スキルとルナ
中2?
プロローグ
誤解だ・・・
まことに驚愕的な誤解である。きっと、不幸やそこらの言葉じゃ表現できない。
俺は、潤宮 煉。今、少し悩んでいる。俺の右腕には、生まれつきアザがある。最近は、ひどくなって波紋のように広がってる。手に縛りついてるような模様だから、遠くから見ると入れ墨に見えるらしい。医者もお手上げで、いくら色素を皮膚にうっても すぐにアザが戻る。
ここからが、本題なのだが、今日は 高校生活2日目である。弐ノ優路高等学校にギリギリ受かって入学したピカピカの1年生であるのだ。で、その記念すべき初体育授業でグラウンドで準備体操をしてるときに驚愕的な事件が発生した。ゴリラ・・・いや、むしろキン肉マンに近いご立派な肉付きの 丹田なんとか先生に 超高速テニスボールを俺の頭にぶつけてきやがった。
「てめぇ!高校でなに入れ墨してる!!!」
冗談じゃない、生徒を何だと思ってる。頭に激痛が走る。俺は死期を感じるとは、この事だったのかと確信しながら振り返った。
「ちょっ!丹野先生!これアザですよ!学校にも伝えたんですよ!?」
「おう。まぎわらしい・・・。あと、俺は丹田だ。」
驚愕的だ。もう、現代人の国語力では示せないほどの状況だ。
「おまえ、大丈夫か?あれ、野球ボールだったら今日は煉の命日だな。」
こいつは、腐れ縁の倉木 大地。通称ダーチ。幼稚園の頃から一緒だ。このスポーツ馬鹿は、いや俺もスポーツ馬鹿に入るかもしれない。まぁ、怪獣とでも呼ぼうか。
「まぁ、今日はサッカーだぜ!?いこうぜ!」
「それ以前に、もう死ぬと思う」
怪獣は、気楽でいい。その日は、やる気もないので怪獣がボール遊びをする珍しい光景を見つめるだけにしておいた。
今から、6年前。世界規模でストーンウイルスが発生した。バイオテロだとも、近年わかってきている。ウイルスは、狂犬病と似た症状を出し、感染者は皮膚が赤くなり、首や顔の近くに光ったりする「こぶ」ができる。この、「こぶ」がストーンウイルス本体で「ストーン」という、感染がステージ5以上になると、ストーンは周りの物や人を傷つけたり、襲ったりする様に体に指令する。感染者は、自分の意志で人を襲うのではなく、ストーンの中にあるウイルスのネットワークの命令を脳の命令と体が勘違いする、一種のマインドコントロールをするウイルスである。知能や生命に関わる制御は脳がし、襲ったりする命令はストーンがするので、高知能を有した発狂者になる。一番、厄介なのがストーンが体のリミッターを外すので通常の倍の運動能力を発揮する。そのため、感染者の寿命は1ヶ月。世界は、このウイルスには すべてのワクチンや薬に耐性があり到底かなわないとおもわれた。しかし、ウイルス発生から2ヶ月後、国連は最新型ワクチンと除菌薬を開発した。このワクチンは、ワクチンというより白血球のような役割をして体内のウイルスを除去する。この地球上の進化系統と別系統を通ってるから、1ヶ月に1回 使えばストーンも治る発表された。でも、この最新の除菌薬は違った。この、薬はいわば殺虫剤のような物で、ワクチンを打ってない感染者が摂取すると死滅する物だった、事態の深刻さもあって飛行機で世界中にばらまかれた。除菌を行ったわけだ。まぁ 結局は、そのおかげで6年でここまで復興できた。でも、俺の両親は その薬で殺された。ワクチンが、体に合わなかったからだ。ウイルスに、ステージ4以上感染するとワクチンは意味がなかったらしい。
「なぁに、ぼぉっとしてんの?」
でた。こちらは、腐れ縁2号 泉原 奈々(いずみはら なな)。
「おまえかよ。先ほどの丹野大先生様のありがたい速球について考えてたんですよ。」
「だから、隠せばいいじゃん。その腕。あと、丹野じゃなくて、丹田先生ね。」
「それ、だるいぞ」
俺は、皮肉そうにいうけど 奈々は何も感じてないらしい。
「はいはい。教室いくよ。ダーチが あんたの家に行くとか言ってたし。」
「またかよ・・・」
怪獣ダーチは、近頃 俺の家によく来る。どうやら、PGPの対戦相手として気に入ってもらえたそうだ。まことに光栄だ。
「友達は大切だよ?はい!いってらっしゃい!」
奈々は、勢いよく俺を仁王立ちする怪獣に突き飛ばした。
「じゃ!決まりな!行こーぜ!」
「おい!やめろ!肩が重い!」
腕のアザがヒリヒリするのは、気のせいだろうか?
