1-5 発見、花畑!遭遇、精霊ラナベル!
森を歩き始めて約五日ほどたっただろうか、今のところ人円や強い魔物には会わずに安全に向かうことが出来ている。むしろ何もなさ過ぎて少し不安になるくらいだ。
「それはそうともうそろそろ着くはずなんだけどなぁ」
――たしかこの辺りだったはず………
うろ覚えの記憶をもとに目的の0場所に向かっているので多少の誤差はあるだろうけど、確かここら辺なはず。
少し不安になりながらも前へと進んでいくこと一時間。
「あっ!これは平原に出そうだ!」
目の前に見えるのは森の端。木が茂っている森よりも日当たりがいい場所。
僕はその森の切れ目向かってそのまま歩いていきこの森を向ける。
「っ、眩しいっ!」
このところずっと森の中にいたせいか太陽から直接放たれる日光が眩しく、つい反射的に腕で日光を遮った。
眩しく感じた日光にもいつの間にか慣れ、周りを見渡すために目を覆っていた遮っていた腕を下す。
するとそこには………
「花畑……」
そう、そこには草原全体を覆う一面の花畑。そしてここから少し先には大きな一本の木が生えている小高い丘。
そう、ここ!こここそだ僕が目指していた場所!
長年あこがれていた場所に来れた喜びのせいか、僕は興奮が実の底から湧き上がってきた。
そして、ついにはその感情が理性では抑えきれなくなり、僕はあの小高い丘めがけて走り出す。
とても愉快な足取りで花をよけながら。
「わぁーーーーー!わはは、やった!やっと着いた!」
僕は木の下に着くとその走ってきた勢いのまま木の下に転がった。
木の下に体を投げ出した僕の頬をくすぐるように草原を駆け抜ける風が吹き抜ける。
これがかなり気持ちよく思わず目を閉じる。
風に乗って飛んでくる花の香りなんかもとても心地が良い。
そんな風に心の中で思っていると……
「ねぇ、ここで何してるの?」
突然、僕の上からというか僕の目の前で声が聞こえてきて反射的に驚いて上体を起こす。そして、声の主の方に目を向ける。
そこにいたのは……
「精霊………?」
そうそこにいたのは身長が魔導書程度しかない小さな金髪の少女。
「え、うん。わたしは精霊だよ?それで、あなた誰―?」
「ぼ、僕?僕はルルウ」
「そっかぁ、わたしは精霊族のラナベルっていうんだよろしくね」
精霊族かぁ……初めて見た。
存在は前から知ってたけど、魔族以外はほとんど住んでいない魔族領カースイーストでは会うことなんてなく珍しい存在だ。まぁ、カースイーストではほかの種族ならどれでも珍しいけど。
それはともかくこんなところで会えるとはちょっとびっくりだ。
その驚きのせいか少しぼーっとしていると……
「ねぇ、なんでここにいるのー?あなた、魔族でしょ?」
「え!?」
え、魔族?なんで、魔族って……
なんでこのラナベルという精霊は僕が魔族だということを知っているんだ?
僕はまだそんなこと言ってないよ。
というか、魔族ってバレたくなかったからわざわざ種族は言わなかったのに……
「なんで、僕が魔族ってわかったの……?」
驚いたせいでされた質問も頭から抜けそう問いかけた。
「えー、なんでっていわれてもなー。雰囲気とかオーラとかが感覚的にそうだなって。精霊の感的
な?」
「そうなんだ……」
精霊の感覚的に分かるのか……
よかった、バレないって話は嘘で精霊以外にも丸わかりなのかと一瞬不安になったけどそうじゃなくて少し安心だ。
「で、ここに何しに来たのー?魔族ってあの山脈の向こうにしかいないでしょ?」
ラナベルは森の向こう側に見えるラダナプト大山脈を指さしながらそういう。
「え、えっと、ここに来たかったから、かな」
ここが好きここに来たかった。それ以外にいえるような理由はない。
というか実際の理由の大半はこれだ。正直、魔王が嫌というのも殆ど方方便のようなものだ。
「ふーん、そうなんだ!珍しいね、魔族のあなたがこの花畑が一面に広がっている場所が好きだなん
て。まぁ、わたしもここはすごい好きだからその気持ちはわからないでもないけど」
僕の答えに対してラナベルがそういうと、一回考えるような様子を見せて再びこちらに振り向く。そし
て……
「じゃあさ、一緒にここで住まない?」
「………えっ!?」
「だからー、一緒にここで住まないかって……」
「いいの?」
「うんいいよ。正直、ここで独りぼっちだったから少し寂しかったの。それにあなたとなら気も合いそうだから」
「じゃあ、よろしく」
「うん、よろしく!」
なんだかわからないけど、僕はかなりラナベルに気に入られたようだ。
自分としてはかなりうれしかったりする。
ここまでの約一か月間、あまり人に出会えていないし話し相手もいなかく、若干寂しかった。
それにここから暮らすのは未知の土地、この後も話し相手がそんな簡単にできるとは限らない。
だから、ここで話し相手になりえる同居人はうれしい。
それにラナベルは精霊だから自分の知らないことを教えてもらえそうだし。
ということで、僕たち二人の愉快な暮らしが始まった。




