TABOO CODE
TABOO CODEというボードゲームを作中で登場させています
「TABOO CODE?」
活動時間になっても結局集まったのは、ナイとアニの二人だけで、それほど広くもない部
室を持て余していた。やることも特になくてこのままでは時間も持て余すところを我慢で
きなくなったナイが棚から取り出したボードゲームを見せた。
「そうそう。暇だしやろうよ。」
サイズはトランプほどで、パッケージを開けて枚数を数えると、それもトランプと同じくら
いだ。
「カードにはそれぞれ、言っちゃいけないこと、とかやっちゃいけないことが書いてあるの。
お互い一枚ずつとって相手にだけ見えるようにする。」
「なるほど、自分の引いたカードの内容が自分のタブーコードで自分のタブーコードを犯
さないように、逆に相手に相手のタブーコードを言わせたりやらせたりするのか。」
ナイの説明と説明書でなんとなく理解したアニはカードを見る。そこには、 「自分の名前」
や「ゲームに関するもの」、「机の上にあるものに触れる」なんかがある。
「でも、これって二人でやるようなものなの?もっと大人数のほうがさあ」
「だって、みんな来ないんだもん」
あらためて見る部室は、人がいっぱいになることもあるが故に寂しい
「まあ仕方ない」
カードをシャッフルして 1 枚ずつ取る。付属のスタンドにカードを見えないように立て
る。ナイのタブーコードは「 5 万円以上のものにさわる」だ。え、小売りで?現在の価値で?
なんて考えるアニだったが、そこはてきとうでいいんだろう。
「じゃあ始めよっか」
「うん」
さて、どうしようか 5 万円以上のものなんてこの部室にあるのか。まあパソコンくらい
か。
「アニはさあ、好きな食べ物は何?」
「いやその質問絶対タブーコード食べ物関係じゃん」
「そーとは限らないよー?」
ナイってこんなに分かりやすい人だったっけ?とはいえ言葉系統ならやることは 1 つ。
「答えてよ。いいから」
「……」
「えーっと」
「…………」
「アニちゃんさすがにそれはズルくない?」
うん、アニも薄々そう思っていたのでこの攻略法は封印することにした。
「そうだね。何か話そうか……次の新歓のテーマ決めでもしようか」
「いいね。あ、でも私たちだけで決めてもいいかな」
「候補だけだして、あとは、ラインか来週決めればいいんじゃない」
自然に料理の話題を避けることに成功したアニは内心ガッツポーズをする。
……
しかし、ナイにパソコンを触らせることは難しかった。とりあえずそれとなくパソコンを
起動させて、自分でメモするのに使いつつ触らせようとするも何となく勘づかれているの
かうまくいかない。10 分くらいたって、テーマの候補が雲だとかゴミだとく潤ってきたと
ころで、あ、ケータイでいいじゃんと思いいたり
「さっきから気になってたけど、ナイ。あんたのスマホ通知で光ってるよ」
と、机の上のナイのケータイを指して言う。
「え嘘、ほんと?」
あ、触った。めっちゃあっさり。
「あれ、なにも来てないよ」
「そ、ところでそれ最新のだって言ってたよね。」
「うん」
「10 万くらいするよね」
「したね~。まあ分割だけどね」
「じゃあナイ、アウトー。私の勝ち」
嬉しくてテンションの上がったアニだが、ナイはきょとんとした顔をする。
「んなにが」
「いや何がって、タブーコードだよ。忘れとったんかい」
「あー、え、何だったの?」
「見てみなよ」
カードを確認して、あーと声を出すナイ
「なるほどだからパソコンを触らせようとしてたのか」
「やっぱりばれてたか」
「うん、電化製品触ったらだめなのかなって」
「じゃあ、スマホもダメじゃん」
「あ、そっかでも忘れちゃってて。あんなに普通に話しててずっと考えてたのアニちゃん」
「そうだけど」
そんなすごいことみたいに言うなよ。できるだろそのくらい……
そのあとも、何度か雑談をしながらゲームを続けた。ナイは向いていないみたいだし、ワ
ンサイドになると思っていたアニだが、そんなの無理じゃんというタブーコードも結構あ
って勝負はいい感じだった。「有名人の名前」とか「番組の名前」なんかは意外と時間がか
かったし、「上を向く」とか「相槌をする」といったすぐ終わるものもあってルール調整し
ないとなと思うこともなくはない。
「じゃあ次ね」
「飽きないねー」
「しゃべりながらできるし楽しいよ」
「まあそうだね」
次のナイのタブーは……ふーん、これあ勝てそうだな。ちょっとからかってやろう
「じゃあ、はじめっ」
「ナイー」
アニは開始の合図と共にナイに近寄って、肩に手をかける。
「何っ、アニちゃん、わ!」
そのまま力を入れて、押し倒す。背中が畳にぶつかる前に毛布を滑り込ませることも忘れ
ない。
「いやーナイはかわいいなあと思って」
「へえ何急に、ありがとう?」
毛穴の見えない白く透明なその頬にアニはゆっくりと手を近づける。綺麗すぎるその肌
が自分の手で汚れてしまうことをためらったが、きれいなものはよごしたくなる質だ。
「今回は私の勝ち」
手が頬に触れ消えそうな感触を見る。実際洗練性はなくなってしまったかもしれない。
「えどうしたの何、くすぐったいんだけど」
突然のことに、いつものように困惑するナイにアニはナイのタブーカードを見せる。
「『相手に頬を触られる』……なるほど」
「ね、私の勝ち」
「んー違うよ。」
「何どうゆうこと」
「ほら」
ナイはアニのタブーカードを指差した。そこには「一人称」と書かれていた。
「うわー、なんじゃそれ。私って先に言っちゃったな」
「勝ちを確信して、油断したね。アニちゃん」
どや顔でナイはアニを煽る。
「くそっこの」
アニは憂さ晴らしにナイの頬を撫でたりもんだりを繰り返す
「ちょっとやめてよ。アニちゃん」
「やめない。生意気なナイにはお仕置き」
「あーもー。えいっ」
お返しとばかりにナイはアニの顔を両手で挟むようにして頬に触れる。
「やめてよ何するの」
「アニちゃんが先にやったんじゃん」
「私はゲームだからだよ」
「もう終わったでしょー。あ、アニちゃん耳分厚い。柔らかくて気持ち」
「やめて耳触らないで」
じゃれあう二人だが、こんな姿当然他の人にはみられたくないわけで、まあもう
誰も来ないよねと楽観が、ガチャというドアの音で崩れる。
「おつかれ遅くなったけどいちおうきてみた、よ。」
来たのは、彼女らより一つ学年の上のウノだ。彼女らのいた場所が机とかで入口からは見
えないなんてことは当然なく。その姿はしっかりと見えてしまう。
「「あ」」
「えっと」
「ウノさん。おつかれ様、あ、ちょっとゲームしてまして、部室にあったタブーコードって
いうボードゲームで」
「よし、僕は帰るよ」
明らかに何かを確信して出ていくウノを二人で必死に引き留め言い訳をしながら 3 人で
タブーコードをすることになった。
「いやさ、そうことは別にいいと思うし、今の時代こんなことを言うと怒られるんだろうけ
ど、前時代的な考えで言うと、君らの関係がタブーだよね
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ボードゲームがたくさんあるので遊んで小説にしていきたいです