第一章新月の夜に。
「オッス、煉!」
「おじゃましまーす!」
ダーチがやってきた。
「って!なんで、奈々がいるんだよ!おじゃましまーすって、邪魔って自覚してんだろ!?」
「なぁ、煉。紳士ってのは、そんなのじゃ駄目なんだよ」
「なに、顔 輝かせてるんだよ、そもそもなんでつれてきた?」
こいつは、昔から意味不明だ。
「え?ダーチがみんなの方が楽しいし、私の事を煉が呼んでるって・・・」
「おい!紳士怪獣『ダーチ』。おまえの頭も丹野大先生様に速球食らって来い。」
「いや、実を言うと、煉と二人だとつまんない。後、丹田じゃねえの?」
言葉を失う回答だ。いや。そもそも、玄関で話してるのもおかしい。それよりも、丹野と丹田の何が違うのかがわからない。
「もういいや。入って」
「最初から、そうしろよ」
とダーチは輝かしい笑顔をする。まず、その笑顔の根源がしりたい。ダーチは、何気なくリモコンでテレビをつけた。
『速報です。先ほどの午後5時。新宿の裏道で違法改造ライフルを2丁もった4人の集団が重傷を負ってるのが発見されました、警視庁によると傷は、電気や氷などでついたもので、運動エネルギー兵器と見て捜査をしております、加害者はストーンウイル感染者にとるものではないと考え・・・・』
「物騒だな」
「多いよね。最近」
ストーンウイルス発生時、世界中ほとんどの国の法律が変わった。日本も銃刀法が改正され、自衛目的の使用なら 弾8発式の拳銃が16歳から使用許可され、20歳以上からは免許をとれば レベルに応じて ライフルまでは所持していいらしい。まぁ、俺は興味ないし 今更、必要ないと思うから持っていない。ダーチは、安物の中古の拳銃1丁もってるって言ってたけど。
「てか、銃ってまだ必要か?」
「アメリカは、昔からいいらしいし いいんじゃね?」
ダーチは、結構 銃が好きだ。
「でも、ほとんどの女子は銃とか きらいだよ?不良とか、超こわいよ?」
「女子も買えばいいじゃん」
「戦争する気かよ」
こう、笑ってるが 実は今、腕がヒリヒリする。骨から焼けるような痛みだ。色素のせいか知らないが、とにかく痛い。
「どうしたの?表情ゆがんでるけど?」
「なにもない」
おれは、トイレに入って 鍵をしめた
「うっ・・・」
おれは、タオルを噛みながら、うめいた。あの二人は、あぁ見えて、心配性だ。中学のときなんか、ただの腹痛でダーチが俺を担いで奈々と緊急医療受けさせてたしな。あれだけは、もう避けたい。苦笑は出るけど、この痛みはハンパない。
「みつけましたよ。」
えっ?ここには、ダーチと奈々しかいないはず・・・。俺はとっさに振り返った。黒いコートを着た男だ。鍵は閉めてるはずなのに!強盗!?
「お前!だれだ!」
おれは、本来 対ストーン感染者用のサバイバルナイフを、となりにある緊急用具から取り出した。
「そんな、物騒な物なんて置いて、話し合いませんか?あくまでも、合理的に。」
こいつ、合理的とかいいながら拳銃を向けてきやがる。こりゃ、強盗だな。
「ね?」
こうなりゃ、置くしかねえだろ。待てよ、ダーチ達はどうなってんだ?殺された?消音機か?
「あの二人は、気絶してるだけですよ」
「なにが、ほしいんですか?お金?なら、もっと金持ちを狙ったほうがいいですから。俺は」
「あなたの腕。」
空気が冷えた。
「は?」
「正確には、あなたの才能が欲しいんですよ。その右腕の異変ぐらいもう気づいてるでしょう?いえ。私も、能力者ですから、怖がらずに・・・。ですから、一緒にいきましょうよ?ね?ね?」
こいつ・・・。ふざけるな。発狂しやがってる。どう見ても狂ってる。俺が欲しいって何だよ?まったく、ありがたい告白だ。こいつの銃も偽物か?いや、実際 ダーチも奈々も なんかされている。なら、発狂者の殺人事件?いや、あたまが真っ白だ。こんな・・・。はっきり言って怯えてる。
「聞こえてます?」
「うわっ!」
こいつ、おれの肩に撃ってきやがった。消音機までつけてる。だとすると、銃刀免許でレベル4以上はあるはずだ。
「くっそ!」
ここは、逃げるべきだ。俺は、真っ白になる視界に構わず走ろうとしたが
「だから、いっしょに行きましょうよ。」
「あう!!やめろ!!!」
銃を俺の傷に押し付けやがって。ダーチと奈々も殺られたかもいれない。そう思うと、殺意が湧く。死ね。こいつだけは死ね。おれは、心から念じた。人を苦しめて何が腕が欲しいだ!死ね!!
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
急に男は、胸の近くを押さえながら叫び始めた。俺は男を凝視した。瞳孔が開いて体中が震えてるのを感じた。
「やめろ!死ぬ!死ぬ!」
バッアン!
男の胸の近くから、氷のような つらら のような物が体から3本ぐらい出て、男が倒れた。男が 腰を抜かして座り込む俺の腕をつかみ
「くそったれ」
これだけ残し、目を開けたまま動かなくなった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!だ・・・だれ・・・だれか・・・・。」
こんな、恐怖。ストーンウイルスの日 以来だ。
『みつけた』
そんな時。聞こえたんだ。天使が。新月の夜に。
第二章スキルとルナ
『みつけた』
「だれ!!!」
悲鳴に近い声を出して、俺は顔を上げた。女だ。同い年だろうか?藍髪に青い目をした少女だ。
「だ・・・だれなの?」
「やっと、みつけたよ。ライトさん。」
「へ?」
俺の前でしゃがんで、俺の顔をまじまじと見ている。能力者の次は ライトか?まさか、この男の事、殺したのも、この娘か?でも、どうやって?この娘も発狂者?感染者か?
「こっち、きて」
「え?どこ?あ!みんなは?みんなは、どうなの!?」
藍髪の少女は、俺の手を強引に引っ張って外に出た。
「あぁ、ほんとに気絶してるだけだ。よかった。」
「自分の心配したら。肩のところ撃たれたみたいだけど」
そんな、いわれなくてもわかる。今にも、気絶しそうだ。少女は、玄関のドアを閉めた。ドアに、一つも損傷はない。合鍵か、セキュリティーにハックでもしたのだろうか?
