新たな依頼
えっと、先ほどアモスさんの依頼を聞いたのだが…要約すると3つある。
1つ目は、ダンジョンギルドと冒険者ギルトからそれぞれ一名ずつ監視員を連れて行ってほしい。
実は、今回のダンジョン攻略依頼の報酬として、依頼したダンジョン内で狩った魔物は、通常の買取価格の2倍で買い取ることが決まっている。
しかし、中には依頼以外で狩った魔物を売りに来る冒険者もいるみたいで…まぁ、いわゆる偽装って言うやつだな。で、これを防ぐために監視員をつけるようだ。
まぁ、これはいいだろう。俺はそんなことはするつもりもないが、今回、魔物はすべて転送袋を通じてギルドに送るため、証人がいた方が取引しやすいと思ったからだ。そのため、俺はこの件について快く承諾した。
2つ目は、新たに5つのダンジョンを攻略することだ。これは、ダンジョンギルド長である「カルベ」さんからの依頼だ。なんでも最近、ダンジョンを持つ貴族や商人が増えているらしく、現在売買や賃貸用のダンジョンが不足しているみたいなのだ。そこに新たに5つのダンジョンを見つけることができたらしく、今回のダンジョン攻略と共に攻略を依頼されたのだ。
まぁ~これも承認した。まず、ダンジョンの位置が、今回の攻略対象のダンジョンに近かったこと、そして冒険者ギルトと同じく報酬があることが、依頼を受け取った理由だ。
ちなみに、報酬は…
①今回の5つのダンジョンの買取価格を通常の100倍とする。
②一階層ごとに白金貨20枚ボーナスとして追加する。
③前の依頼を含むダンジョン攻略で得た景品(魔物の鱗を含む)の買取価格を10倍にする。
以上の3つである。
特に③が俺にとってとてもありがたいことだ。例えばマウスだが、あの魔物は骨質250枚、鱗30万枚ある。これを冒険者ギルトに買い取ってもらうと…「依頼したダンジョン内で狩った魔物は、通常の買取価格の2倍で買い取る」と言う報酬契約より、通常の2倍の買取になるが、ダンジョンギルドで買い取ってもらうと…③の「前の依頼を含むダンジョン攻略で得た景品(魔物の鱗を含む)の買取価格を10倍にする」と言う報酬契約より通常の10倍の買取になるからだ。
ちなみにこの報酬内容を知った冒険者ギルト長のアモスさんは、報酬契約に新たに「ダンジョン攻略期間中にダンジョン内で狩った魔物(ダンジョン以外で狩った魔物も含む)の解体費用を無料にする」と追記していた。
実は、この魔物の解体費用、俺は、ブラックスケルトン達がやってくれていたおかげで知らなかったのだが、結構かかるみたいだ。例えば先ほどのマウスだが、前回買い取ってもらったとき、マウス1頭(10メートル級)で、白金貨3兆9025億26850万5000枚だったが、このマウス一体の解体費用は手数料込みでおよそ白金貨25億枚だそうだ。これが、タダで行うと言うのだから冒険者ギルトも前回の買取後の転売で予想以上に高く売れたのだろう。
3つ目の依頼は、冒険者ギルドとダンジョンギルドの両方からの依頼であったが…これがやばかった。
依頼内容を簡単に言うと…冒険者ギルト・ダンジョンギルドに溜まっている依頼を全て行ってほしいだ。大切な事なのでもう一度言うぞ。溜まっている依頼を『全て』行ってほしいだ。
まぁ、溜まっている依頼ってそんなにないだろうと俺は最初思っていたんだけど…行ったら予想を遥かに超えていたよ。
それぞれの掲示板には、無数の張り紙があった。全ては数えていないけど、ぱっと見た限り…それぞれ3000枚以上あるぞこれ…
しかも内容が…「ダンジョン攻略求む」、「Sランクの魔物の退治を求む」などのランク上位の冒険者でないと難しい依頼が多いんだが…しかもいつの依頼?って言う張り紙もあるんだけど…
ちなみに、ギルドに掲示される依頼は、達成されると王都にあるギルド本社に提出することで、依頼をクリアしたギルドに報酬が送られるのだが、反対に依頼が溜まっていくと罰金が発生するみたいだ。で、ここで気づいたのだけど、このクルネスの町にSランク以上の冒険者って俺だけなんだ。つまり、そもそもこれらの依頼を受け持てる冒険者がいなかったわけだ。しかし、現在俺がいるため、できなかった依頼を全て行ってもらい罰金を少なくしようと言うわけである。
流石にこれは俺も一度依頼を断ろうと思ったけど、アモスさんやカルベさんの説得や報酬で渋々了承することにした。
ちなみに報酬は、今回のダンジョン攻略する際に出された報酬内容に加えて、
①依頼クリアでボーナス白金貨10枚
②依頼で狩った魔物の買取価格を4倍にする。
③依頼が全て完了するまで魔物の解体費用は無料にする。
が加えられた。
何か…報酬で依頼内容を決めている人と思われるかもしれないけど…量が量だからな…。でも、やるからには責任をもって完遂しよう。
一応スケルトンによる依頼任務を行っていいのかアモスさんに確認したところ…
「モナカさんの使い魔であるならば問題ないです」とのことなので、緊急性の高い依頼を遊撃隊に任せよう。これでも遊撃隊の戦闘能力はダンジョン攻略隊とほぼ同じだからな。
ダンジョンギルドの内容や冒険者ギルドの一部の内容については、今回のダンジョン攻略と一緒に行うことにしよう。
でも、依頼内容が多いので、急遽スケルトンソルジャーを8000体、スケルトンサージェントを200体召喚し、遊撃隊から2体のグランドスケルトンを配置した臨時の遊撃隊を2部隊編成し、依頼を行ってもらうことにした。ちなみに遊撃隊から移動させたグランドスケルトンを指揮官にすることで、遊撃隊の総司令であるブロックに状況を伝達しやすくした。
尚、ブロックにこのことを伝えると、彼は、姿勢を正し右手を心臓辺りの肋骨まで上げ、まるで、「お任せください」と言っているようだ。頼もしい限りだ。
というわけで新たな依頼も増えたので、急遽魔法袋を60個追加で購入し、3つの遊撃隊に20個ずつ渡した。これで狩った魔物をギルドまで持って帰れるだろう。
よし!これで準備はできた。それでは、各部隊それぞれの任務の成功を期待する!