1-12 ベッドに潜む驚き
規格外なほどに大きいフォレストグリズリーを倒した翌日。
昨日は久しぶりにそれなりに大変な戦闘をしたので夜はぐっすり眠れた。
そのおかげで今日に疲れを持ち越すことはなかったが。
これからもああいうことが起きるかもしれないから、少し日常的に備えておこうかな。
精霊のラナもいることだし、魔法の練習とかしようかな。前は周りのみんなが使えないって理由で覚えられなかった光属性魔法もラナが教えてくれそうだし……
眠そうに自分の目を擦りながら寝起きの頭でそんなことを考えながら上体を起こす。
(一先ず、着替えよう)
そう思って、ベッドから出ようとした時あることに気づいた。
寝起きで直には気づけなかったが何故か、僕の隣に掛布団にくるまれている僕と同じくらいの何かがあるのだ。
その掛布団がかすかに上下している。どうやら、中にいるのは生き物で呼吸をしているらしい。
大きさ的にラナではないはずだ。ラナがどれほど足とか腕を伸ばしてもこんなにならないし、形的にも丸まっているように見える。
となるとこれは何だろう?もしかして、野生動物?
僕は何だかわからないまま一先ず中身を確認するために、恐る恐るその掛布団をつかみ勢いよく捲ってみた。
「えっ………!?ラナ………?」
そこにいたのはなんと……………違うと思っていたはずのラナだった。それも僕の肩に乗れるくらいのサイズだったのが僕と同じくらいまで大きくなっていた。
僕は捲った瞬間、驚愕で驚きの声を上げた後一瞬身動きが取れなくなった。
その間にラナは捲ったときに起きてしまったのか、その桃色がかった銀髪を揺らしながら起き上がった。
「ん………?ルルウ、おはよう」
ラナは僕が隣で起きていることに気づくとそう何事もなかったように言ってきた。
何、もしかして気づいてないのか?それともこれって精霊にとっては当たり前のことなのか?
ラナの振る舞いに少し戸惑いながら、しばらくの間ラナを眺めたのち僕はこういった。
「ねぇ、ラナって昨日までそんなに大きく無かったよね?どうしたの?」
「あ、そうだった。ごめんごめん、言うの忘れてたね」
どうやら、大きくなったことをラナ自身がすっかり忘れていたらしい。
そんな簡単に忘れられるものなのかな……
「えーっとね、ここってルルウも暮らせるように大きく作ってあったじゃん?でも、この大きさってあ
の元々の小さい私にとってはいろいろと不便だったの。ルルウも気づいていただろうけど」
うん、そうだと思ってた。イスにだって碌に座れてなかったし……
「でも、だからと言ってわたし用に別で作ってもらうのはなんだかちがうじゃない?それに元々一緒に暮らそうって言ったのはわたしだし……」
「だから、せっかくだからルルウとおんなじ大きさになろうかなって。これからも街とかにもいくときも便利そうだし」
要するにラナは不便だったから、自分自身のサイズを一番便利なものにしたと……
うん、わかった。確かに分かった。
でも――
「まだ少し混乱しているからもう少し詳しく教えてくれない?」
「ということはラナは精霊族特有の能力で大きくなったと………」
あの後、リビングに移動して水を伸びながらゆっくりしながらラナに詳しく話を聞いたところ、そうだということが分かった。
本来ならこんなことは普通の生命体はできないのだが、精霊族はラナによると普通の生命体、人間こと人族や魔族といったものとは違い、これらが完全な肉体の生命体なのに対して、ラナ達精霊族は半精神体という生命体らしくそのおかげで可能らしい。
いまいち半精神体というものが僕もそしてラナもわかってないのでいまいちどんな違いがあるのかわからないけど、ラナの感覚的にはかなり僕とは違うらしい。
まぁ、そういうことで大きくなれたらしい。
「そうそう、わかった?」
「うん、わかった……」
説明をいったん終えて今日の朝ご飯を作っていたラナが僕とラナの二人分持って僕の前の席に着いた。
僕はそれを受け取り一緒に食べ始める。
「それはそうとわたしたち精霊族って結構ルルウ達魔族とかとは違うところがあるんだね。今まであまり他の種族とは会わなかったから知らなかったけど……」
ラナの話に対する僕の反応を思い出しながらラナがそういう。
うーん、確かに僕もそう思う。
僕自身も暮らしていた環境的にあまり他種族と合うことはなかったので他種族の違いについては詳しい人に聞くくらいしかなかったけど。
実際、精霊族についても今日ラナから聞いて初めて知ることも多かったし。
それも僕たち魔族とはかなり異なったものが多かった。
「折角だしルルウ達魔族についてのことも教えてよ。わたしあまり知らないし、それにわたしも教えたんだからルルウも教えてくれないとなんていうか不平等じゃない?」
「そうだね。お互いに知っていた方がなんとなく良さそうだし、じゃあ話すね」
ラナの言葉でついでに僕たち魔族のことについても話すことになった。
お互いのことをさらに知ることのできる要因にもなりそうだし、僕は話すことにした。
そして次いでに僕たち自身のことも話すことに………
「へぇー、魔族ってそんな風に生活してるんだー」
僕が魔族の話をしたらラナが予想以上に驚いた。
うーん、正直精霊族よりも僕的には驚くところは少ないし、物珍しい能力のようなものもない。
でもまぁ、精霊族から見れば自分たちとは違う魔族は物珍しいのかもしれないな。
それはそうとついでにお互いのことを話したわけだが、まぁ、僕の場合少し事情をぼかしてだけど……
それでラナについても話してもらったんだけど、ラナは前にも聞いていた通り魔法が得意で、特に光属性、風属性、そして水属性が得意らしい。その反面僕たち魔族が基本的に得意とする闇属性魔法はあまり得意ではなく、むしろ精霊族の間的にはほとんど浸透していないらしい。
魔族と精霊族って正反対の種族なのかな?
でも、人間も闇属性はそこまで使えないって言っていたし、魔族が特殊なだけか。
それは置いといて、この二つの魔法はお互いに使えないので、折角だからお互いにこの魔法を教えあうことにした。
僕自身元々興味あったし、ラナも僕が闇属性魔法の話をしたらすごい興味を持ったからそうすることにした。流石は今まで魔法ばっかりやってきた精霊といったところだろうか。僕も同じようなものだけど……
という感じにお互いのことを知ることが出来なので、もし昨日以上のことがあっても昨日よりもうまく戦いが出来るだろう。
これはもし僕の追手の魔族共と対峙した時にもどうにかなりそうだ。あんまりラナを僕の市場で戦闘に巻き込みたくはないけど、僕の出自とかも諸々バレるし。
まぁ、場合によってはラナに自分自身を魔法等で守ってもらうだけでいいか。
そんな感じにもし遭遇した時のことを簡単に考え終えると、別のことに話題を移した。
「そういえばラナは今度街に言ったら冒険者として登録するの?精霊族が登録できるのか知らないけど大きくなったんだしできそうじゃない?」
「確かにできそうだもんね」
「そう、それにこれからも何かと僕は冒険者として街で活動するだろうからラナもどうしても関わってくるし、折角だから登録した方がいいんじゃいかな?簡単だし」
「うん、じゃあそうしよう!ギルドカードは身分証とかの役割とかもあるみたいだし、それに冒険者っ
ておもしろそうだしね」
「じゃあ、今度レイロータスの街に行ったときに冒険hさギルドで登録しようか」
そうして、僕たちは話を終えた。




