五、守りたい
月が沈んで太陽が昇る。また同じ朝がきた。今日も俺は勉強三昧の1日だ…
イージーファイアーを使いこなすために朝早くから練習を始めた。
蓮「火の魂よ、我が手に集え、イージーファイアー!!」
…だがやはりそんな簡単なものではない。なんで魂は俺の手には来てくれないんだ…。
俺と少し離れたところで、ユリアは心配そうな眼差しで俺の方をジッとみている。
結局その日も出来ず終いで、1日が終わってしまい、勉強を続けていたら数日が経過していた。時間は容赦なく過ぎていく。時間だけ止める魔法とかがあればいいのに…
蓮「火の魂よ、我が手に集え、イージーファイアー!!」
数日経っても成果は見られない。やっぱり俺には魔法なんて無理なんだ。使いこなせなんかしない…。
長老「ふーむ…どうしたものか…。」
ユリア「蓮…あきらめないで…。あきらめたらそこでおしまい。もう少しだけ頑張りましょ?」
ユリアは俺の腕を触りながら優しく微笑んで言う。でも……
蓮「頑張る…?俺は十分頑張ってんだろ!?朝早くから勉強三昧、昼からは魔法練習…深夜までずっと声枯れてもやり続けている!これ以上何を頑張れっていうんだ!?やっぱり俺には無理なんだ。魔力なんて存在しないんだよ」
俺は気が付いたら…その言葉をユリアに向けて発していた。最低だ。一番応援してくれたのはユリア…一番信用してくれたのも…心配してくれたのもユリアなのに俺はユリアを傷つけてしまった………。
ユリアは悲しそうな顔をして、俺の目をジッと見る…。そんな目で俺を見るな…
その場にいるのが辛くて、俺は長老の家に戻り、布団をかぶって数年ぶりに涙を流した…。悔しくて…みじめで…ユリアに八つ当たりしてしまった自分に腹を立てて…俺は涙が止まらなかった。
もうわからない………。どうすれば魔法が習得できる?俺は…ユリアを守れるように魔法を習得したいんだ…!
"ユリアを守りたい"
この気持ちは嘘でもなんでもない。…ん?なんか手が熱い…。
蓮「なんだ…?……もしかして………」
俺は夢中で外にでた。今ならできる気がした…。ようやくわかったんだ。魔法を使うために必要なのは…呪文や信用なんかじゃない。"守りたい"って気持ちなんだ。
蓮「火の魂よ、我が手に集え、イージーファイアー!!」
もうおなじみの呪文を力一杯、大地に広がるように叫んだ。すると…俺の手だけが少しずつ体温上昇し、火の粉が集まりだした。おい!熱くないって言ったの誰だよ!?すっげぇ手が熱いんだけど!
熱いけどすごい…イージーファイアーだから小さな炎だけど…俺の手のひらに火の粉が集まって小さな火の固まりができた。
蓮「俺にもできた…。できたんだぁぁっ!!!」
嬉しかった。今までの何より努力した分、この小さな成長が何よりも嬉しかった。
ユリア「よかったですね!蓮。」
蓮「あぁ!ずっと応援してくれてありがとうユリア!!」
ユリア「ふふ…いえいえ」
長老「こらこら、まだ初級魔法をクリアしただけじゃ。まだまだこれからだぞ?まぁイージーファイアーを習得したことで他の魔法もすぐに使いこなせるようになるだろう。ある程度まで魔法が使えるとお前さんにも、ユリアを守る力がつく。魔法だけじゃなく魔物に関する勉強も、これからしばらく続くが…頑張れるか?」
蓮「もちろん!」
絶対に諦めたりしない。俺にも魔法が使えるってわかったんだ。コツもつかんだ…いける気がする…!
俺は顔を上げて、どこまでも限りなく広がる青空を見た。
空の上で…親父と母さんが…俺を応援してくれているように見えた気がした。。
きっと…両親が生きていて俺がこんな状態になったら…
親父は「俺の子なんだから出来るはずだ!」
母さんなら「無理や怪我をしないように頑張ってね」
うん。絶対こういう言葉を俺に何度も繰り返し伝えるだろう。
せめて5つ…。うん、5つの魔法を習得しよう。イージーファイアーのランク上のハードファイアー…使えるかな…。
もしかしたら出来るんじゃね!?やってみる価値ありだよな!
そう思って俺はまた腕を構えた。
蓮「火の魂よ、我が手に集え、ハードファイアー!!」
すると……
さっきよりたくさんの火の粉が俺の手に集まり、イージーファイアーの5倍ほどある大きな炎が完成した。
不思議と、イージーファイアーの時より熱さは感じなかった……。まさか本当にできるなんて…
長老「こりゃ驚いた…。通常なら最低2週間はかかる魔法なのだが…どうやらお前さんには相当大きな魔力が存在するようじゃな。」
長老はびっくりしても、冷静な態度だった。
ちょっと日があいてしまいましたorz更新頻度バラバラですみません。
誤字、脱字等ありましたらご指摘ください




