18...鎖凪による座学3【妖術?妖力?】
「ねえ、私の背中に生えてる白蛇さんにお願いするとね、
黒い煙が出てくるの。
白蛇さん、お願い」
「シュルル」
白蛇は口から、ちょろりと黒煙を吹き出させた。
「ありがとう...
ねぇ、これって瘴気?」
鵺宵は、改めて鎖凪に問う。
「違うわよ。
瘴気と少し似てるかもしれないけど全然別物」
「それはね、妖術よ」
「妖術?」
「妖術はね、妖力を使って使う術の事よ。
貴方は黒い煙を操る妖術が、得意みたいね。
でもね、妖廻によっては、炎の妖術や、雷の妖術を使う者もいるのよ。
他にも、体の一部を堅くしたり、大きくしたりする妖術を使う者もいる。
天狗様たちは、あの立派な翼を使った妖術が得意ね。
それと、綾女さんは糸を使った妖術が得意よ」
「へぇ...えっと...じゃあ妖力ってなに?」
「妖力はね、生きとし生けるものに宿る不思議な力よ。
草木や虫、獣なんかにも妖力は宿っているの。
特に妖廻は、他の生き物とは比べものにならないほど、沢山の妖力を宿しているわ。
当然私も持っている。
そうだわ...少し、妖術を見せてあげるわね」
鎖凪は、右の掌を鵺宵に見えるように突き出す。
「掌を見ていてね」
鎖凪の掌から、炎が立ち上った。
「こんな風に火を出したり」
今度は、左の人差し指を火の上に翳す。
指の先から水が滴った。
「水を生み出したりすることもできる」
二つの妖術が触れ合って相殺した。
鎖凪の掌の上で繰り広げられる、不思議な光景を鵺宵は食い入るように見て居た。
「凄い...
私も火、出せる?」
「うーん...
妖廻は、生まれつき得意な妖術が決まっている場合が多いから...
難しいかもしれないわ」
「そっか...」
「努力すれば出来る様になるかもしれないけれど、
まずは、今できる黒煙の妖術を磨いていくべきね」
「わかった」