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お花畑の家出魔王  作者: 果勿充希
進出!人の街!
13/21

1-13 もう一度街に

ラナが僕と同じ大きさになってから二、三週間後。

最初こそ若干違和感があったものの、すっかり同じ大きさのラナにもなれた。

そんな僕たちは今、またレイロータスの街に来ていた。


「まずはラナの冒険者登録をしに行こうか」



このレンガ造りの冒険者ギルドの建物を見るのは二度目だけど、やっぱりすごい重圧感を感じる。どっしりと構えていて冒険者という職種にふさわしいと言えばふさわしいと思う。

それは置いといて、今日街に来たのはここでのことがメインだから早速入ろう。

僕たちは前回と同じように受付カウンターに行き、受付をしてくれている職員さんにラナの冒険者登録をお願いする。

ラナに渡された書類を渡して僕はその隣で見舞っている。


「うん、できた。はい、お願いします」


「はい、受け取りました。では、少しお待ちください」


そういって、書類を受け取った職員さんは前回と同じようにギルドの奥に入っていった。


「うーん、なんだかドキドキしてきたよ………!」


職員さんが奥に入っていくのを見ていたラナが僕の方に振り返ってそういう。

一応、僕の時も見ていたはずなんだけど、自分の時と他の人のときとではやはり感じ方が違うんだろう。


「というか、精霊でもちゃんと登録者登録の申請で来たね」


一応、あの登録を申請をするときの書類には種族を書く欄があったけど、職員さんの受け取ったときの反応を見た限りだと問題なく申請も通りそうだけど。

これなら魔族以外なら問題なく登録できそうだ。

しばらくして、職員さんが返ってきた。そして前回と同じように、水晶に手をかざしたあとギルドカードを受け取り一通りの説明を受けた。


「よしこれでわたしも冒険者だ!」


ギルドカードを受け取ったラナはかなりはしゃいでいた。

登録が終わると僕たちは職員さんに礼を言うと受付カウンターから一度離れる。

そしてとある場所に移動しようとしたとき、僕たちの前に三つの人影が立ちふさがった。

何かと思い僕はその人影の顔に目線を上げ、その正体を確認する。

そこにいたのは若干人相の悪い男三人組だった。


「なあ、そこのお嬢ちゃんと坊主。お前たち初心者冒険者だろ?」


「えっ………あっ、はい」


突然、三人組の中でも一番大きくてガタイの良い男が話しかけてきて少し驚きながらも僕はそう答えた。


「やっぱりそうだよなぁ。だから折角だから俺が手ほどきをしてやるよ」


口元に怪しげな笑みを浮かべながらそういう。

明らかに怪しい。

確かに僕たちはまだ初心者冒険者で分からないこともたくさんあるだろうけど、わからないことは別にっギルドの人に聞けばいいし、そのためのギルドなんだからね。

何が目的なのかわからないけど、どうせ碌なことではないだろう。

ここは変な風に反感を買わないように丁重にお断りしておこう。


「それは親切にありがとうございます。でも、僕たちは今のところ困っていることはないので大丈夫です」


「いやいやそういう奴にとってまだちゃんとわかってないから大変な目にあうんだ。だから、俺たちの言うことを聞いとけって……」


「いやほんとに大丈夫です……!」


「おい、俺たちは先輩なんだから、俺たちの言う通りにしろよ?な?痛くなりたくないだろ?」


僕の右肩に手を置いて真ん中の男は明らかに最初よりも高圧的に言ってきた。

そうそうに本当のカオを出したな。

にしても厄介な奴らに絡まれた。これが新人いびりという奴だろうか?


兎に角、この人たちをどうにかして対処しなきゃなぁ。

周りの冒険者やギルドの職員さんは厄介なことに巻き込まれたくないのか、いつまで経っても助けてくれるような動きはない。本来ならこういう、冒険者間の諍いというか一方的ないざこざとかの問題もギルド職員の仕事のうちな気がするが、あまり触れにくいのか。

このままだと自分で解決しようとしなければ永遠に続きそうだ。

でも、この流れだとどんな言い方で断ってもなんだかんだ言って断れ切れなさそう。

僕は男にバレない程度に口元に苦渋の表情を浮かべながら槓挙げていると……


「おう、おっさんその子たちは大丈夫だっていてるんだから止めたらどうだ?」


いきなり横から若い男の冒険者が僕の肩をつかんでいる男に止めるよう言った。


「何だぁ?兄ちゃん。俺はただこいつらに冒険者の何たるかを親切で教えてやろうと思っているんだぞ?お前に言われる筋合いは………」


男はいきなり現れたこの若い男に対して案の定逆切れを起こして明らかに俺が正しいと言い出したが、男の顔を振り返って確認したところで今まで喋っていた言葉が止まる。

そして、はっとしたかのような表情をした後、その若い男向けて憎々しげな目線を一瞬向けたかと思うと、「行くぞ………!」と小さく両隣の男たちに言いギルドを急いで出ていった。

