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選択  作者: 弥amane
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【LEVEL:1】代償

「俺の生まれ変わりだと思って幸せに育ててあげて。」


そう力ない弟の声を聞いた途端…


「真美を…」


高橋は婚約者の名前を呼んだ。



【真美さんで受け付けました!!おめでとうございます。真美さんには優一さんと無事に帰宅して頂きます。残念ながら選ばれなかった太一さんにはこの場で死んで頂きます。】



「太一!!!!」


「太一くん!!!!」


画面の真美と高橋が太一を見つめる。



【なお、今回は選択に9分かかってますので、9分かけて死んで頂きます。】



そう声が告げたと同時に画面に写っている太一という少年は突然苦しみだした。


画面の太一という少年は9分間にわたりじわじわと死んでいった…。


画面から目を離す事が出来なかった私は、一部始終を目の当たりにしたのだが…


どうやら太一君が居た部屋に徐々に毒ガスが送られたようだった。


弟の苦しみもだえる姿に高橋は何度も呼びなれた弟の名前を呼び、時にはまたスピーカーに向かって吠え、泣きじゃくり、最後は…


「太一…ごめん。ごめんな。ごめん太一…」


と繰り返し呟いていた。


そして、毒ガスのせいで目が飛び出てそこらじゅうの毛穴から血を流し、外見が太一君だと確認できないくらいになった時…


とうとう太一君は動かなくなった。


高橋は呆然とその場に立ち画面に写る弟の変わり果てた姿を見つめていた。


私たちもその様子を呆然と見つめるしか出来なかった。



【お疲れ様でした。高橋優一さんは無事に選択を終了されましたので、ご帰宅願います。】



そう声が告げると天井から何やら手みたいな物が降りてきて高橋を掴むとまた天井へと戻っていった。


高橋は弟の死を目の当たりにしたせいか、さっきまでの闘志はなく何も言わずに何もせずに成すがままの状態で天井へと消えていった。


残された私は目の前で起きた突然の惨劇にただ震えるしか出来ずに立ち尽くしていた。

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