「殺っちゃったね。どうするの?この、男の人。」
「 殺っちゃったねって・・・。君が殺したんじゃ・・・。」
「あなたが、殺したんだよ。スキルで。」
はい。でました。発狂者、腕が欲しい、能力者、変人少女、俺が人を殺したの次に スキル。夢だ。夢じゃない方がおかしい。こんなの。なにが。なにが起きてるんだよ。
「もしかして、なにもわからないの?潜在者?」
「なんの事だよ?それより、お前は誰で、俺はどうなっていて、それ以前にあの男はもう死んで」
「その様子じゃ、潜在者だね。」
きたぁ。潜在者。なんですか?はやってるの?俺は、自分がイラついてるのをかんじていた。
「なに、それ?」
「あなたは、潜在者。潜在者はスキルの存在も使い方もわからないけど才能を持ってる人の事。」
「それ以前に、スキルって何だよ?才能って何がだよ?」
おれは、肩の痛みにうめきながら、ソファーの近くに寄りかかった。
「スキルは、その右腕にある紋様を元にして出す力。普通は、左腕に あるものだからあなたのような右紋様能力者は『ライト』って呼ばれるの。能力者は、スキルが使える人ね。あなたは、スキルを使って あの男の人殺したんだよ?」
「紋様って。これは、ただのアザで・・・。うわぁぁぁぁ!!!なんなんだよ!これ!!!!!」
俺は、現実じゃあり得ないような右腕を見た。右腕のアザが、青い螺旋状の模様が ひじ まで来てて、それを元にたくさんの模様が皮膚に出ている。腕の真ん中あたりに、円の上に波線の十字架のような物があり、手の甲には、魔方陣のような円と星がついている。
「水属性だよ。だから、あの男の人からも氷が出たんだと思う。たぶん、感情の不安定なバランスが一気にスキル解放させたんだと思う。」
「スキル解放?」
「スキルが完全に使えるようになる状態へ推移する事。あと、世界中にある超能力とか魔法だとかってやつね、ほとんどインチキだけど、本物はみんな潜在者がやった事なの。潜在者は、ちょっとしたスキルなら使えるから、ノンからみたら すごいって思われるんじゃないの?ノン は、スキルや才能のない人のことね。人間ホントはほとんどの人が、スキルが使えたんだけど、それを武器にする争いのせいで、文明が1つ滅びたの。だから、人はね スキルの遺伝子を自分から消したの。消えなかった人は、全員虐殺されたらしいけど。こうやって、生き延びてる人もいるわけ。あなた と わたし みたいに。」
いや。ふざけてる。超能力だの、文明がだの。バカバカしい。とにかく社交辞令をすませてバイバイだ。
「あの、とにかく。名前は?おれは、 潤宮 煉」
「わたしは、ルナ・シャイン。光属性のマルチ。」
シャイン って外国人か?まぁ、それはいいとして。マルチってなんだし。
「マルチっていうのは、元なる属性に加えて他の属性も扱える人。」
「そう!じゃ、おつかれさま。病院 行ってくるから。」
「死体はどうするの?人を殺したんだよ?」
やっべぇ。完全に忘れてた。この変人少女 ルナ の話を聞くしかないのか?そもそも、スキルなんて根拠がないだろ。想像の産物にしか考えられない。
「ほんとに俺が殺ったの?」
「まだ、わからないんだ。」
うわ!!
少女、ルナは、俺を見つめたかと思ったら、急に右目を赤く変えた。血のような色だった。
「やめろ!」
ルナの手に火の輪がいくつもできていた
「殺す気か!?」
地面から、ツルのような植物がルナを絡んでこっちに向かってくる!
「自覚して。あなたは、もう逃げられないの。」
そういって、俺は気を失った。死んだのかもしれない。それほど、静かだった。
第三章奇跡
「理解の遅い人。昔と大違い。」
なんとなく、呟いてみた。でも、私の今まで会ってきた人たちよりは、ずっと 人だった。ずっと・・・。
「病院か。」
ホントは、行きたくなかった。でも、緊急医療に通信するしかなかった。煉は、他の人とは何かが違う。私を殺せるほども強くなれる。だから、私の殺し方を含めて教えなきゃ行けない。彼が最後の希望で絶望だから。私は、彼の寝顔を見ながら、そんな事を考えてた。
「まじかよ。」
俺は、目をうっすら開けて思った。ルナは、実在する。夢じゃない。
「起きたの?傷は、もう治ったね。」
俺は、肩を触った。包帯もなく、ステッカーが貼ってるだけだった。さすが、最新医療現場。そう考えながら、右腕を見た。紋様がある。男を殺したのは、やっぱり俺か。
「死体は、私が処理しといたから。心配しないで。」
耳元で、ルナが そっと囁いた。
「処理って!どういう意味だよ!?」
「闇社会の事は、闇社会に任せといて。今日中でも、退院できるらしいから。これ。」
「なにそれ。」
ルナの差し出した物は、指の部分に穴があいた長い黒い手袋の様な物だった。
「これを腕につけとけば、紋様も見えないでしょ?色々と その紋様 見られると面倒だし、これ指の部分に穴があいてるし腕にもぴったり張り付くから、勉強もスポーツも邪魔にならないと思う。」
これで、ゴリラマッチョ先生に怒られる事もないわけだ。ありがたいかも。俺は、早速つけてみたが。
「やっぱ、目立つぞ。これ。」
