【LEVEL:2】4人目
桜井の笑い声と泣き声が頭から離れない…
(桜井さん…本当は演技じゃなかったんだろうな…)
そう思いながら1人残された私は画面に釘付けになって時を待った。
(私に課されらるのは?)
そう思っている私に…
【お待たせしました。望月 美咲さん。貴方の番です。最後の…】
そう声は途切れ、画面にはDという文字が表示される。
【では、選択して下さい。】
その声と共に画面に映し出された人物を見て私は思わず叫んだ…
「お父さん!!歩!!」
私の声に2人は不安そうに私を見つめて…
「美咲…」
「みい…」
と私の呼びなれた名前で呼ぶ…。
「なんで??なんでお父さんと歩なの??」
父親と彼氏との選択に動揺を隠せない私。
そんな私に…
「説明は受けた。彼氏を選びなさい。美咲…お前は俺が嫌いなんだから、迷う必要はないだろう??」
諦めにも聞こえる覚悟を決めた口調で告げる父親。
「みい…ダメだ。ちゃんと考えるんだ!!3人が助かる策があるはずだ!!」
必死の表情で叫ぶ歩。
19年間…
育ててくれた父親。
1年間…
付き合ってきた彼氏。
(確かに、私は父親が嫌いだ。厳格で亭主関白でお母さんが苦労して泣いているのを何回も見てきた。でも、母親を1人にも出来なくて家から出る事も無く、父親を避けるように過ごしてきた。まともに父親の顔を見るのもどれぐらいぶりだろう…)
【残り6分です。】
カウントダウンの声に私は物思いに耽っている場合じゃない事に気付く。
(自分は死ねない。悩んだ分だけ苦しみが…)
自分よりも前に選択を終えて行った人間たちの情景が頭をよぎる…
(歩…お父さん…)
覚悟を決めようとした時だった…
「みい…ダメだよ??お父さんは、みいにこの世の生をもたらしてくれた人だよ??」
私の気持ちに気付きそう告げる歩。
「あゆ…」
「いいんだ!!俺は家族に酷い事をしてきたんだ!!美咲にとって決していい父親じゃなかった!!だから、最後くらい、美咲のために…」
私の言葉をさえぎってそう叫ぶ父…。
【残り3分です。】
迫り来る死の時を刻む声。
「美咲…俺はお前にとっても母さんにとってもいい父親ではなかった…。でも、俺は、母さんの事も美咲の事も本当に愛していたよ…美咲の成人式…結婚式…見たかったよ。。。」
覚悟を決めた父の声。
【残り1分です。】
響き渡る死の声――