月下の道化師
薄闇に浮かぶ、笑顔の仮面
湖面を跳ねる、真鍮のブーツ
月下にさざめく、サテンの舞
夜霧に映る、華やかな影
忘れられた独演会
泳ぐそで先、赤、白、ふぅわり
褪せた瑠璃が混じる
踊るつま先、金、銀、しゃらん
錆びた鉄が鳴らす
捨てられた無言劇
薄紙のニジマスが紡ぐ、ソプラノ
石造りの笹舟がつなぐ、アルト
蜃気楼のホタルが支える、バス
もろい水面から浮かび上がる
動かない口まねで、デュオ、トリオ、カルテット
そろわない合唱
シャボン玉の星々が降らせる、細い髪
油絵の極楽鳥が寄せる、くちばし
ねじ巻きの神様が差し伸べる、手
重い夜霧から生まれ近づく
つないだフリして、くる、くる、ターン
とどかない舞踊
ニジマスが溶ける
笹舟が沈む
ホタルが消える
動かない口まねの、トリオ、デュオ、ソロ
星々が弾ける
極楽鳥が燃え尽きる
神様が止まる
行き先を失って、くる、くる、ターン
「・・・」
錆びた鉄が鳴らす
踊るつま先、金、銀、しゃらん
褪せた瑠璃が混じる
泳ぐそで先、赤、白、ふぅわり
夜霧に映る、華やかな影
月下にさざめく、サテンの舞
湖面を跳ねる、真鍮のブーツ
薄闇に浮かぶ、笑顔の仮面
捨てられた無言劇
忘れられた独演会
道化師の仮面は、白く
ただ、ただ、白く