1-8 花畑を調べよう!
作った家の窓から朝日が差し込んできた。朝が来たようだ。
「もう朝かぁ……」
僕は横で寝ているラナに声をかけてから起き上がる
昨日は出来上がった家の中で早速寝てみたのだが、木の下で寝ていた昨日や一昨日に比べ風や雨などの影響を受けないのでそこは問題なかったものの、地面に比べれば固い床に直に寝ていたのでなんだか若干体が痛い。
これは早いうちにベッドを作るか買うかしないとな。
それはそうと朝食を作ろう。
僕は寝ていた部屋から出て台所代わりのテーブルや大きなテーブルを置いたリビングに行く。
僕は残っていたパンと昨日までに少し取っておいた果物を僕とラナの分の二皿をそれぞれ昨日作ったお皿載せて、すでにテーブルの上に座っているラナのところとその向かい側に置いて僕も席に着いて……
「「いただきます」」
そういってからご飯を食べ始めた。
なんだか、こうやってちゃんと席についてご飯を食べるのって久しぶりだ。思えば魔王城を出てから一か月以上たっているもんな。
それはそうと……
「やっぱり、ラナにはイス大きすぎたね……」
「そうだねー」
「ごめんね。頭から抜けてて同じように作っちゃって……」
ラナは精霊だから大きさが人や僕たち魔族よりも小さいのにそれを忘れてイスを作ってしまったから、
ラナは座れなかった。なので、今はテーブルに直に座っている。
「ううん、大丈夫だよ?」
「本当?何ならラナ用のイスを作りなおすけど……」
「大丈夫、大丈夫。その心配いらないよ」
「そう?ならわかった」
どうやら本人にはそこまで不便ではないらしいし、余計なおせっかいを焼くのも何なのでこのままでい
こう。すこし行儀が悪い気もするけど……
「あっ、そうそうルルウ。今日はなんかするの?昨日まではおうち作りだったけどそれは完成しちゃったし……」
ラナがその小さい口で果物を頬張りながらそう聞いてきた。
今日の予定か………まだ特に考えてなかったなぁ。
うーん、何をしようか。あ、そうだ!
「そうだねー、今日はこの周りの花畑とか森とかを調べて回ろうかな?僕はまだここにきて短いからそこまで詳しくないし」
「あっ、いいね。そういえばだけど、私も殆ど丘の近くにしかいなかったからあんまり詳しくなかったし」
「そうなのー?」
「うん、そう。わたしはあんまり花とかにも詳しくなかったし、ここを眺めてるだけでも楽しかったしね」
「そうなんだー」
じゃあ、二人でかなり楽しめそうだ。
「じゃあ、ごはん食べたら少し準備して出発しようか」
「うん!」
「じゃあ、行くよ!」
「おっけー」
僕たちは外を出て早速調査に向かう。
まずはこの周りの花から。
この花畑にはかなり多種多様な花が咲いているようでパッと見ただけでもかなりの種類が確認できる。
「えーっと、こっちに生えているのはチューリップだ」
「へー、そうなんだー」
今の季節、春の代表的な花の一つ。チューリップっていう花だけでも赤や白、黄色などかなりの種類生えている。
「で、あっちに生えている紫色の花は確か………ルピナスだっけ」
チューリップは城で暮らしている時も何度か育てたっことがあるし、これを鉢植えに移して育ててもいいかも。
他にもいろいろな春に咲く花がかなりの数生えている。
それもその花が本来ここの気候帯では生えないものも生えている。どうやらここの花畑は不思議な力があるのかもしれない。面白い。
「ルルウって魔族なのにすっごい物知りだね。わたし、精霊だけど全然わからないや。というか、魔族ってみんなルルウみたいに物知りなの?」
「いや、魔族がみんなこんなに花について知らないと思うよ。魔族の大半は知識を覚えることなんかよ
り戦いが好きだからね………それはそうと精霊はこういうこと詳しくないの?僕の個人的なイメージだと詳しそうなんだけど……」
精霊って自然の中で自然と共生しているって聞いていたから、そういうことはほかの種族に比べて頭一つ抜けて詳しい感じがしてならないんだけど、ラナは違うって少し前に言っていたからどうなのかわからなくなった。