「さっきよりは、全然マシ。」
「とにかく手の甲に 逆さにした五角星の紋様の人には気をつけてね。デビルスターって人たちで、大体が危険な人。スキルとは、また違う サタン って力を使うから。」
なんだそれ?よくわからないけど、そんな人が うじゃうじゃ いた方がおかしいだろ。
「俺は。紋様とかスキルとかばれるとどうなるんだ?」
これは、心配だった。マジで普通な平凡生活希望の俺には、ああいうアクション映画のような、謎の組織に追われる様な事は避けたい。
「え?その場で死ぬか、捕まるんじゃないかな?」
おわった。俺の夢はおわった。
「学校は行ける?」
「行ける」
学校には、行かなくてはならない様だ。
「じゃあ、また今度 会おうね。」
「あ。うん。」
今度って、いつだろう。
翌日
まぁ、俺は適当に朝飯 食って、紋様を隠すグローブも着けて、準備完了!と学校に登校するが・・・。
「おーい!煉!お前、昨日は大丈夫か?途中でなんか俺 寝てたみたいだよな?」
「え?あ、うん。肩の方 トイレで怪我してさ」
「治ったなら、いいじゃん。お前に寝顔 広められるか、びくびくしてたわ。」
と大声で笑うダーチ。こいつの寝顔は、まじで広めたくなる。曲がり角の方から、女子の声が聞こえてきた。奈々達だ。
「あ。煉。昨日はどこいってたの?」
奈々は、すこし不機嫌じみた顔で俺に問う。
「話聞いたよ。どうせ、奈々を襲おうとしたんでしょう!?」
根も葉もない話を奈々の親友、咲が言う。奈々を抜く女子全員がクスクス笑う。だから、人は怖い。なによりも、ダーチの疑いの視線が問題だ。
「ていうか、なんで黒い手袋みたいの着けてんの?」
こいつは、里奈。うるさい奴だ。
「え。こっこれは、アザがひどくなったから隠されたんだよ。」
「やっぱり、私の言う事 聞いた!初めからやればいいのにさ。」
奈々が誇らしげに胸を張る。その、勝ち誇った顔をやめてくれ・・・。もう、半泣きになるぞ。
「頑固ですよね。潤宮さんは。」
おまえが、受け止めすぎてるんだよ!すこしは、頑固になれ!という気持ちを抑えて紹介しよう、こいつは晴だ。そもそも、朝から会いたくないランクベスト10以内に入ってる人に会ってるし。厄日だ。補足をしよう。
俺は、1-A に在籍し、血液型はB型。成績は、下の方からが早いが体育と暗記系の歴史や地理は上位だ。また、英語や外国語科も得意の方。我が、 弐ノ優路高等学校 成績優秀、金持ちなどが良く集まる学校で不良も実は多い。理由は最近、知ったけど。ここの生徒会長は 大企業のトップの息子でここの近くの地域や学校を支配してるみたいらしい。不良とか委員会が、生徒会の軍団みたいらしいけど、触らぬ神に祟りなしだ。
「今日、生徒総会あるらしいぜ。生徒会長ってどんな人だろうな?怖いのかな?」
「あんま、言わない方がいいよ。お姉ちゃんの友達それで大けが、負ったんだって。」
そんなに独裁政治か。まぁ、ストーンの混乱の後、金が物事を言う世界になったしな。金さえあれば、犯罪も人を殺しても無罪。こんなご時世だから仕方が無いのかもしれないけど。
しばらくして、学校についた。教室でいつものように窓をみつめていた。窓際の気持ちのいい席だ。そんなところに、先生の声が聞こえてきた。
「えぇ。みなさん。今日は、入学4日目ですが編入生がいます。えーと、入ってきて。」
コツコツ、順序のいい足音。こんな、時期に編入ってどうせ優等生だろうな。
おぉ!だとか、女子じゃん!とか、結構かわいいし!とクラスがうるさい。女子の編入だけでざわめく男の心も劣化してしまったな。と空を見つめてると。
「ルナ・シャイン です。よろしくお願いします。」
正直、意識が吹っ飛んだ。頭を光の速度で前に向ける。ルナ・シャイン です。正真正銘の変人少女 ルナでした。
「はぁぁぁぁ!?」
周りの事なんか忘れて、おもわず立ち上がって叫んでしまった。
「え?知り合い?」
クラスの全視線のスポットライトを受けて輝く俺に、前から浩が俺に聞く。
「え?うん」
「あの、先生。私、あそこにいる煉さん とは知り合いなんです。日本語が不安なんで隣の席にしてもらえませんか?」
「不安か?そうだな。山永!おまえ、ルナと変われ。」
「はい」
放心状態の俺をよそにルナが俺のとなりに座った。
「ねぇ。本物のルナ?」
「偽物に見えた?」
発狂寸前だ。俺のすべては、こうしてパズルのピースみたいに崩れていった訳だ。先生が何かを言っている。でも、耳には入らない。隣のルナを見ると、目が合って「なに?」みたいな顔をする。「なに?」じゃないだろ・・・。
まぁ、時間とは無慈悲な物であって、俺がどんなにダメージを受けようが流れていく。ボーっとしながらも生徒総会の会場についた。
「なぁ。あの編入のルナとは、知り合いなのか?」
「もう聞かないで・・・。」
ダーチ。おまえの質問は他の生徒のと合わせると18回目だ。
「ねぇ!ルナさん!外国人なの?煉とは知り合い?」
「私は、イギリスから来てて、煉とは小さい頃からの知り合いだよ。」
嘘付け!!!お前の顔など見たのは2日前からだ!
