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選択  作者: 弥amane
22/29

【LEVEL:2】強さ

「みい…」


歩の声がする…


「幸せになるんだ。俺はお前に嫌われていたが、俺は愛していたよ…」


父の力なき声が胸に突き刺さる…。




「あ…歩を…選びます。」


私はそう呟いた…。



【歩さんで受け付けました!!おめでとうございます。歩さんには美咲さんと無事に帰宅して頂きます。残念ながら選ばれなかった浩さんにはこの場で死んで頂きます。なお、Dの水没で死んで頂きます。今回、選択に9分かかっていますので9分かけて死んで頂きます。】



「お父さん!!」


叫ぶ私。


「幸せになるんだ。必ず幸せに!!愛していたと母さんに…伝えてくれ。」


微笑みながら話す父。


自分の死を受け止めて微笑む父の姿。


「美咲の幸せのために死ねるならいいんだ。」


そう告げる父の目から涙が流れている。



娘のために…


覚悟を決めた父の強さ…


父の愛情…



そんな父の腰辺りにまで水が達しているのに気付いた私は…



「お父さん!!私も大好きだったよ!!素直になれなくてごめんなさい。寂しかっただけなの!!嫌いなんかじゃなかったよ!!」



必死に父に自分の気持ちを伝える。



「分かってる。分かってるから…大丈夫だ。」


そう言って微笑む父。



そして…


水はとうとう父の首まで届いていく…



「幸せになるから!!ごめんなさい…ごめんなさい…」


画面に写る優しく微笑む父…


「あ…あい…し…」


父親の必死の抵抗も空しく、水はとうとう父親の頭上にまで達した。


苦しみもがく父親…


鎖に繋がれ逃げることの出来ない父は…


画面いっぱいになった水の中で動かなくなり体が浮き始めていた…


幼い頃、肩車をしてくれた優しい父との思い出が頭を支配していく…


「嫌ああああああぁあああああ!!」


泣き叫ぶ私に前の3人同様に手が伸びてきて私を掴み天井へと運ぶ。

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