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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第五章 動き出した陰謀

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新生龍神ダンジョン 5

ある程度予想していたところではあるが、想像以上だった。草原のようなフィールドでエリア一面に地龍がいるし、上空にはワイバーンが群れをなしている。全部を討伐することは無理だ。

すぐに指示を出す。


「前衛はアッシュさん、ピアース王子、ブラックゲイルで、進路を確保してください!!ポポル君はボウガンゴーレムを召喚して、アルテミス王女とともにワイバーンを対策してください。ローグさんは中央で臨機応変にサポートしてください!!」


合同訓練をしただけあって指示通りに動いてくれた。

このパーティーなら1体2体なら即討伐できるが、ここまで数が多いとかなり厳しい。僕の武器であるスリングショットは火力が無く、地龍やワイバーンには無力だ。火力が高い新兵器も用意しているが、ここで使うわけにはいかない。なので、指揮に徹することにした。僕の役目は前衛と後衛の距離を適切に保つことだ。

戦闘が始まるとローグさんがバランスを取ってくれて、ほとんど指示をすることはなかった。


「早く進みたい気持ちは分かりますが、一定のペースを維持してください。前衛と後衛のバランスが崩れると一気に戦線が崩壊します」


苦労しながら進むとセフティースポットが設置されていた。

一端ここで、体力や魔力を回復させる。

アッシュさんが言う。


「こりゃあヤバイな。油断したまま来たら全滅だったかもしれないな」


「だから言ったでしょ。ここからはもっと厳しくなるわ」


セフティースポットから次に進むゾーンを確認する。至る所にため池のようなものが設置されていた。ため池を迂回しながら進むとジグザグに進むことになり、前衛と後衛のバランスを取ることが非常に難しくなる。

僕達はフォーメーションを変えることにした。


ポポル君に6体のゴーレム召喚してもらいを前後左右に配置してもらい、地龍達の足止めをしてもらう。

人員配置は、正面をアッシュさん左をブラックゲイル、右をピアース王子、後方をローグさんに担当してもらい、中央に僕とアルテミス王女とポポル君が配置する。


これで攻撃を防ぎながら進軍できる。そして、包囲網を抜けて来た地龍にはアルテミス王女が対応する。

ピアース王子が言う。


「これだとワイバーンの牽制ができないんじゃないかな?」


「そうかもしれませんが、この人数ではすべて対応できません。危険なところまで近付いたワイバーンのみアルテミス王女に狙撃してもらいます。そこを抜けられたら僕がスリングショットで対応します。ワイバーンはブレス攻撃をしてこないので、その辺はまだ救いですけど・・・・」


あまり数が用意できなかったが、爆発する魔石で作ったスリングショットの弾を用意している。なので、一撃で討伐することはできないが、動きを止めることはできるだろう。



作戦を確認し、体力が回復した僕達は再度進軍を開始した。

今回も一面に地龍がいるし、上空にワイバーンの群れが待機している。

ため池を迂回しながらジグザグに進むと予想外のことが起きた。ため池からシーサーペントが現れた。Bランクの魔物でこれも1体2体であれば大したことはないが、神出鬼没で、厄介なことに水流ブレスを撃ってくる。

遠距離攻撃がないことを前提に作戦を立てていたので、作戦の根底が覆された形だ。


「一端、セフティースポットに退避します。合図しますのでローグさんとアッシュさんは場所を入れ替えてください!!」


アッシュさんとローグさんを入れ替えたのは、アッシュさんの方が突破力があるからだ。一瞬、アッシュさんが不満そうな顔をしたが、状況が状況なので了承してくれた。

ゴーレムが3体破壊されたが、重傷を負うこともなく、セフティースポットまで引き返すことができた。


アルテミス王女が言う。


「地龍に対応しながら上空からはワイバーンを警戒し、ため池からはシーサーペントが水流ブレスを撃ってくる・・・・かなり状況は悪いわね。ロイさん、何か策はある?」


僕は考える。

余裕でダンジョンを攻略できるなんて考えは捨てなければならない。何かを犠牲にしなければ・・・


「作戦を言います。ポポル君は大楯ゴーレムを6体出してください。攻撃は捨てて、シーサーペントの水龍ブレスの防護に集中してください。基本的な位置関係はそのままでいきましょう。ただ、ゴーレムが攻撃に加われない分、地龍の対応は厳しくなりますが・・・・」


