1-19 光属性を習得したいのだ
四か月
「はいっ!」
「ありがとう」
朝食をラナに渡して僕はラナの正面の席に座る。
「「いただきます」」
そして二人揃って食べ始める。
――うーん、家でゆっくりと朝食を食べるのも久しぶりな気がする。
あ、そうだ。昨日ラナが寝ているときに考えていたこと今のうちに話しとくか。
「なぁ、ラナ。これからどうする?」
「うーん、ルルウはどうしたいの?」
「僕的にはあの男が言っていたのを防ぎたいなって思っているんだけど」
僕の立場と理想からしてなんとしてでも防がないとかなりまずい。
たぶんそんなことが実際に起きたら、当たり前だけど今以上に両種族の関係がさらに険悪になってしまう。
「ああー、そういうことね。んー、そうだなー。わたし的にはルルウと一緒のことがしたいな」
そうかー、そういってくれるのは嬉しいしいろいろと都合がよいけどなんて言うか精霊族のラナにそんな容易に首を突っ込んでもらっていいのだろうか……?
でもやっぱり、あんまり巻き込みたくないんだよなぁ。
「いいの?たぶんだけど凄く面倒くさいことに巻き込まれると思うけど……」
「うん、いいよ。だってたとえ巻き込まれないで一人でいるよりも巻き込まれたとしてもルルウと二人でいた方が楽しそうだもん」
そっかー。
うん、そういわれるとなんだか嬉しいな。
じゃあこれからもラナと一緒にやっていこう。
それはそうともう少し細かく決めておこう。
「それで具体的な予定とかどうする?あのゲイルさんとルフェさんは暫くは街を見て回るって言ってたけど……」
「あっ、そういえばそんなこと言ってたね。うーん、そうだねー、わたしはあんまり人間の街について知らないからわたしも街の方に行くのは少しきついよね」
「うん、僕もそう思う」
僕も行ったことある街はあのレイロータスくらいで、土地勘もないし不慣れだから街で魔族がいるか調べるのは少し僕たちにはハードルが高いかもしれない。なんか調べてたらその内容が何だろうと少なからず怪しまれることもあるだろう。そうなったとしてもあの二人ならAランク冒険者というかなり保証された身分があるのに対して、僕たちはまだ初心者のGランクだからそこまで信用されるほどの力はないだろう。
それに、あまり人間の街に詳しくない僕たちだけでそんなウロチョロとしていたら迷子になったり、何か事件に巻き込まれたりする可能性も無きにしも非ずだ。事件を未然に解決するために調査しに行くのに現地で違う事件に巻き込まれるのは何ともばかばかしいしね。
「だよねー。ルルウはどうするー?」
「僕はゲイルさんたちが街の方を見てくれているなら一回大山脈の方を見に行っておきたいんだけど、それよりも先に僕としては戦うことに備えて魔法の練習をしておきたいんだよね」
「魔法の練習かー、いいね。わたしもちょっと練習必要かなーっておもってたし……」
そうなのか。それはなんだか教えてもらいそうだし僕としてもちょうどいいなぁ。
「あとそう、ラナにお願いしたいことがあるんだけど……あの、光魔法教えてくれないかな?」
「光属性魔法?別にいいよ!教えれるかわかんないけど……」
「本当!ありがとう」
おお、教えてくれるって!
「じゃあ、当分魔法の練習をして過ごそうか。それで練習の成果がそれなりになったら大山脈の方に行こう。」
――よし決まった。
予定は昨日考えていたこととほとんど昨日考えたことと同じだ。
ということで僕たちはこれからしばらくは魔法練習だ。
ラナに光属性魔法を教ええてもらって頑張るか。
「じゃあ、早速午後から始めよう」
「おーーーー!」
昼食を済ませた後、少ししてから家の表に出た。
魔法を勉強し始めたころから全属性魔法を覚えるのが一つの夢だったから、ついに光属性の魔法が覚えられると思うと胸が躍る。
でも、若干不安なんだよなぁ。完璧に光属性を習得できるのか。
というのも光属性はかなり特殊な魔法なのだ。
この世界には一部の特殊なものを除くと全部で火属性、水属性、土属性、風属性、光属性、闇属性、そして無属性の計七種類ある。
そのうち無属性を除く六種類を属性魔法といい、その中でも火、水、土、風を四大属性魔法何て言われることもある。こう呼ばれる理由は簡単で、光と闇の二種類と比べて圧倒的に習得がしやすく、数多くの人が使うことが出来るからである。それに対して、光と闇というのはかなり難解なもので色々と四大属性魔法とは異なるところがあり、使い手は限られてくる。
その理由の中でも大きな比重を占めるのはやっぱりなんといってもその習得のしづらさ。
この二つの魔法、四大属性魔法と違って術者の素質にかなり依存したところがあり、威力や操作性などが個人個人の素質に左右される。いや、それ以前にその素質がある人しかまずまず覚えることが出来ないと言われている。