「静かに!生徒総会が始まるぞ。」
上級生の風紀委員に注意された。1年生は、ともかく2、3年生の空気がピリピリしてる気がする。
「はじまったぜ。」
電気の消灯が行われたところで、ダーチがささやいてきた。一歩一歩、一人の生徒が壇上にあがる。壇上の後ろにある、大型ディスプレイに生徒会の二つの剣が交わったシンボルが出てきた。なぜか、教師全員が会場から出て行った。
「私は、2-Aの ルーク・プラエセント。生徒会長です。新入生の皆さん。入学おめでとう。ここは、 プラエセント生徒会ネットワークの本部学校の 弐ノ優路高校です。皆さんに守ってもらうのは」
妙に偉そうな口調だ。それよりも、プラエセントって、あのプラエセントグループか?コンピューターや家電でトップの会社。
「皆さんに守ってもらうのは、ただ 逆らうな。それだけです。今日は、規則違反の生徒がいます。」
なんだこいつ。にやけてるし。1年生全員がどん引きじゃねぇかよ。会長は、手招きすると。1人の男子生徒が連れてこられた。ボロボロで目隠しされている。
「こいつは、3-C の山崎君です。何をしたと思いますか?反プラエセント生徒会ネットワーク組織だというものを作ったそうですよ」
おいおい、もう公開いじめだろ。山崎さんもめちゃくちゃ抵抗してるじゃねえか。
「反省してくださいね」
まじかよ!1年生が騒ぎ始めた。会長が拳銃をその生徒に向けているからだ。俺は、冗談だろうと思ったが
バタン!
鼓膜が破れそうな銃声がなった。生徒が倒れた、うめき声をあげて。生徒は太ももを打ち抜かれていた。会長は、満足げに拳銃をとなりの生徒会の人に渡すと、
「1年生は、クラス委員会を作り、放課後ミーティングに参加してください。今日中です。」
1年生の大半が驚愕の声ををあげた。みんな大混乱だ。
第四章 告白
「おい!あれ、本当に会長かよ!?」
「狂ってんのか?」
「だから、ビデオも携帯も今日、一時没収だったのかよ!」
「私も撃たれないかな・・・」
みんな、正気を失っていた。
「煉。こっちに来て。」
ルナが俺を呼んでいる。
「なんだよ。なんで屋上?」
「ルーク・プラエセントは、スキル能力者だとおもう。」
「それ、まじかよ。」
会長様がスキル能力者って事は、俺とは仲間なのか?いや、あいつ狂ってたし・・・。
「彼は、たぶん火属性の 5ポイントスタータイプの左能力者。敵だよ。」
「敵って。俺の?」
「私たちの」
もう、なにが私たちのだよ。
「俺は、お前の目的も身分も何も知らない。それを、教えろ。」
「聞きたい?」
急に顔を近づけやがって。色々、怖いやつだ。
「聞きたい」
「あなたの、ご両親は殺されたんだよ。」
俺の両親が殺された?
「どういう事だよ?おれの両親は、病死したんだぞ?」
「あなたの、ご両親は殺された。国連のスキルバスターに。それで、プラエセントグループも、それに関わってるの。」
「じゃあ!なんで、お前が知ってるんだよ!?」
「あなたの両親はパズルグループだったの!」
パズルグループだと?意味わかんね。
「信じてないでしょ?だから、言いたくなかったんだよ。」
信じられる訳ないだろう。いくら、うつむいてても理解できないのはできない。
「パズルグループって・・・。テロリストだろ?」
パズルグループは、10年前に発足したテロ組織で政府の機密を公開したり、戦争や虐殺をしてきた、史上最悪と言われるテロ組織だ。ストーンウイルスも、パズルによるバイオテロだと最近わかってきている。
「そんな、言い方はやめて。」
「でも、テロだろ。」
「あなたの、お父様はパズルのリーダーだよ」
ふざけんな。さっきから、意味わかんねぇ事いいやがって。俺は、このままだとルナも、あの男のようにしてしまうと思っていたが遅かった。俺の、首の近くを二つの尖った氷の固まりがルナに飛んでいった。
「あ!」
俺は、素っ頓狂な声を出すが、ルナは気にしない。ルナに届く30cm前でルナの出した結界に氷はくだけた。やっぱ、こいつ怖いわ。
「私の事も殺そうとした?」
「え?いや・・・。」
「殺したいんだったら、強くなってからね。」
俺に宣戦布告でもしてんのか?
「とにかく、パズルの事は冗談だよな?」
「だから、本当なの!あと、パズルはテロじゃない!」
「証拠もないじゃないか!?」
「あ、そう?じゃ、これは?この写真に、お父様映ってるでしょ?何持ってる?」
ルナは、データーパネルを俺に見せる。確かに、色々ゴツい人たちと銃を抱えて真ん中にたっている。
「これがどうしたんだよ。銃くらい普通だろ。」
「これ、10年前の写真だよ?銃刀法違反になっちゃうじゃん。しかも、こんな立派な重機関銃を持ってて普通って、あなた何考えてるの?」
たしかに、今の銃刀法でもライフルを所持するのが精一杯だ。日付も10年前。もしかして本当に?いや、バカバカしい。なんで、父さんがテロにならなきゃ行けない?
