【LEVEL:3】開始
「歩!!!!!」
スピーカーから聞こえてきた数人の叫び声に呆然としていた私を望月の叫び声が我に返えらせる。
望月の方に目をやると、天井から伸びてきた手によって運ばれていく北村の姿があった。
「みぃ!!!!大丈夫だから!!!!気をしっかり持つんだ!!!!」
北村はその姿が天井へと完全に消えてしまうまで彼女である望月を励まし、少しでも安心させようと必死に叫んでいた。
「あ…歩…」
そう呟いて座り込む望月。
「な…なんだよ今の手は!!なんなんだよ制裁ってのは!!」
突然の事に動揺とも苛立ちとも取れるような発言を繰り返す加藤。
そして私も前回の体験とは違うこの
【LEVEL:3】
と呼ばれている事態に頭が追いついていかない…
【邪魔をするものには制裁】
スピーカーから聞こえてきたあの声だけが頭を巡る。
【我々も犠牲者なのです…】
(一体なんなんだ??何も分からない。。。制裁とは…??何故、北村だけが連れて行かれた??何も【選択】などしていないのに…)
私が頭を整理しようと必死に考えていると…
「離せ!!!!離せよ!!!!!なんなんだよ!!!!!」
今度は加藤が北村同様に大きな手によって天井へと連れて行かれた。
そして…静まり返った室内にはLEVEL:1とLEVEL:2の参加者の望月と私だけになってしまった。
(まさか…ここからが本当のスタートか??俺は北村と誰かを、そして彼女はまた彼氏と誰かを
【選択】
しなければならないっていう事なのか??)
これから先で起こりうる事態を予想して、私の鼓動は一気に跳ね上がる。
望月もさすがにこの状況に頭がついていかないのか、座り込んだままピクリとも動かなくなってしまっている。
「何がしたいんだ!!制裁とは何の事だ!!」
あまりにも不可解な事が続く中で私は…とうとう冷静さを保つ事が出来なくなりスピーカーに向かって叫んだ。
その私の声に反応するかのように天井からあの手が伸びてきて…
私をあの時と同じように天井へと連れて行く…
下を向いたままの望月の姿が小さくなるのと同じように私の思考回路もゆっくりと停止した…