持っている人間と持たない人間
林田:不問 神の教えを説く人
小早川:不問 コンビニのバイト店員
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林田「神は言いました、人間には2種類の人間がいると
『持っている人間』と『持たない人間』この2種類は生まれた時から決められていて、『持っている人間』は優位に立てるんです」
小早川「人間は平等なんて言いますが、本当は不平等に決められていたんですね」
林田「えぇ、そして私は『持っている人間』で、あなたは『持たない人間』なんです」
小早川「確かに僕は生まれてから何か賞をもらう訳でもなく、こうしてコンビニでアルバイトをして生計を立てていますからね
でも、あなたが『持っている人間』かどうかは僕には分からないですよ?」
林田「いいえ、分かります
私のこの手、見てください
何に見えますか?」
小早川「はい!うちの弁当です!」
林田「そうです、ここのお店の弁当です
私は、ここのコンビニの弁当を『持っている人間』です」
小早川「確かに、あなたは『持っている人間』だ!」
林田「私はここのコンビニの弁当を、こうして食べる事ができる人間なんです」
小早川「あれ?でも、その弁当ってお金払ってましたっけ?」
林田「『持っている人間』の特徴を、あなたは自分で言っていたはずだ」
小早川「人間は平等なんて言うが、本当は不平等…ですか?」
林田「そうです、片やアルバイトをして汗水垂らして得たお金でお弁当を買って帰る人間と、それを何の努力もせず手に取り食べる人間」
小早川「『持っている人間』と『持たない人間』」
林田「そう!」
小早川「持っている人間と持たない人間…そっかぁなるほどなぁ」
林田「理解して頂けたようでなによりです
では、私はそろそろ失礼します」
小早川「ちょっと待ってください、店長がまだ来ていないのでお帰りいただくのは…」
林田「店長?何故ですか?」
小早川「そういう決まりなので…」
林田「そうですか……そうだ、あなた『持っている人間』になりたくないですか?」
小早川「是非なりたいです!」
林田「そうでしょう、『持っている人間』というのはまず気持ちから違います」
小早川「気持ち、ですか?」
林田「そうですね…例えばあなたはホットスナックを1日に1500個売り上げろと言われます」
小早川「そんなの無理ですよ、最高でも1200個だって聞いた事がありますもん」
林田「ほら、そこです
気持ちの弱いあなたはまだ売ろうともしていないのに無理だと言う」
小早川「『持っている人間』はそこから違うと?」
林田「そうです、私なら売るプランを考え、そして売り切ります
…ですが、別に売れなくても良いんです
売れると思えれば大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう」
小早川「売れる…売れる…売れる…売れる…」
林田「どうですか?」
小早川「なんかできるような気がする!」
林田「では、売れますね?」
小早川「はい!売れます!」
林田「では、私を帰してくれますね?」
小早川「んーー、それはちょっと…」
林田「……分かりました、では目を瞑って下さい」
小早川「こう…ですか?」
林田「私の声に意識を向けて下さい…そうです…そしてそのまま深呼吸をして下さい」
小早川「(深呼吸)」
林田「はい、ではあなたの前には小さい子供がいます
その子供は段々とあなたに近づいていき、完全にあなたと同化していきます
今のあなたは子供だ
どんな事を言っても咎められる事はありません、心ゆくまま発言して良いのです」
小早川「……店長の鬼畜!店長の悪魔!」
林田「その調子です」
小早川「店長の頭でっかち!店長のハゲー!」
林田「よく言えました
では、目を開けて下さい」
小早川「なんだか、心が軽くなった気がします」
林田「今、あなたの心の重石を取り除きました
これで、あなたの心は自由だ
あなたの心はしがらみから解放された!」
小早川「僕は自由だ、僕は自由だー!」
林田「お祝いです、ここにあるもう一つの弁当をあなたにあげましょう
お礼なんていりません、これはあなたの手で、手に入れたものだ」
小早川「ありがとうございます!」
林田「では、帰してくれますね?」
小早川「どうぞおかえりください」
林田「ありがとう、あなたは『持っている人間』だ
これからの人生にどうか豊かさを添えてあげてください」
小早川「本日はありがとうございました!」
間
小早川「いやぁあの人、凄い人だったなぁ…なんというかスピリチュアルなものって、本当にあるものなんだなぁ
僕は『持っている人間』僕は『持っている人間』…よし!
あ、店長お疲れ様です!
見てくださいよ、この弁当
僕が、この手でとったんですよ!」