「もういいよ。とにかく、あなたはパズルのリーダーの後継者。あなたのスキルが解放された日から、もう、パズルのメンバーがあなたをリーダーにするかどうかの審議を始めてる。」
「なら、拒否する。」
こんなの、やるわけないだろ。俺は、パニック状態を抑えながらも失神しそうだ。
「そうだね。拒否権はあるよ。でも、私がさせない。あなたなら出来るから、お父様の遺言でもあるんだよ。信じて!」
何を信じろというんだ。ルナは、ため息を一つついてデーターチップを渡して、教室に戻っていった。絶対に、ふざけている。俺は、データーチップをデバイスに差し込むと。
『ようこそ。パズルへ』画面が出た。
初めまして、潤宮 煉 さん。あなたは、パズル後継者の一人となりました。現時点であなたは最優先後継者です。
パズルの方針
・スキルやノンの保護も含め、政府の一部勢力による虐殺、暗殺を防ぐ。
・出来るだけ、被害を減らす事。
・ストーンウイルスを再度、撒かれるのを防ぐ。
・能力者とノンの共存
他に、前リーダーからのメッセージがあった
「え?父さんか?」
第五章 ミーティング
「では、クラス委員会を作成しますからね。まず、委員長になりたい人は・・・」
しばらく、気まずい空気が流れた。全く・・・。
「はい!俺がやります。」
みんな、俺を驚いてあっけにとられてる。俺が、なぜこんなにも優等生になったって?そりゃ・・・。となりのルナが机の下で拳銃を向けるからだろ。そう!脅されてるわけだ。
「じゃあ、私が副委員長になります。」
ルナは、澄まし顔で言う。じゃあってなんだよ?じゃあ、お前が委員長になれよ。クラス中が俺にいいのかよ、と囁いてくるが、今死んだら意味がない。あーだこーだいって、委員会は、
委員長 俺
副委員長 ルナ
書記 鈴
会計 咲
審問 博一
という。まぁ、一応バランスはとれた委員会にはなったわけだ。
「では、今日はこれで下校です。委員会は、ミーティングがんばってくださいね。さようなら。」
全員が、適当にあいさつを終わらせて、鞄をもって下校していく。俺もそのはずだったが・・・
「なんで、細い目で俺を見る!?」
「だって、帰りたがってるじゃん」
「それが普通だよ」
ルナの奴、絶対に強引すぎる。今日は、午前下校だぞ!?
「おい、煉。そろそろ行く時間だぞ。」
「なぁ、博一は、なんで委員会 はいったんだよ?」
よくわからんが、博一は少し顔を赤らめ。ヒソヒソと、
「あ・・・あのな、誰にも言うなよ。俺はな、その。鈴が すっ好きなんだよ。」
「もしかして、それが理由か?」
「まぁ。そうなるな。」
俺は、今日。アホと言う者を目の当たりにした。
「アホだな」
「わかっている」
思ったより、アホ道は深かった。しばらく歩いてると、
「ここだよね?ミーティング室。」
咲が振り返って聞く。ここは、特別館といって、ミーティング室、投影室、スピーチ会場、食堂や浴場などの施設が集まった、建造物である。
「ミーティング3号室だよ」
トントン
「失礼します。」
ドアを開く。堅苦しい空気が流れてきた。
「やぁ、1-Aの委員会だよね?入っていいよ。」
会長は、にっこり笑ってる。
「君たちは、1年生の中で一番早く委員会が作成されたんだよ。委員長の煉君は学校の自治に興味でも?」
「えぇ!まぁ。」
脅されてたからな・・・。後から、続々と他のクラスの委員会が入ってきた。
「じゃあ、みんな来たし、はじめようか?」
だるい。俺は、こういう だるい 会議みたいのは嫌いだ。
「最近、ローカルネットのチャットで生徒会の悪口や暴言が去年の30%増えてるんだよね。それで、村上君のプログラムで監視ボットを流そうかと検討してるんだけど。今、ここで、まず各クラスで賛否を出してくれないかな?」
会議室が、ざわざわ騒ぎだす。
「ねぇ、これって情報規制だよね?大丈夫なの?」
心配そうにする鈴だが、俺はどうでもいい。
「普通にダメだろ?」
「でも、逆らうなって生徒総会で言われてるぞ?」
俺も、一応 自己意見は出してみる。
「だよな、撃たれないよな?」
「撃たれるんじゃない?」
心配そうに応答する咲。
「賛成でいいよな?」
俺は、確認をとっておくけど、この剣のある鋭い視線は間違えなくルナだ。そんなの構わず、パネルの賛成をタッチする。
すると、前にあるディスプレイに次々と結果が出てきた。
「賛成100%でいいですね?」
別にいいよ、と俺は念じる。どうせ、反対しても無駄だろ。
「概要としては、各クラスや施設のローカルネットのホットスポット機器に、このプログラムの入ったチップを挿す方が効率がいいので、これで行きます。委員会は毎月、問題者のリストを作成して、こちらからの処罰どおりに罰してください。」
俺は、チップ6枚を受け取った。
「後、これは1年生への通信機です。で、これがクラス委員会の○○です。通信機は、授業中もふくめて、常時つけてください。」
はぁ。通信機まであるのか。感心しながら、黒いタッチパネルの通信機と『クラス委員』と書かれた、緑色の〇〇をもらった。
「では、今日の会議はこれでいいでしょう。チップを挿したら帰っていいです。1年生の皆さんも、緊張しないでくださいね。」
さっきから、穏やかな口調だが目が笑ってない。さすが、プラエセントの息子だ。
「起立!礼!」
生徒会の書記が勢いよく号令をかける。
「解散」
会長は一言だけ言うと、外に出て行った。
「ねぇ、やっぱり賛成にすると罪悪感がするんだけど・・・」
