【LEVEL:2】醜態
「ちょっと!!まさか…さっきの説明は本気なわけ??」
こちらの様子の異変に気付き、松井と呼ばれる少女が問い掛ける。
【現実のことです。先ほどご説明したとおりです。桜井さんを名前が同じで苗字も似ているから気に食わないという理由でイジメ続けてきた松井葵さん。
そしてそのイジメを黙認しつづけ、桜井さんのSOSに気付かないフリをしてきた担任の安西大介さん。
あなた方お2人の命は桜井さんに託されております。】
そう言って声は何も言わなくなった。
画面に写る2人の顔色が青くなっていく…
「桜井!!すまなかった!!助けようとは思っていたんだ!!でも、俺にも立場があってな!?分かってくれるだろ??」
立ち尽くしたまま下を向く桜井に必死に弁解をする安西。
「ちょ…ちょっと!!先生なんなのそれ!?私は死んでもいいわけ?サイテーッ!!」
安西の弁解に焦る松井。
「葵…私、ごめんね。私が悪かったよ。本当に反省してる。もう2度としない。だから…許して??」
安西に負けじと謝罪する松井。
(醜い…)
命がかかっているのに私は遂、そんな事を思ってしまった。
そんな2人の言葉に何も返さない桜井。
【残り3分です。】
選択時間が迫る。
(この選択の意図は??自分にとってマイナスにしかならない2人を普通なら選択しないで2人とも見放すはず…)
桜井に課せられた選択に疑問を抱いていると…
「本当に??本当に悪かったと思ってる??」
呟く様に聞く桜井。
「本当よ!!」
「俺もだ!!」
必死に答える松井と安西。
その答えに…
「2人が本当に反省しているなら…2人は生かして私が死にます。
私はイジメられていたけど、見放されていたけど、だからって私が2人の命をどうこうするのは…間違ってる。私は、こんな事を望んでたんじゃない!!」
天井に向かって叫ぶ桜井。
【ダメです。ルールは変えられません。どちからを選ぶか、どちらも選ばずに2人共に死んで頂くかのどちらかです。】
桜井の叫びに答える声。
「なっ!?」
「なんでよ!?本人がそれでいいて言ってんだからいいじゃない!!」
驚きを隠せない松井と安西。
【残り1分です。】
時間切れが迫る…。
「桜井!!」
「葵!!助けて!!」
切迫の表情の松井と安西。
そんな2人を見て桜井は…
「嫌ああああああぁああああ!!」
と叫んで画面に背を向けて座り込む。
【時間切れです…。桜井さんにご選択して頂けませんでしたので、2人共に死んで頂きます。なお、死に方は先ほどお選びになったCの首切りとなります。今回、選択に10分かかっていますので10分かけて死んで頂きます。】
そして声が途切れたのと同時に画面の2人は苦しみだす。
首に巻かれた鎖は2人の首をジワジワと締め付けだしている…
「さ…さくら…い」
「あ…お…なん…で…」
締め付けられる鎖の力に松井も安西も話すことが出来ない。
鎖の力で圧迫され真っ赤に染まる2人の顔。
そして―
2人は10分かけてジワジワと鎖を締め付けられ最後には…
蒼白の顔と真っ赤な血によって染めあげられた顔は胴体と切断された…
その瞬間――
「あははははははは。」
突然…笑い出す桜井。
「ばっかじゃないの!?私がどんだけ苦しんできたと思ってるの!?醜いのよ!!自分のしてきた事を棚にあげて、あんな言葉で許されるとでも思ってるの??」
先ほどまでの震えて泣いていた桜井はどこにもいない…
「私の演技に騙されて必死に謝罪して、命乞いして、超ウケル!!バカよ…本当にバカ…ば…」
そう言いながら桜井の目から涙が流れていた。
桜井は泣き叫びながら天井から出てきた手によって消えていった…