョン攻略1

~ロイ・カーン視点~


とうとうこの日がやって来た。建国祭の式典が終了し、メインイベントであるダンジョン攻略に臨むのだ。

ここまで、僕達は何もしてこなかったわけではない。月に一度は勇者パーティーとしてダンジョンに入り、調査や作戦の立案をしていたし、旧魔族チームと合同で攻略を試みたこともあった。


しかしながら攻略はできず、分析の結果、ダンジョンを攻略するためには最低でもAランク以上のパーティーが4つ以上は必要だと結論付けた。

勇者パーティーと旧魔族チーム、それにSランクパーティーに認定され、懇意にしているベッツ・スパクラブの3パーティーはすぐに招集できるが、それだけでは足りない。ダンジョンボスの三頭龍ヒュドラを相手にしながら大量に襲い掛かってくる地龍やワイバーン達の相手も同時にしなければならないからだ。


大陸中から人員を集めようとすると補給や予算の関係と政治的な問題が発生する。当然、有名パーティーなんかはタダでは来てくれない。人員も多いので滞在費だけでもかなりの額が掛かってしまう。これにはニューポートの財政責任者のゴブル管理官が猛反発した。


『そんなの絶対ダメですよ!!例えばですね・・・阿修羅族から大量に応援をもらったとします。アッシュやシクスみたいな奴らが大量にやって来て、好き勝手に飲み食いするんですよ!!それにすぐに喧嘩をするし・・・・想像してください。恐ろしいでしょ?』


『ちょっとボス!!それは言い過ぎじゃあないですか』


シクスさんが苦情を言う。

最後のほうは冗談だろうけど、それはよく分かる。この前、オルマン帝国が勝手に大部隊を寄越したときは本当に大変だった。ダンカン将軍が率いていた部隊では考えられないような不祥事の連発だった。


また、各国のバランスもある。

オルマン帝国としては、1国だけで攻略したかったのだろうけど、各国の連合となれば当然、自分の国の威光を高めたいのは人情だ。「俺達がメインで戦うからお前達はフォローに回れ」みたいなことを言う輩も出てくるだろう。

これでは内部崩壊しても仕方がない。

そんなときにレミナ書記官が突飛な意見を出した。


『それだったら建国祭のメインイベントをダンジョン攻略にしましょうよ。それなら滞在費の問題も解決できます。あくまで護衛として来てくれているんですから、特別な手当なんかを出さなくてもいいですし。それに私は戦闘の素人だから詳しくは分かりませんが、各国とも特殊部隊を持ってますよね。ついでにその部隊を出してもらえればいいのではないでしょうか?基本的に特殊部隊の方は我が強い方は少なそうなので』


いい意見だった。

ただ、すべての意見は採用されなかった。建国祭のメインイベントとすることは採用されたが、各国とも特殊部隊は出せないとの返答だった。それはそうだろう。各国とも特殊部隊の存在は秘匿にしている。ノーザニア王国なんて「そんな部隊はいません。厨二病を罹った人が見間違えたのではないでしょうか?」なんて言ってきた。僕なんて一緒に戦ったことがあるのに・・・・。


しかし、特殊部隊に勝るとも劣らない人員を派遣して来た。

初代勇者パーティーだ。メンバーはノーザニア王国の国王夫妻、ラーシア王国の国王、商業ギルドギルマス夫妻、冒険者ギルドギルマス夫妻だ。

本人たちはどうしても一緒に戦いたかったらしい。良く部下たちが許可を出したものだと感心した。僕が部下の立場ならと思うとゾッとする。

まあ、こちらとしては戦力が増えて歓迎なのだが。


それ以外の国はどうかというと、まず神聖国ルキシアはニューポートに常駐しているシスターフローレンスと側近のサキュラさんを派遣してくれることになり、特殊な魔道具でダンジョン内にセフティースポットを設置できるものを貸与してくれることになった。それと現聖女自ら血のイニシエーションを行ってくれて、特製のポーションまで用意してくれた。


オルマン帝国はというと前回の不祥事の関係で、各国から「補給部隊としての使命を果すなら、人員を派遣してもいよい」との圧力を掛けられたようで、建国祭の式典に皇帝の名代として出席するマルロ大臣が泣く泣く参加することになった。マルロ大臣の護衛として一緒にダンジョン攻略に当たった弓兵の3人とモンド兄さんも参加することになった。

マルロ大臣は言う。


『また厄介ごとを押し付けられましたよ。メインで活躍できないから、お前が申し訳程度に参加してこいってね・・・。それにロイ殿とマティアス殿、ダンカン将軍も参加するからそれでいいだろうってね』


この人も苦労が絶えない人だ。


一応小国家群にも声を掛けていた。国の規模的に派遣できないことは分かっているが儀礼的に声を掛けないわけにもいかない。結局回答としては「グリエラとガイエルの出身は小国家群にあるドワーフの里とエルフの森なので、それで参加したことにしてほしい」とのことだった。特に気にすることはないが、ダンジョン攻略に成功したら形だけでもお礼をしなければならないだろう。


最後は地元の自警団や冒険者の選抜チームだ。

まずはシーサーペント対策としてリザードマンの部隊、地龍対策として阿修羅族の部隊、ワイバーン対策としてゴブリン弓兵隊、ダンカン将軍を中心とした遊撃部隊を編成した。

冒険者についてはパーティー単位での運用は考えておらず、どれかの部隊員として活動してもらうことを伝えた。参加を打診した冒険者はファーストステージを突破できる実力がある冒険者ばかりでそれなりにプライドが高く、パーティーをバラすことに抵抗があり、あまり多くは集まらなかった。

しかし、最近伸び盛りの新人パーティーミックスナッツが受け入れたことにより、それなりに人員を確保することができた。


戦力は揃った。直前のミーティングで再度作戦を確認した後に出発となった。クラシアが鼓舞するために最後の演説をする。


「ダンジョン攻略のために我々はここに集いました。国籍も種族もバラバラで互いに思うところはあるでしょう。しかし、この瞬間だけはすべてを忘れてダンジョン攻略に全力を注いでください。皆さんの力があれば絶対に成し遂げられるでしょう!!」


我妻ながら凛々しく美しい。早く帰ってモフモフしてあげたい。


おっといけない。余計なことを考えずに集中しなければ。

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