「こういう情報も受け取れるんだから、委員会に入ってよかったかも。」
「とにかくさ、この通信機の質が良すぎて、怪しい。この、付属のイヤホンも音質いいし。」
みんなが口々に言う。だけど、ルナだけ下に視線を落としながら考え事をしている。
「おい。ルナ。お前、何考えてんの?」
「それより、パズルの事どうするか決めた?」
「・・・・・・」
「無理やりでも連れて行くから」
「信じてるよ」
「え?」
実は、ルナからもらったパズルのチップに父さんからのビデオメッセージがあった。これじゃあ、信じるしかないだろ。
「おい、ここのホットスポットも1-A担当だぞ」
「まじか」
ルナから、離れてチップを挿し込む。後から、次々とチップを他のスポットの挿して、最後に 1-Aのホットスポットに挿して任務完了。
「はい!終わり!帰ろうぜ」
そんな時だった、イヤホンから通信機のトランシーバーの通話が聞こえた。
『こちら、生徒会です。生徒会室を現在、取り囲んでいる生徒がいます
。応援お願いします。』
「おい!まじかよ。俺たちって、どうすんの?」
「帰っていいのかな?」
さすがの、俺も死ぬ寸前の人を見捨てるほど落ちてはいない。でも、どうやって?武器もないし、スキルの使い方もわからない。
『こちら、1-Aクラス委員長の潤宮煉です。応援に行きます。』
「はぁ?あんた、暴力団とどうやり合うの?」
あきれ顔で、鈴が言う。いや、口が勝手に喋ったんだけどな。
『発砲を許可する』
会長が、生き生きした声で応答する。こりゃ、喜んでるな。
「はい」
ルナが、拳銃を俺に渡す。拳銃なんて最近、使ってないからうまく当たるかもわからねえよ。
「私たちは、帰ろう」
「え!?でも・・・。」
「はい!帰ろう」
ルナが強引にみんなと帰る。何が、したいんだ?あいつ。
はぁはぁはぁ
やべぇ!遠い!遠すぎる!生徒会室って、ぜんぜん場所が違う。
「ここの角を曲がればすぐだ」
とぉっ と急カーブする。
「おい!出てこいよ!へっぴり腰が!」
まじかよ。6人くらいいる。生徒会室のドアは頑丈そうだから、当分開けれそうではないけど。
よし!俺は、自分の心をまず落ち着かせた。この拳銃に込められてる弾丸は、12発。マガジンが2つ。でも、見つかったら弾の交換は難しい。足を打ち抜いて2人同時ってのも難しい。相手は、各人拳銃を所持していて、ライフル1丁。あの、ライフルを持ってる奴の手を打ち抜いて、すぐにライフルを奪い取る。拳銃で近くの3人の太ももをゼロ距離射撃して、後の3人はライフルで射撃。うん!たぶん完璧だ。
ていうか、この拳銃って良く当たるかな?そんな事を考えながら、ライフルを持つ手を狙う。
「うわぁ!!」
当たった!俺は、死ぬ気で駆け出して、ライフルの男に激突。ライフルを奪い取って、拳銃で殴りつけて失神させた。
「なんなんだ!てめぇ!」
「生徒ですよ!」
そういいながら、相手を銃口で殴りつけると同時に太ももに発砲。そいつの、拳銃を蹴り飛ばして、他の2人の顔面をライフルで叩き付けて、最後の3人をライフルで射撃。終わった。
「くっそ」
相手に、脇腹を撃たれた。急所は外れたみたいだが、痛い。
「逃がしてくれよ!ルークに見つかったら、殺される!」
不良が泣きっ面で命乞いする。さすがに哀れだ。
「いいよ。逃げて。見つからないようにな。」
数人が失神した仲間を背負いながら、かっくかっく歩いていった。すると、生徒会室が開いた。
「ありがとう!いやぁ!助かったよ!撃たれたのか!?おい!治療だ、治療!」
生徒会の会計が叫ぶ。
『こちら、生徒会です。煉君による応援を受け撃退しました。』
『おい!煉、無事なのか?』
博一の声が聞こえる。
『君と話がしたい。家に帰ったら、ホットラインビデオチャットを掛けてほしい』
『わかりました』
俺と話がしたいか。なんか緊張する。ただ、今気づいたが・・・。ルナが角でのぞいてる。
第六章 統制
「おい、ルナ!どういう事だよ!」
「ビデオ撮っただけじゃん」
「なんで!?」
「パズルの後継者審議に使えるから」
やっぱり、こいつはふざけてる。現在、ルナと下校してるが、太ももが痛い。
「もういい。これ返す。」
おれは、拳銃を差し出す。
「あぁ。それあげる。煉のために選んだやつだから。誕生日プレゼントと思えばいいよ。使いやすかったでしょ?レベッカ42型だよ。」
「くれる?いくらしたの?」
「パズルに発注したから送料の1200円だけだよ」
「あぁ。ありがとう。」
相手の好意は、きちんと受け取る。ただ、もうこの銃を使う機会がなければいいけど。
「そもそも、後継者って何人いるの」
「6人くらいだったけど」
「それって、後継者争いとかもするの?」
これが、一番心配だ。パズルの後継者争いなんて絶対に戦争だろ。
「するよ。投票とかで。」
「戦争はしないんだ」
「する人もいると思うけど」
俺は、はっきりいってパズルに入りたくない。理由?そりゃあ・・・。怖いからです。俺は、超平凡生活を望む健康的で平和な少年なんだ。なのに、この世界平和を求める素晴らしい少年に戦争しろだぞ?無理だな。普通。それと、さっきから薄々気づいてた。いや、認めたくないが・・・。
「なんで俺の家の玄関前まで来る!!??」
ルナは、俺の声を全く聞かず鞄から出したキーカードで俺のドアを開けた。
「あ・・・あの。ルナさん?なんで、開けられるの?なんで、俺の家に来てるの?」
「あ、これ?管理人さんに同居しますって言ったらくれた」