「うーんとね、精霊の中にはかなり詳しい人とか結構いるよ?特にね、前精霊王様はかなりお花とか植物なんかに詳しかったらしいし、他にもいろんな知識が昔から賢人さんたちに代々教え受け継がれてい
るらしいよ。ただ、わたしは昔から魔法ばっかしてきたからわからないけど………」
「そうなんだぁ」
どうやら基本的には僕のイメージ通りらしい。ラナはただ知らないだけだったのか。
「でも、やっぱりすごいよ。こんなに詳しいなんて。なんでルルウは魔族なのにこんなに詳しいの?」
「僕は魔族の街で暮らしていた時に、僕の姉さんに教えてもらったんだよ。なぜかわからないけど僕の姉さんはすごい花とか植物について詳しかったんだ」
「へー、ルルウってお姉さんに教えてもらったんだ。すごいねお姉さん」
「うん、確かに姉さんはすごい人だよ」
ほんと今思えば姉さんはすごい人だと思う。それにそれ以上に不思議な人だとも思う。
僕がもともと花に興味を持ったのは姉さんのおかげだけど、姉さんはなんで花に興味を持ったんだろう?ていうか、あの植物に対する知識はの出どころはどこなんだかすごい気になる。
確かに魔王城にはカースイースト全域の中でも最大級の書庫がある。なのでいろいろな知識を知ることはできる。しかし、あそこには植物に関るものはかなり少なかったはず。だから、魔族の世界で普通に暮らしていたら知る機会なんてないほぼないと思うんだけど。
もしかして精霊とかと交流でもあったのかな。や、ないか。
まぁ、他の知識、特に魔術とかすごかったし、普通に戦闘するにしてもやっぱり魔王の血を引いているからか一般的な魔族よりかなり強い。
まぁそんな姉さんだけど、僕は少し苦手なんだよなぁ。
特に僕に対するあの態度……
姉さんは僕のことをすごい子ども扱いするし、この年齢になってももっと甘えてくれなんて言ってくるし、極めつけは『るーくん』という、僕に対しての呼び方だ。
別に親しみを持たれて呼ばれることは構わない。むしろ歓迎だ。でも流石にこれは子供っぽいと思う。人前でそう呼ばれるのはかなり恥ずかしかったし。
もう少しだけでも普通に接してくれれば、そんなに苦手意識も持たなかったんだろうけど、あの人は言ってもどうにもならないんだよな。
まぁ、当分先は何か問題でも起きない限りは会わないだろうし、それにもう少し成長すれば子ども扱いをやめて大人として扱ってくれるかもしれないし頑張るか。
それはともかくもう少し先に進んでみよう。
僕たちは花畑をもっと進んでその先の森に入ってみる。
ここら辺の森は来る時と、丸太を切り出すときに何度か入ったけど、あんまり詳しく見ていなかったのでそこまでこのもりについてわかっていない。
森は魔物とかが出るかもしれないし、何か果物がなっているかもしれないので出来れば詳しく知っておきたい。
ラナも森の方は全然知らないらしいし。
「何があるかな?」
「そうだね、何があるんだろう。あ、あっちに何かある!」
森の中を見渡していると何かが成っている木をみつけた。
僕たちはその木に向かって行き、その木の下まで来た。
「ねぇ、ルルウ。この赤い果実は何て言うの?」
「これはリンゴだと思う。僕もあんまり見たことないから確信はあまり持てないけど」
リンゴは城に住んでいるとき何度か見たことがある気がする。でも、別に確認したわけでもないので僕が見たっていうのは僕の予想でしかないけど。
そのほかではあんまり見る機会がなかったからな。城の周りだと栽培なんてされていなかったし。
「折角だし、これ何個か家に持って帰ろうか」
「うん、持って帰ろう!これ食べれるんでしょ?楽しみだなぁ」
「そうだね僕も食べたことはないから少し楽しみだ」
僕たちは木から十個くらいとって、魔法の空間収納というものでしまっておく。
じゃあリンゴはもうとったし、もう少し進んでみよう。
もっと知らないものがあるかもしれないからね。
僕たちはそのまま森のもう少し奥に入っていった。




