おおきい石とちいさな石
ころ ころ ころり ちいさな石
ゴト ゴト ゴトリ おおきい石
ながい ながいあいだ おとなりどうし
いっしょに おはなしをしたり おひるねしたり もりのどうぶつたちの おはなしをきいたりして すごしていました
あるひ ニンゲンが やってきました
ニンゲンは おもしろいおはなしを たくさんしっていて「まちには めずらしいものも いっぱいあるよ」といって かえっていきました
つぎのひ また ニンゲンが やってきて「どうぶつたちが いなくなってしまったから いっしょに まちへ さがしにゆこう」と いいました
でも おおきい石は おもいので つれていけない といいます
ちいさな石は まちの めずらしいものがみたくて ころ ころ ころりと ニンゲンに ついていってしまいました
おおきい石は のこされて ひとりぼっちに なったのでした
そんな ひとりぼっちの おおきい石のところに まちのカラスが とんできて いいました
キラキラひかる ちいさな石は もう かえって これないだろう
どうぶつたちも つかまって もうここへは かえってこれない カー
おそらを くるくる まわりながら そういいました
それをきいた おおきい石は とても怖くなりました
これから ずっと ひとりぼっちは とてもとても寂しいと おもったのでした
ゴト ゴト ゴトリ
おおきい石は がんばって ころがります
ゴト ゴト ゴトリ
ニンゲンが やってきたみちまで あとすこし
ゴト ゴト ゴロリ
そこは まっすぐな さかみち でした
ゴロ ゴロ ゴロリ
おおきい石は さかみちをころがります
ゴン ゴロ ゴロリ
それはもう すごいはやさです
ゴン ゴン ゴロリン
さかみちからとびだして ニンゲンとぶつかっても とまりません
ゴガキーーーーーーーーーーン
すごいおとをたてて おおきい石は バラバラです
おおきい石は まちのかべに げきとつしてしまいました
とおくまでとどく おおきなおとをきいて たくさんのヒトが まちからやってきました
バラバラになった おおきい石をみて びっくりしています
まちのオバサンが 小さくなった おおきい石に 「どうしたの?」ときいています
まちのオジサンが 小さくなった おおきい石に 「だいじょうぶか?」ときいています
小さくなった おおきい石は バラバラのかけらぜんぶで ちいさな石と どうぶつたちが つかまったことを まちのヒトたちに はなしました
おおきい石に ふきとばされた ニンゲンは ちいさな石や どうぶつを ひとりじめするのは わるいことだと すぐに つかまえられて いきました
バラバラになった おおきい石と めをまわしていた ちいさな石は まちのヒトたちが みんなでひろいあつめて お城の王サマのところへ つれていってくれました
みんなの はなしをきいた 王サマは「まちで みなといっしょに くらすとよい」といって
なんと きれいな びじゅつひんを たくさんかざった おやしきを まちにたてて おまつりを してくれたのでした
それからというもの おまつりは まいとし つづけられ
きれいな かざりをつけられた ちいさな石は お城のお姫サマと とても なかよくなり
小さくなった おおきい石は かけらもぜんぶ きれいに みがかれて おまもりとして お城の騎士サマや まちのヒトたちに とても たいせつにされました
それは ながい ながいあいだ たくさんのヒトたちに かこまれて まちで しあわせに すごしたそうです
おしまい