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練習とか言ってみる

サムライは三人称、地の文のみで2000字程度の文章を書いて下さい。

作者: サムライ

サムライは三人称、地の文のみで2000字程度の文章を書いて下さい。 http://shindanmaker.com/324672

サムライの今日のお題は『無作為』『変態』『ミカン』です。 http://shindanmaker.com/14509


診断メーカーで書けと言われたので書いてみた。

後悔しかしていない。

 少女は路地裏を走っていた。走り続けてもう五分以上は経っているだろう。それでも後ろから追ってくる影は、全くと言っていいほど距離が離れない。少女は中学校高校と陸上部に所属しているので足には自信があったのだが、相手もかなりの俊足を持っているようだった。

 もはや声を出す事すらかなわない。発声などせずに、その分の酸素を足を動かすことに使わないと簡単に追いつかれそうだった。







 はぁはぁ、と呼吸を荒らげ、少女は路地の塀に手をついて休んでいた。あまりに最大まで酷使した身体全体が酸素を欲し、まともに声を出せる状態ではなかった。

 なんとか相手は撒いたらしいが、まだ油断は禁物だ。最初に会敵したときも、相手は突然現れたのだ。もしかすると今もまた目の前に出てくるかもしれない。

それにしても、どうして相手は自分を追ってくるのか。もし追いつかれてしまった場合はどうなってしまうのか。嫌な想像ならいくらでもできる。だが、いくら考えても本当の答えは出ない。今の自分にできるのは、全速力で家に帰ることだけだった。

自宅までは、道のりに換算して残り約五百メートル。全力で走ると二分はかからないはずだ。注意すべきは曲がり角はいくつかあることで、ここで奴と接触する可能性が高い。

 それでも、行かなければならない。

 角から顔だけ出して、左右を確認する。ついでにカーブミラーも一瞥して、近くに奴がいないことを確実に確かめた。

 そして、走り出す。ダンッ、と足の裏がしっかりとアスファルトを蹴り上げ、力強くスタートダッシュが決まった。

 先ほどまでの息切れをも感じさせない、今までにないほど足が軽い。この状態なら、自己ベストを更新できるような気さえした。これなら、奴に見つかることなく家の中に飛び込むことができるかもしれない。

 一つ目の角を曲がる。もちろんカーブミラーの確認は忘れず、前方と後方の安全確認も確実に行った。やはり奴はいない。もうあきらめて、遠くに行ったのだろうか。それならそれで安心して走ることができる。万が一に備えて、走りに手を抜くということはしないが。

 二つ目の曲がり角、そこをドリフトの要領でスピードを落とさずに曲がりきる。乾いた路面は摩擦力が強くしっかりと地面を捉えることができ、競技場のトラックほどではないにしても理想的な走りが可能だった。

 この道を走り抜ければ、家はもうすぐである。家の通りには、球が切れかかってバチバチと点滅しているいる街灯があり、その隣が彼女の家だった。

 ラストスパートをかける。最後の力を全て足と腕に込め、明かりが灯っている家の玄関を目指して一直線に駆けて行った。







 ようやく、家の前まで到達した。普段通り慣れているはずの道のりがこれほど遠いものに感じられたのは今日が初めてだろう。というか、もう二度と同じ経験はしたくない。

 そして家の敷地内に入ろうとしたところで、その気配に気づいた。気づかなければよかったのかもしれない。素知らぬふりをしてさっさと自宅に入ってしまえばどれほどよかったことか。しかし、後悔してももう遅い。気づいてしまったのだ。




 ――奴が、すぐ隣にいることに。




 一見すると、顔は普通の男性だった。歳は三十代後半から四十代前半といったところだろうか。至って普通の中年男性で、あごにはジョリジョリしそうな髭が生えていた。所々白くなっている髪は、あまり手入れをしていなさそうなことが見て取れた。

 問題は、彼の格好だった。今はまだ、四月の後半である。最近少し暖かくなってきたという感じだが、夜はまだ結構冷え込むことが多く、薄着では少々肌寒く感じる。だが、彼は薄着だった。いや、薄着とも言えないかもしれない。

 そう、彼は黒いマント一枚を身にまとった状態で立っていたのだ。

 マントが体全体を覆っているので中はわからないが、この季節にそんな恰好など、情人であれば風邪をひいてしまうだろう。

 このまま、家に駆けこめばまだ彼女はどうとでもなったかもしれない。だが、固まってしまって動けなかった。そして彼女は見た

ニタァ、と男性は気味の悪い笑みを浮かべたことに。

 叫ぼうとするが、すでにその悲鳴は声になっていなかった。

 男性は、ついにマントの両端を持ったまま腕をいっぱいに広げる。彼女が覚えているのはそこまでだった。







 翌朝、彼女が目を覚ましたのは自室のベッドの上だった。今日は土曜日、学校は休みだが両親は仕事に出ていて家にいるのは自分一人だった。

 朝食を食べようとリビングに向かい、そこでテーブルの上に置かれていた新聞を何気なく手に取る。そしてパラパラと何枚かめくっているうちに、とある記事が目に付いた。

 『住宅街で公然わいせつ 四十代男性を逮捕』

 記事によると、男性は住宅街をマント一枚で徘徊していたという。そして、若い女性を見かけるたびにマントを広げ、己の裸体を見せつけていたそうだ。そしてなんと驚くべきことに、男は股間にミカンを突き刺していたとのことだった。

 ターゲットは無作為に選んでいたとのことで、特に誰にも実害もなかったようだが、日本の女性人口が六千万人ということを考えると、どれだけ低い確率で自分が狙われたのだろうか。少女はそっと新聞を閉じた。


何やってんだ……。

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