【LEVEL:1】記憶
「パパ!!みてみて!!」
「凄いな〜ぁ。舞はママよりも上手にシャボン玉を吹くな〜ぁ。」
舞はそんな私の言葉を無視して、シャボン玉を次々と青く澄み切った空へと吹いていた。
その姿を見て私はは舞にバレないように下を向いたまま
「舞はこんなにも大きくなったよ。慶子…。」
と涙声で呟いた。。。。。
「ありがとう。これでいいのよ。あなた…」
そう慶子の声が聞こえた気がしたのは、私の勝手な想いから作り出された幻聴だったのかもしれない。
舞は自分が作り出したシャボン玉に満足しているのか、空に浮かぶシャボン玉に見とれている。
俺もそのシャボン玉を見つめる…
大きなシャボン玉は
ユラユラと
クルクルと
ゆっくり回りながら空高く上がっていく。
そして――
虹色のシャボン玉は青空の中で弾けた。
その瞬間…
あの日の光景が蘇る。。
暗く狭い部屋。
倒れている3人の人。
暑苦しい空気。
耳障りな換気扇の音。
目の前の大きな2つの画面。
死の時を刻む声。
あの日、なぜ私はあそこに居たのか。
あの日、なぜ私はあんな事に巻き込まれたのか。
あの日…なぜ私は慶子を失ったのだろうか。
理由は今だに分からない。
また誰かがあの部屋で究極の死の選択をさせられているのかも知れないと思った時――
私は…