【LEVEL:2】3人目
「嫌ぁああああぁ!!」
「助けて!!嫌だよー!!嫌だぁあああ!!」
杉浦が姿を消し、私と2人きりになってしまった桜井は錯乱状態に陥って室内を走り回り出口を探す素振りで壁を叩いて回る。
そんな桜井を気遣う余裕は私にはもう残ってはいなかった…
(次は…順番で言えばきっと桜井さんの番だろう…私は…最後に名前が表示されていた。きっと私は最後…)
そう思いながら私は更に
(この【選択】は何をさせたいの??なぜ、わざわざ大事な人との命の選択をさせるの??
【愛情】と【死】の選択をさせる意味は??選択者の死という選択はないの??選べない場合はどうしたらいいの??)
疑問や怒りが私の頭を支配する中、
【お待たせしました。桜井 葵さん。次は貴方の番です。では、まずはC・Dから選択して下さい。】
桜井の番がきた…。
桜井に目線を向けると声に反応して室内の後方で立ち尽くして画面を見つめている。
「嫌!!帰らせて!!嫌ああああぁああ!!」
泣きじゃくる桜井。
【選択して頂ければ無事にお帰し致します。】
淡々と答える声。
選択される側に容赦なく3歳の子供を選んでいる時点で15歳の少女の想いなど考えているはずは無い…。
「嫌あああぁあああ!!」
泣き叫び選択をしない桜井に痺れを切らした声がこう告げる…。
【では、こちらで決めさせて頂きます。桜井さんは…】
そう言って画面にはCの文字が表示される。
(C…桜井はC。私は最後に残ったD…。)
そんな事を思っていると、画面には桜井が選択しなければならない人物2人が写し出された。
【2人にはルール説明は済んでおります。では、選択して下さい。】
その声と同時に画面に写る2人が桜井に向かって叫ぶ。
「なんなのよコレ!!なんでアンタのせいで私がこんな事に巻き込まれなきゃいけないわけ??」
1人は桜井に対して酷く怒っている少女。桜井と同世代のようだ。
「どういう事なんだ桜井?お前の仕業なのか??」
もう1人は冷静に見せる口調の割にも顔が引きつっている男性。
そんな画面に写る2人をみて…
「せ…先生。ま…松井さん。」
震えて立ち尽くしたままそう呟く桜井。
「なんでこの2人なの!?なんでよ!!??」
突然そう叫んだかと思うと桜井は壁に顔を向け画面から顔をそむけて座り込んでしまった。
【なぜ迷うのです??この2人に貴方は酷いことをされてきたでしょう??我々は苦しみから解放して差し上げようと思ってご招待したのですよ?】
突然、語りかけてくる声。
「苦しみから解放??」
そう呟いて突然立ち上がる桜井。