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お花畑の家出魔王  作者: 果勿充希
進出!人の街!
2/21

2-1 到着、ラダナプト大山脈!

飛んで、歩いて、休んで、飛んで、歩いて、休んで……

たまに来た魔物を倒して……


そんな風に何十回も繰り返すこと約一か月。

僕はやっと目的地であるラダナプト大山脈のふもとに着くことが出来た。



『ラダナプト大山脈』


古くから言い伝えられている神話や伝説なんかにも出てくるこの大陸最大の山脈。

山脈としての規模、そしてそれぞれの山の大きさともに世界最大級であるラダナプト大山脈はところどころ山が雲を突き抜けてしまっている。

そんな雄大な姿は魔族、人間問わず皆に憧れとともに畏怖を感じさせている。


「これを越えないといけないのか……」


そう僕の目的地はこのラダナプト大山脈の先にある人間やエルフ、ドワーフなんかが住む

アルウェストである。そのためには山を越えるのは必須である。

こんな簡単には通ることが出来なさそうなラダナプト大山脈だが一応通り道が一つだけ存在する。

それは、大昔に僕たちの先祖である魔族たちが人間に対して進行するために魔王がその強大な力をふるって切り開いたとされているものだ。

これは作られた理由が理由なので軍でも通れるような広さがある。あまり整備はされていないので普通の山の道よりも大変だが、この山のほかのところを無理に進むのより簡単なことは火を見るよりも明らかだ。

なので、この道を通っていくのが最善の方法だ。



――しかし、


今回はこの道を使わない。

いや、正確に言ったら使えない。

何故かと言うと、この道を使おうとしたら僕が見つかってしまうからだ。

この道はラダナプト大山脈に分断された地を唯一行き来できる道だ。

なので、人間と魔族お互いにお互いがここから侵入してこないか見張っている。

魔族の監視は魔王直々(ここは父上が代わりにやってくれていたので僕は詳しくはわからないけど)の命令なので魔王城に直で情報が伝わる。

だから、このまま進んだら僕がここにいるのがばれてこれまでの努力が水の泡になってしまう。

もし、運よく監視の目を掻い潜って抜けたとしても向こう側では魔族よりもより厳しく監視しているらしい人間の監視が見張っているのでこの道は使えない。


では、どうやってこの大山脈を越えるのか。


それは――

この先にあるこの大山脈の山々の間を横切るように流れている河の上を飛んでいくという方法だ。

この河にはまったく監視がいないためここを進めば特に問題なくあちら側に行くことが出来る。

しかし、この河をたどっていけば問題ないとはいうものの、それを行うのは限りなく大変である。

まず、この河はかなり長い。そりゃ世界一大きい山脈の間を流れているのだ。山の間に流れているところだけでもかなりの長さがある。

それだけでなくこの河は急な山の斜面の間を流れているので途中降りて休むことはできない。なので、この道を行くには休みなしで飛び続けなければならない。

それにこの山脈にはとても強力な魔物が多数住んでいるとされている。その中でもいくつかの高い山にはかなり強いワイバーン種がいるらしい。

いくら僕が飛べるからといっても流石にワイバーンに空中でいきなり襲われるとかなりきつい。

それに実際は長い時間飛ぶ必要があるのでそんなのは相手にできないだろう。


なので、正直に言うとこの道を行くのは不可能だ。


しかし、ここしか使えないのは事実だ。

それこそごり押しで山を越えようとした場合なんか、その山に住む強力な魔物が群れでひっきりなしに現れることだろう。

それにこの大きさだ。ただ超えるだけでも体力を大きく消耗するだろう。


なのでどんなに大変でも可能性が低くても、河の方がましなのである。


というわけで、この山を越えるわけだけどさすがに今日今から超えるのは無理だろう。

個人的には早速向かいたいし、あまりここで長居するのもよくなさそうだからいきたいんだけど、もう既にここに来るまでにある程度消耗していて山を越えられるような体力はないので休むのが必要だ。


「ふぅー」


僕は休むためにそこら辺の木の根元で寝転がる。

ちょうどそこからはこのあと飛び立つ予定である河が見える。

河は大きくゆっくりと流れている。


「ちゃんと飛びきれるかなぁ……」


覚悟は城を出る前、計画段階でこれしかないと決めた時に一緒に決めてきている。

しかし、実際にこう見るとすこし不安が残る。

しっかりと飛べきれるか……

魔物に遭遇しないだろうか……

何か予想外の問題が起きないだろうか……

ここで失敗すればすべてが水の泡になるから余計心配なんだろう。


「いや、もう考えるのはやめよう。考えてもいいことないし……」


そんなことよりも休む方が自分のためだ。

どうせ行くしかないからな。

僕は考えるのをやめて目を閉じた。


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