【LEVEL:2】強さ
「みい…」
歩の声がする…
「幸せになるんだ。俺はお前に嫌われていたが、俺は愛していたよ…」
父の力なき声が胸に突き刺さる…。
「あ…歩を…選びます。」
私はそう呟いた…。
【歩さんで受け付けました!!おめでとうございます。歩さんには美咲さんと無事に帰宅して頂きます。残念ながら選ばれなかった浩さんにはこの場で死んで頂きます。なお、Dの水没で死んで頂きます。今回、選択に9分かかっていますので9分かけて死んで頂きます。】
「お父さん!!」
叫ぶ私。
「幸せになるんだ。必ず幸せに!!愛していたと母さんに…伝えてくれ。」
微笑みながら話す父。
自分の死を受け止めて微笑む父の姿。
「美咲の幸せのために死ねるならいいんだ。」
そう告げる父の目から涙が流れている。
娘のために…
覚悟を決めた父の強さ…
父の愛情…
そんな父の腰辺りにまで水が達しているのに気付いた私は…
「お父さん!!私も大好きだったよ!!素直になれなくてごめんなさい。寂しかっただけなの!!嫌いなんかじゃなかったよ!!」
必死に父に自分の気持ちを伝える。
「分かってる。分かってるから…大丈夫だ。」
そう言って微笑む父。
そして…
水はとうとう父の首まで届いていく…
「幸せになるから!!ごめんなさい…ごめんなさい…」
画面に写る優しく微笑む父…
「あ…あい…し…」
父親の必死の抵抗も空しく、水はとうとう父親の頭上にまで達した。
苦しみもがく父親…
鎖に繋がれ逃げることの出来ない父は…
画面いっぱいになった水の中で動かなくなり体が浮き始めていた…
幼い頃、肩車をしてくれた優しい父との思い出が頭を支配していく…
「嫌ああああああぁあああああ!!」
泣き叫ぶ私に前の3人同様に手が伸びてきて私を掴み天井へと運ぶ。