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<完結>ダンジョンコンサルタント~魔王学院ダンジョン経営学部のエリートが劣等生女子とともにポンコツダンジョンを立て直します  作者: 楊楊
第五章 動き出した陰謀

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マスター会議 3

一連の事件の首謀者であったクレメンス会長が拘束されたが、問題は山積みだ。

まず、今後のダンジョン協会の運営と会長を誰にするかだ。

皇帝陛下が口を開く。


「代々、ユリシア大陸ダンジョン協会の会長はタルシュ帝国の人間が務めてきた。しかし、今回の事件を受けて、不正を防止する観点からも、こちらの大陸の者が会長になることが良いのではないかと思う。もちろん、こちらから人員は派遣するが・・・」


皇帝陛下の提案としては、会長をユリシア大陸側の人間、補佐をタルシュ帝国の人間が行うことにより、相互チェックできる体制を確立して、今回のような不祥事が起きないようにすることだった。

会議出席者に反対は無かった。しかし、次期会長が決まらなかった。それはそうだろう。誰も火中の栗を拾いたくはない。

そんなとき、予想だにしていない人物が発言した。「光の洞窟」のネロスさんだ。


「あ、あの・・・。私はキョウカ様がいいと思います。理由としては、ランキング1位ですし、それにキョウカ様ば素晴らしく、尊敬できる方で・・・・」


後半はキョウカ様を褒め称えるだけだった。しかし、意外に会場の反応は良かった。

これ幸いと思ったのだろう。


「儂もそれがいいと思う」

「そうですね。それがいいですわ」


ドワーフとエルフのマスターが賛成をする。

更にラッセルさんも賛成にまわる。


「今回の事件を収められるのはキョウカ様ぐらいしかいません。会長は名誉職として、細かい業務はダンコルの方にでもやってもらえばいいのでは?」


更に皇帝陛下までも賛成する。


「キョウカ様の配下には、ヘンリーもおります。ヘンリーに協会とタルシュ帝国の仲を取り持ってもらえれば言うことありませんな」


キョウカ様をチラッと見る。頼りにされて少し嬉しそうだ。

そして、言った。


「ま、まあ・・・・皆がどうしてもというなら、やっても構いませんわよ」


(多分、仕事にはノータッチだろう。実務はこちらに丸投げ確定だ。また休みがなくなる・・・)





ダンジョン協会の再建が始まり、多忙を極めた。

再建の実質的な指揮を執るのはもちろんヘンリーさんだ。しかし、いくらヘンリーさんでも、業務量が多すぎる。仕方がないので、ドライスタ様に無理を言って、新人のエリーナを派遣してもらった。

彼女自体、ダンジョン経営学部のトップで、性格に問題がなければ引く手あまただったと思う。それにエルフの血を引いていることもあり、ハイエルフのキョウカ様には絶対服従だ。

なので、今回の派遣は適任であるのかもしれない。


数日経つとエリーナの加入もあって、何とか形にはなってきた。

ヘンリーさんは言わずもがなエリーナの活躍は目覚ましい。打って変わって私はというと、また戦力外通告を受けてしまった。だって、一緒に仕事をしているメンバーはエリーナやヘンリーさん程ではないにしても、ダンジョン経営学部の成績上位者ばかりを集めたエリートばかりだ。身辺調査の結果、問題のなかった職員はそのまま勤務してもらっているのだ。

私も基本的な書類仕事はできるものの、エリート達と比べるとかなり差がある。

なので、私はダンジョン協会会長のキョウカ様のお世話係に成り下がってしまった。


キョウカ様はというと何をするわけでもなく、会長室に居座り、のんびりしている。たまに


「「試練の塔」のマスターにしてダンコルの特別顧問、そしてダンジョン協会の会長・・・・忙しすぎる・・・」


と呟いていたが、無視しておいた。


業務としては、朝と夕方にヘンリーさんが報告に来るが、それ以外は自由時間で、主な仕事は来客の対応だ。

一番多いのはエルフのマスターやスタッフ達だ。ハイエルフであるキョウカ様にご挨拶をということで、1日に1組は必ず訪れる。まるでアイドルに群がるファンのようだ。

特に入り浸っているのは「森のダンジョン」のエルフのマスター、フロレインさんだ。

エルフだけあって美形な女性だ。当初はキョウカ様目当て来所していたのだが、最近では別の目的もある。


「ナタリーちゃん、いつもの紅茶セットでお願い。それと今日のモフは一角兎ホーンラビットのミミちゃんで!!」


紅茶セットを用意し、待機させていたミミに指示をする。まるでモフモフ喫茶のようだ。

なぜ、こうなったかというと、キョウカ様に実家のことを尋ねられ、モフモフカフェの話をしたところ、フロレインさんが食い付いてきた。実際にモフモフ達を呼び出して説明したところ、フロレインさんは大変気に入り、それ以後、入り浸っている。

今日も、スタッフ2名を連れてきている。


「キョウカ様もこちらで一緒にミミちゃんを愛でませんか?」


「その一角兎ホーンラビットはあざとい感じがして、好きになれませんわ。私は彼女にします。フワッチ!!こっちに来なさい」


フワフワ鳥のフワッチは私の肩から飛び立ち、キョウカ様の肩に止まる。キョウカ様も嬉しそうだし、来客のフロレインさん以下も微笑ましく見ている。


ただ、ミミは少しショックを受けている。


「キュー、キュー」(私のあざとさがバレてる・・・・)


そんな感じで、私はカフェのような仕事をしている。


そして意外なことにタルシュ帝国の皇帝夫妻が3日に1度はやってくる。

今日も会長室でおもてなしをしている。


「ナタリーちゃんの入れてくれるお茶もサンドイッチもクッキーも美味しいわ。うちにお嫁に来てくれたらいいのに」


そう言ってくれるのは皇后陛下だ。


「いえいえ、そんな・・・・」


本気で言っているのだろうか?


皇帝夫妻と仲良くなり、ヘンリーさんのことについても教えてもらった。実はヘンリーさんは彼らの息子だそうだ。自分達で育てたかったが、政争でゴタついていて、暗殺の危険もあったことから、ヘンリーさんは名前を変え、某ダンジョンマスターに育てられたとのことだった。

幼い時のヘンリーさんの話を聞くと意外なことに甘えん坊だったそうだ。


「意外ですね。今では想像もつきませんよ」


「それはそうとナタリーちゃんは、ヘンリーとどんな感じなの?いい感じ?」


「え、えっと・・・どちらかというと嫌われてるかもしれません。たまに意地悪を言ってきたり、からかってきたりするんで・・・・」


「えっ!!そうなの!!それは凄いことよ。ヘンリーは昔ね、気に入った子には意地悪したりして、素直になれなかったのよ。ヘンリーがねえ・・・へえ・・・・」


そんな話をしていたところ、フロレインさんが会話に入ってる。


「なに?何?恋バナ?」


そんな感じで、順調?にダンジョン協会の再建は進んでいくのだった。

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