【LEVEL:3】現実∽過去
歌が聞こえる…
懐かしい声。
でも今にも消え入りそうな…
悲しい声。
(けい…こ??)
そう思って私は顔の見えない声の主に手を伸ばした。
その瞬間、指先に触れた冷たい感覚に違和感を感じ目を覚ます。
開いた瞳に飛び込んできた情景。
それは…
見た事のある壁と床。
耳に付くあの換気扇の音。
その情景と音に驚き私はその場に飛び起きた。
「ここは…」
そう呟いて私は目の前に広がる
【空間】
に立ち尽くす。
━出口の無い部屋━
━壁に掲げられた大きな2つの画面━
そして、まだ目を覚まさない3人の男女。。。
「これも…まだ…夢…なのか??」
そう呟いた時だった。
「ん…??」
すぐ隣で眠っている男性が目を覚ます。
その顔を見て私は更に驚いた。
「…か、加藤??」
すぐ隣に眠っていたのは同僚の加藤だった。
私の声に気づき立ち上がる加藤。
「…市村??まさか…ここ…。」
加藤のその問いかけに、
「多分…。」
としか答える事が出来ない私。
「多分って…冗談だろ!?なんで俺が!?」
「どういう事だよ!!説明しろよ!!!!!」
動揺をぶつける加藤。
「俺にも分からないんだよ!!」
2度と戻りたくなかった
【空間】
に再び立たされた私は、
【絶望】
という感情に支配され、加藤への配慮など出来るはずもなく…
気づけば加藤に向かって怒鳴っていた。