それに加え、僕の場合もう一つ困った問題があるのだ。
それは、僕たち魔族はこの光属性の素質をほぼ持っていないということだ。割といろいろな魔法を見る機会があった僕でも、今までに魔族の中で光属性を行使している人を見たことはない。まぁ、光属性についての知識が魔族の間では殆んど無いというのも原因の一つではあると思うが、才能があったら知識はなくともなくともある程度は行使できるはずなので、やはり光属性の素質は魔族の間ではほぼ百パーセント出ないのだろう。
だからと言って僕が光属性を諦める理由にはならないんだけどね。
だってほぼ百パーセントっていうだけで持っているかもしれない人はいるかもしれない。それが僕といった可能性もある。
それにまずまずの話、さっき言った素質のある人しか習得できないっていうのも、ただの統計的な話で世界を作った神様が断言したわけでもないのでそうと完全に決まりきった訳でもないだろう。だとしたら僕の努力次第で覚えられる余地はまだあるはずだ。その代わり並々ならぬ努力が必要になると思うが…………
「じゃあ、早速始めたいんだけど、ルルウってどのくらい光属性の使い方わかる?わからないなら光属性の魔力を集めるコツみたいのから始めるけど……」
「光属性は全然わからないからそこから教えて欲しい。僕も前に何度か自分でできないかってやってみたことあるけどダメだったし……」
光属性と闇属性が似ているってのは以前から知っていたから、前やったときは普段使っている闇属性と同じ感覚で魔法のイメージだけを光や聖なる感じにしてやってみたのだが、いつまで経っても光属性の魔力は集まらず全く光属性の魔法を行使できなかった。
そのあとも書庫にあった文献を読み漁ってめぼしい情報を見つけては、それをもとに試行錯誤しながら光属性魔法の練習をしたのだが今の様子から分かる通り、得られた成果はなし。全く行使できるような様子さえなかった。
「うん分かった。じゃあ、まずはそうだねぇー。そう! 太陽をイメージして手のひらに魔力を集めてめてみて!」
「よし、わかった」
――太陽、太陽っと……
僕は言われた通りに頭の中で太陽のイメージをしながら光属性の魔力を自分の掌の上に集めようとする。
――お?おおっ!?
暫くするとなんだか淡く白い光を放つなんだか見ているだけで浄化でもされているような気分になる魔力が手のひらの近くに浮遊し始め、だんだんとそれが手のひらの中心に集まっていく。
光はだんだんと手のひらの中心に集まりそれぞれがくっつきあって一つとさっきよりも少し大きな一つの白い光へとなっていく。
ついに僕も光属性の魔法を使えるようになるのか! っと思った瞬間……
「あ、えっ……!?」
「あっ、あれっ?」
僕の少し間抜けた声とラナの疑問のこもった声が上がった。
なんでそんな声を上げたのかというと、なぜだか知らないけどさっきまで順調に集まっていた光属性の魔力が突然、まさに霧がかき消されたように霧散した。
「あれ、どうしてなんだろう?さっきまではちゃんと光属性の魔力が集まっていたのに……」
光属性をよく使うであろうラナもかなり困惑した様子をしながらそういうラナを見るに、どうやら今起こった集まっていた魔力が突然消滅するというのは光属性ではかなりのイレギュラーということなのだろう。実際、僕も他属性の話や実体験でもそんなことは起きたり聞いたこともないので頭の上に特大の疑問符を浮かべている。
「よくわかんないけど……もしかしたらルルウの体が光属性に順応してないからなのかも。元々光属性と対立している闇属性を使っていたからその二つが反発しあってるのかもね」
光属性と闇属性が反発しあっていると……確かにありえそうだ。
この二つは対立した属性だから通常この二つが混ざりあうなんてことができるわけないだろうし……
「じゃあ、どうすれば習得できると思う?」
最初だけだけども少し扱えそうな雰囲気があったのだから何とかして習得したい僕はラナに聞いてみる。
「そうだねー、わたしもどうすればいいかわからないけど順応していないなら順応させればいいんじゃないかな?」
「というと……?」
「わたしがこれから毎日ルルウに光属性の魔力を循環させるからそれで体に慣れさせれば使えるようになるんじゃないかなーって!予想だけどね!」
うーん、確かにそれなら順応できるようになれそうだし……他にこれといった解決策もなさそうだ。となったら、これしかないよなぁ。
「うん、じゃあそれでお願いするよ!」
「わかった。じゃあこれからがんばろー!」
こうして僕は毎日、ラナに協力してもらって光属性に体を順応させることから修業を始めることにした。




