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文明崩壊、3000年後  作者: うなぎ
神奈川王国編
7/12

第7話 再演都市

地上に出た瞬間、空気が変わった。

 夜明け前の遺都、東京。

 崩れた高層群、止まったままの高速道路、風に揺れる看板。

「……最悪の場所だな」

 俺が呟くと、トウマは即答した。

「神奈川の土俵だ」

 港、物流、情報。

 人も物も能力も――集まる場所。

 そして。

「ようこそ、都市戦へ」

 ビルの上から、神奈川刺客長の声。

 次の瞬間。

 街が、動いた。

「――は?」

 道路が隆起し、ビルの壁が“畳まれる”。

 重力が、歪む。

「都市構造操作……?」

「違うよ」

 刺客長は、笑った。

「再演だ。

 これは昔、神奈川が“防衛実験”で使った能力群」

 ぞっとする。

 過去に存在した、だが今は失われた能力。

 それを――まとめて再生している。

 ビルの影から、光。

「ミコト!」

 トウマが叫ぶ。

 次の瞬間、レーザーが街路を薙いだ。

「横浜市・光子圧縮……!」

 炎で防ぐ。

 だが、貫通する。

「ちっ……!」

 俺は炎を“曲げる”。

 直線を嫌うように、渦にする。

 光が逸れ、背後のビルが消し飛ぶ。

「再演のくせに……威力が高すぎる!」

「当然だろ?」

 刺客長が空中に立つ。

 足元には、見えない足場。

「再演は“一度きり”じゃない。

 都市という記録媒体がある限り、無限だ」

 次。

 空気が、重くなる。

「……重力操作?」

 身体が沈む。

 骨が軋む。

「川崎市。重圧領域」

 トウマが膝をつく。

「ミコト……未来が、見えにくい……!」

 雷が、散る。

 結果切断が、乱れる。

 重力は、“結果”そのものを歪める。

「くそ……!」

 俺は歯を食いしばる。

 ここで上限を解放すれば、

 街が――いや、東京帝国が崩れる。

「……使えない」

 その一瞬の迷いを、神奈川は逃さない。

 能力奪取。

「――ッ!?」

 炎が、消えた。

 いや、持っていかれた。

「横須賀市。能力転写」

 刺客長の手に、俺の炎が灯る。

「お前……!」

「大丈夫、完全には使えない」

 だが――

 十分だ。

 俺の炎が、俺に向かって放たれる。

 トウマが、前に出た。

「やめろ!」

 雷が走る。

 だが刺客長は、もう一人のトウマを再演する。

 雷と雷が、ぶつかる。

 世界が、白く飛ぶ。

 瓦礫の中。

 俺は、息を吐いた。

 ……なるほど。

「なあ、トウマ」

「なんだ……」

「神奈川の再演、万能じゃない」

「……?」

「同時には使えない」

 能力が切り替わる瞬間。

 必ず、わずかな“間”がある。

「都市は記録媒体だ。

 でも――演算は、刺客長一人だ」

 俺は、立ち上がる。

 炎は、まだ戻らない。

「だったら――」

 拳を、握る。

「思考が追いつかない速度で、殴ればいい」

 走る。

 重力が戻る前。

 光が再生される前。

 純粋な肉体速度。

 刺客長の目が、初めて追いつかない。

「――っ!」

 拳が、腹に入る。

 次。

 肘。

 膝。

 再演が、間に合わない。

 だが――

 刺客長は、笑った。

「いい……本当にいい……!」

 血を吐きながら、叫ぶ。

「でもね、これで終わりじゃない」

 街全体が、震える。

「次は――国そのものを再演する」

 嫌な予感が、背筋を駆け上がる。

 これは、まだ中盤だ。

 神奈川王国は、

 都市を武器にしてくる。

 そして俺たちは、

 そのど真ん中に立っていた。

45国というのは、北海道、沖縄を抜いた現代の都道府県です。

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