あの、くそオヤジ!管理人とは、森田さんの事である。この、マンションは学生が多いのだが、おれは孤児という理由で良くお世話になってるんだが。いらないお世話までもしやがった!階段から、足音が聞こえる。
「おぉ!煉!どうした?同居だって?もう、年頃だなぁ〜。こうして、あの煉も大人への階段を歩み行くんだな。」
「ちょっ!なんで同居!?おかしいでしょ!?普通、鍵渡す!?」
こんな、大事をタバコ吸いながら済ませる気か?本人は気を使って下の事務室に帰ろうとしてるが、こっちにとっては最悪だ。
「汚い部屋・・・」
「じゃあ、入るなよ!!」
人の家に入って、その言葉はないだろう。
「お前、家ないのかよ!?パズルとかがどうにかしてくれないの!?」
「私は、護衛と教育が目的だもん。仕方ないじゃん!あなたのお母様も、ルナちゃんが煉と結婚してくれたらいいのにねぇ、なんて言ってたんだよ。」
「けっ結婚!?俺の母さんって、そんな人だったのか!?」
いや、デタラメだ。デタラメデタラメと念じ続けてると。
「安心して。あなたと結婚するなら舌を噛み切って死んだ方がいい。」
それはそれで侮辱してるだろ・・・。ルナは、黙って靴を脱いで家に上がる。頭痛がする。破裂しそうだ。
「ねぇ。おなか減った。なんかない?」
「キッチンで適当に食べてて」
こっちは、返事する気力もない。同居ってことは、光熱費や食料もどうにかしなくてはならないし、政府からの補助金は毎月10万円。学費は免除だけど、ルナの学費はパズルが出すはずだろうからいいけど。食事も考えて・・・
「バイトするか・・・」
「ねぇ!!これなに!?すごくおいしいよ!!」
ルナがお餅を口に頬張りながらはしゃぐ。
「ただの餅だろ?こっちは、今後について考えてんだよ。おかげで、バイトしなきゃ行けなくなったじゃねぇかよ。」
「ウァイト?なに?」
どうやらルナはバイトの意味が分かってない。
「働くってわけだよ!あと、食べながらしゃべるな。」
「その体力をスキルにでも使ったら?それより、渡したい物がある。」
そういって、くしゃくしゃの封筒を鞄から出した。開けてみると、パスポートが12冊ぐらい入ってる。なんとくなく開けると俺の顔写真があった。
「は?」
まさかとおもって、他のパスポートも開く。全部、俺の顔写真だぞ!?
「アメリカ、中国、アフガニスタン、イラク、カナダや南アフリカとかのパスポートね。パスポートは多い方が便利でしょ?」
「これ!犯罪だろ!」
「パズルの後継者である自体がもう犯罪だよ。あと、一つ言うけど 潤宮煉。これ偽名だから。」
「なにそれ」
「本名は、レン・ アクディニア」
「外国人か?」
「色々の国と混血してるけど、今はアメリカ国籍。あなたのお婆様が日本人ね。」
そういって、データーパネルの俺の家系図を見せる。嘘だろ。俺が煉じゃくてレンっていうのは。
「冗談じゃないよな?」
「じゃない。あなたのお父様は、イタリア人と中国人のハーフ。お母様は、アメリカ人と日本人のハーフ。だって、あなた日本人に比べて平均以上に体力あるじゃん。」
「なんで、俺に教えてくれなかったんだ?二人は」
「パズルの事と一緒に教えようとしたんじゃないの? レン・ アクディニアさん」
とルナは、鼻で笑うように俺の恐らく本名を言う。
「でも。あれだよね。最近、私の話を比較的スムーズに受け入れるようになったね。」
キッチンの台に背を向けて、指についた餅の粉を見つめながらルナが言う。そりゃ、信じるしか道がないからだろ。
「それより、会長にビデオ電話!!」
思いっきり忘れていた。急いで、ポケットから通信機を出す。慣れない手つきで、会長にビデオ電話を発信する。
『こんにちは。調子はどうかな?』
会長は、先ほどまで何か考えていたかのような顔つきをしている。
「はい、だいぶ良くなりました」
『それは、いい事だ。で、唐突だけど生徒会に入会してほしいんだけど。いいかな?』
「俺が?」
俺は思わず、奇声を発する。あの、残酷非道のトップの生徒会に?デメリットの方が多いんじゃないのか?いや、でもルナの話によるとプラエセントグループが父さんと母さんを殺したのに関わってるし、何かがわかるかもしれない・・・
「あの、生徒会って選挙が必要じゃ・・・」
『正当な選挙をしてたら、私なんかとっくに降ろされてるよ』
と部屋中に響く笑い声を上げる。ルナが、キッチンから一生懸命にOKサインを作る。入会しろってわけだな。
「俺って生徒会で何やるんですか?」
『君には、監視小隊「ベーター」を率いてほしいんだが。もちろん、君を含めたクラスメートも優遇するよ。』
ルナが、さらに激しくOKサインを出す。
「わかりました」
『ありがたいよ。明日にでも、概要をメールするよ。じゃあ、ルナさんと話を続けてて。じゃあね。』
「え!?ちょっと!」
会長との接続が切れた。
「なんで!?なんで、しってるの!?」
「多分、位置情報を送ってるんじゃないの?この、通信機。」
ルナは、俺から通信機をひょいっと取り上げてデーターパネルと無線接続する。
「ほら!ここの、コードに位置情報の送信してるでしょ?削除するね。」
「いいのかよ?削除して。ていうか、プログラミングに詳しいのか?」
「ちょっとね。後、明日からレンには、英語、中国語、アラビア語とプログラミング言語と戦闘の勉強してもらうよ。」
外国語とプログラムに戦闘だと!?過労死させる気か(ここから未完
すげぇ…
読んだのか