【LEVEL:1】3人目
高橋、田村と姿を消していき、この【選択】のルールを理解し、そしてこの【選択】のルールからは逃れられないことを痛感して私は、
(自分の番が永遠に来なければいいのに…)
と思っていた。
そして次に呼ばれる名前を待った…。
【お待たせしました。】
ゴクリ…。
声に反応して、私と鈴木栄子の唾を飲む音が異様に大きくゆっくり聞こえる。
【鈴木栄子さん。では、選択をお願いします。なお、このお2人にはルール説明も相手が貴方とどういうご関係かは説明しております。】
そして2つの画面には2人の男が…。
しかし、片方の男の様子が今までと少し違っていた。
「栄子!!貴様よくも裏切ってくれたな!!まさか青木なんかと浮気してやがったなんて!!」
物凄い形相で鈴木に向かって罵声を吐く男はどうやら鈴木の旦那か恋人らしい。年齢からして旦那であろうと私は思った。
「宏…」
そんな旦那の言葉を無視して鈴木は旦那とは別の男性を見つめている。
「栄子さん…ルールは聞いたよ。やっとコレで2人で幸せになれるね。今までずっと我慢してきたのが今、報われるんだ!!」
宏と呼ばれるその男はウットリした表情で鈴木に話し掛ける。
「ふざけるな!!栄子!!!誰のおかげでここまで裕福な暮らしが出来たと思ってるんだ!!どうせ青木も金と社長という椅子を狙ってるだけだぞ!!お前みたいな女は用が済んだらすぐに捨てられるんだ!!」
鈴木と宏の2人の世界を旦那は邪魔するかのように罵声を続ける。
「うるさいわね!!もう、うんざりよ!!!そうやって貴方はすぐに私をけなして金だ金だ。世の中金があればなんだって出来るって毎日のように言っては色んな人を裏切ってきて…私はもう我慢できないの!!!」
そう言って鈴木はまた宏と呼ばれる男を見つめてこう言った。
「青木さんは貴方とは違うの。いつも私のことばかり心配してくれて、いつも優しくて情熱的で素敵な人なのよ。悩むことなんてないわ!!私は宏さんを選びます!!!」
そう鈴木は叫んだ。
【宏さんで受け付けました!!おめでとうございます。宏さんには鈴木栄子さんと無事に帰宅して頂きます。残念ながら選ばれなかった茂雄さんにはこの場で死んで頂きます。】
淡々と答える声。