【LEVEL:2】1人目
━Bで受け付け致しました。━
2つの内の1つの画面は小池の選択したBの文字を映し出す。
その文字を見つめて呆然となる私たち。
そんな私たちを他所に…
【では、小池拓真さん。選択をお願いします。】
突然、響き渡る声。
「は??また??」
小池は意外な展開に驚いている。
そして2つの画面は更に変わっていく…
1つ1つの画面に1人ずつ映し出される…
その画面に切り替わった途端…
「ばぁちゃん!!!!!」
小池が叫ぶ。
その小池の声に反応して画面に映し出されている老婆がこちらを向く。
それと同様に、もう1つの画面に写っている女性もこちらを向いた。
「拓ちゃん…」
老婆は弱々しい声で小池を愛称で呼ぶ。もう1人の女性は酷く顔を歪ませたまま黙って小池を見つめている。
そして一時が過ぎると…
【画面に写るお2人のうち、どちから大切な方をお選びください。選ばれた方は生存。選ばれなかった方はその場で死んで頂きます。制限時間は10分。10分経過しても選べなかった場合は2人共に死んで頂きます。】
そう説明を終えると声は何も言わなくなった。
「な…なんだよこれは!!ばぁちゃん!!!!」
小池は必死に画面に向かって叫ぶ。
…が声は何も答えない。その変わりに言葉を発したのは小池の祖母ではない方の女性だった。
「た…拓…」
その声を聞いた途端に小池の顔色が変わる。
「な…なんでアンタが…」
小池はさっきよりも動揺した様子で女性を見つめる。
「その声…まさか…礼子かい??」
小池の祖母にも声が届いているのか動揺しながらそう言った。
「なんで…か…母さんが…」
小池がそう呟いた時だった。
【残り8分です。】
あの声が聞こえた。
「ちょ…意味わかんねーよ!!なんで、ばあちゃんと母親の命の選択を俺がしなきゃなんねーんだよ!!Bの選択はなんだったんだよ!!」
小池は大声で姿なき声に怒鳴る。
そんな小池に…
「拓ちゃん。礼子を選びなさい。私はもう十分人生を送ってきたから…」
と呟く祖母。
そんな祖母に小池は…
「嫌だ!!俺を捨てた人間なんか助けたくない!!俺は…ばあちゃんに育てられてきたんだ!!」
下を向いたままそう叫ぶ小池。
【残り5分です。】
またあの声がする。
制限時間10分。
半分を切った…
「拓…ごめんね。今までごめんね。」
制限時間が間際になり、小池の母親は自分は選ばれないと覚悟してか小池に向かって泣きながらそう告げる。
「今さら…何、言ってんだよ…」
母親の言葉に言葉が震える小池。
【残り3分です。】
淡々と時を刻む声。