出て言った瞬間、さっきまで張りつめていたギルド内の雰囲気は一瞬でなくなり、じっと見ていた周りの人たちも再び自分たちのしていたことを始めた。

僕も安堵の息を漏らす。

そしてさっき横から声をかけて助けてくれた若い冒険者の男の人に声をかけてみる。


「すみません、この度はありがとうございました」


「ありがとうございました」


続けてラナもお礼を言う。


「いや、いいっていいって。たまたま目に入って俺が気に食わなかったから声をかけただけだしな」


若い男はさわやかな笑顔を僕たちに向けながらそう話す。

これがいわゆる好青年といったところか。うーん、魔族の中ではめったに見ない部類の人だ。

嫌そんなことを考えるんじゃなくて何かお礼できないか聞かなきゃな。

わざわざ助けてもらったんだし。


「あのー、わざわざ助けてもらったので何かお礼にできるようなことなんてありませんか?」


「いやー、お礼なんていいよ。別にそこまで大変なことをした訳でもないし、それにさっきも言ったけ

ど俺もあのおっさんが気に食わなかっただけだからな!」


「えー、でも………」


「そんなにお礼に何かしたいのか?じゃあ、お礼の代わりにこの後、ちょっと話しようぜ。この近くの飲食店にでも入って」


「あ、はい、わかりました」







僕たちは彼についていき近くにあった居酒屋の中に入った。

そのまま三人で席に着く。


「さてと、とりあえずお互い自己紹介しよう。まずは俺から、俺の名前はゲイル・オーガス。わかっていると思うが冒険者だ。ちなみに自分から言うのもなんだがランクはAランクだ。お前たちは?」


「僕はルルウです。まだ始めたばかりの冒険者です」


「わたしはラナベルです。今日登録したばかりのルルウよりも初心者なんです」


「へぇー、そうか。二人とも新人さんなのか。さっきおっさんに初心者ってことで絡まれてたけど、俺

から見たら不思議な話だけどお前たちからは何て言うか手練れそうな雰囲気があるからお前たちがまだ若いというだけかと思ったけど、二人ともほんとに新人だったのか」


「は、はい………」


うっ、普通の冒険者じゃないことを見抜かれてる?

横のラナも図星を指され目線を横に向けてる。本人は誤魔化しているつもりなのだろうがむしろ怪しい気が……

それはそうと、流石Aランク冒険者。

冒険者のランクは全部で八つあって上からS,A,B,C,D,E,F,Gである。

そのなかでもAランクといえば上から二番目、一般の人から見れば戦闘の達人である。

だから勘というか察知能力も高いのだろう。

まぁ、流石に僕が魔王それも魔王っていうことはバレてないだろう。

たぶん、見込みのある新人位に思われているんだろうな。


「じゃあ、これから二人でパーティー組んで冒険者活動していく感じか?」


「はい、そんな感じです」


「そうかぁ、なんだか昔の俺を思い出すなぁ。俺もさ、丁度お前たちと同じくらいの年の頃幼馴染の女の子と一緒にパーティーとして冒険者になったんだぜー!」


「じゃあ、今もその人とパーティー組んでるんですかー?」


「おう、今も組んでるぞ。今はどっか買い物に行ってるから別行動しているがこの後ここで会うつもりだ」


「あってみたいです!」


「別に構わないぞ?たぶん、もう少しで来るだろうし」


「やったー!」


ラナはその女の人に興味があるのか。

でも、Aランクパーティー何てそんなにいないし、冒険者として参考になるだろうから僕も少し気になる。







そのあともしばらくゲイルさんと話をしていると……

一人の女性が僕たちがついているテーブルに近づいてきた。


「ゲイル来たわよ………」


「おう、ルフェ来たのか。ルルウ、ラナベル紹介するぜ。こいつが俺のパーティーのパートナー、ルフェだ」


「はい、ルフェ・クルールです。よろしくね」


「「よろしくお願いします」」


この方がゲイルさんのパートナーか……

結構綺麗な方だけどきっと威厳のあるAランクの冒険者なんだろうな。

恰好的にそこまで重装備でもないし見た感じ魔力量も多そうだから魔法使いかな?

ゲイルさんが見た目から剣士だと考えると前衛と後衛でバランスのいい感じのパーティーだ。


「って、そんなことより!ゲイルっ……!この子達どうしたの?もしかして…………誘拐とか?もしそうなら衛兵さんとこに行こう?私も一緒に行くから」

ルフェさんは俺たちのことを変な風に誤解してゲイルさんにそんな風に提案する。


「ちがうちがう。おい、勘違いして詰所に連れて行こうとするな。ちょっとかかわりがっできたから一緒に食事に誘っただけだよ!」


「………そうなの?」


「そうそう。なぁ、お前たちそうだよな?」


「うん」


「何だそうなの。ごめん、ゲイル勘違いしちゃって……」


やっとのことルフェさんが落ち着いてくれた。







「ごめんね。いきなり勘違いしていろいろ騒いじゃって……」


ゲイルさんの隣の席に着いたルフェさんがそう謝る。


「いえいえ、お気になさらず。それはそうと僕たちのことまだルフェさんに自己紹介していませんでしたね」


「お、そうだな。じゃあルルウとラナベルしてやってくれ」


「「はい!」」



自己紹介も終わり、それなりにルフェさんと打ち解けあうことが出来たころにはすっかり昼時になっていた。


「そういえば二人はこの後どうするの?」


「そうだな。俺たちは今日はオフだがお前たちはこの後クエスト受けたりすんのか?」


うーん、午後の予定まだ決めてないんだよなぁ。

今日の予定はラナの冒険者登録しか決めてなくてそのあとは成り行きで街を見て回るでも買い物をするでも自由に行動しようと思っていた。


「ねぇ、ルルウ。何か予定とか決めてる?」


「いいや、特に決まってないよ」


「そうか、お前たちも特にないか……じゃあ、折角だし飯食ったら一緒に何かクエスト受けようぜ?」


「クエストですか?」


「おう、そうだ。あっ、俺たちがちゃんとサポートもするから心配発しなくていいぞ」


「そうですか。ラナ、どうする?」


「面白そうだからお願いしよー?」


「そうだね。じゃあ、お願いします」



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