アッシュさんが言う。


「しんどくなっても仕方ない。俺は指示通り突き進むだけだからな!!」


「ニューポートから支援をいただいてるので、予備のゴーレムはかなりあります。全部使い潰してもいいくらいです」


ポポル君も意気込む。

本当に心強い。これならこのゾーンも突破できるだろう。

作戦通りのフォーメーションで進軍する。


地龍とワイバーンはできる限り倒しながら進む。シーサーペントについては、無視している。本当は多少でも討伐したかったが、今の戦力では無理だ。

この代償は高くついた。ポポル君のゴーレムがどんどんと削られていく。いくら大楯を装備しているからといって、一方的に水流ブレスを撃たれっぱなしでは、仕方がない。


破壊されたゴーレムを予備のゴーレムと入れ替えながら進んでいく。しばらくして、龍神様の声が聞こえた。


『よく来たな!!強者達よ!!ここまで来れたことに敬意を表する。しかし、はたしてこのダンジョンボスが倒せるかな?』


ここでダンジョンボスが出て来るのか・・・・。

現われたのは、三つ首の巨大な龍だった。こんなの見たことがない。

ピアース王子が驚愕した声で言う。


「ま、まさか、そんな・・・伝説の龍、三頭龍ヒュドラだ」


ピアース王子の説明では、魔族領で大昔に大暴れしたそうだ。それぞれの頭から三種類のブレスを吐いてくるそうだ。軍隊を総動員して対処するくらいの厄介な龍らしい。


ここまで来るにもボロボロの状態なのに、ここから伝説の龍と戦わないといけないのか・・・。


文句を言っても仕方がない。僕は秘密兵器をアイテムボックスから取り出した。それは、ミスリルリザード戦でも使用したマジックランチャーだ。筒状の長い金属に爆発する魔石を詰め込んで、魔力を帯びた弾丸を発射する。前回に比べて威力も上がっている。

ただ、10発しか用意していない。かなりコストがかかるからだ。1発で金貨・・・・考えるのは止めておこう。クラシアにはコストなんか気にせずにもっと持っていくように言われていたけど、流石にそれはできなかった。


僕はマジックランチャーで三頭龍ヒュドラを狙い撃った。ダメージは入っているようだったが、自動回復スキルを持っているようで、傷がどんどんと回復している。それに右の頭が炎のブレス、左が氷のブレス、真ん中が電撃のブレスを撃ってくるので近接攻撃が得意なアッシュとブラックゲイルは近づけない。

更に悪いことは続く。


「地龍やワイバーンが後ろから迫ってきてる。こいつらの相手をしながら、三頭龍ヒュドラを討伐するなんて無理だ!!」


ローグさんが叫んだ。

もう仕方がない。残念だがここで撤退だ。

僕が指示を出すとみんな従ってくれた。ボス用に取っておいたマジックランチャーをワイバーンと地龍に向けて発射した。多くの地龍やワイバーンが吹っ飛ばされ、道ができた。


「ポポル君!!ゴーレムをすべて出して動線を確保してください。苦しいですが一気にエリアを抜けます!!」




何とか帰還できた。マジックランチャーは撃ち尽くし、ポポル君のゴーレムも数体を残すのみとなった。かなり危ない戦いだった。

ギルド支部にはクラシアが迎えに来てくれていた。


「ごめん・・・攻略できなかったよ」


「何言っているのよ!!あなたが無事に帰って来ただけで、私は満足だから」


そう言ってクラシアが抱き着いてきた。


次の日、ドライスタ様の使いのヘンリーさんが来て、「素晴らしい戦いだった。今回採取した素材で料理を作ってもてなしてくれたら、それで水に流す」との伝言を伝えてくれた。


なんとか、お許しをいただけたようだ。

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