20/31
19...泣天狗へのおねだり
鵺宵が誕生してから、幾日が過ぎたある日。
「ごちそうさま」
「うぅ...ごちそうさま...」
鵺宵と泣天狗は、今日も今日とて、鵺宵の部屋で昼食を共にしていた。
「おいしかったね」
「...うん」
「ねぇ、泣ちゃん」
鵺宵が、泣天狗に声を掛ける。
鵺宵は、彼女のことを愛称で呼ぶようになっていた。
「今日は一緒に居てくれる?」
鵺宵は、上目遣いで泣天狗を見た。
鵺宵は、この部屋から、一人で出歩くことを禁止されている。
その為、する事と言えば、泣天狗や自らの体から生えている白蛇たちと話す事くらいだった。
それ以外の時間は眠っている。
「うぅ...ごめんね...今日は、訓練のお手伝いをしなくちゃ...」
泣天狗は、悲痛な表情で謝罪した。
「残念」
「うぅ...」
「あっそうだ。
ねぇ、じゃあ、私も一緒に行って良い?」
「うぅ...でも、部屋から出ちゃいけないんでしょう?」
「泣天狗様と一緒だったら大丈夫だと思う。
それに、怒られたらすぐに帰るから。
ねっいいでしょ?」
「うぅ...わかったよぉ」
「やったぁ」
鵺宵は、嬉しそうに泣天狗に抱き付いた。