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文明崩壊、3000年後  作者: うなぎ
神奈川王国編
4/12

第4話 45の刃

地下へ落ちていく最中、俺は確信していた。

 ――逃げ切れるはずがない。

 国家は、俺とトウマを“危険物”と判断した。

 なら次に来るのは一つだ。

 刺客。

 着地と同時に、炎で衝撃を殺す。

 ここは旧中枢層。地図から消された東京帝国の腹の中だ。

「来るぞ」

 トウマが言った瞬間、空気が変わった。

 ――殺気が、多すぎる。

 前、右、上。

 同時。

「チッ……」

 俺は即座に活性。

 上限なき炎が、体内で静かに吼える。

 最初に飛び込んできたのは、長槍。

 穂先が青白く光る。

「福島王国か……放射系だな」

 直感で分かる。

 能力者の質が違う。代表戦の選手とは“別枠”だ。

「トウマ!」

「分かってる!」

 雷鳴。

 トウマが一歩踏み込んだ瞬間、世界が飛んだ。

 槍使いの未来が、途中で切れる。

 結果だけが地面に落ちた。

 遅れて、肉体が崩れる。

「……一人目」

 だが終わりじゃない。

 天井から降ってきた影。

 糸――いや、鋼線。

「愛知王国。工業系かよ」

 炎で焼こうとした瞬間、熱が逃げる。

 耐熱加工済み。厄介だ。

 左腕に切創。

 血が出る。

「舐めるな」

 上限を外す。

 炎が“温度”という概念を捨てる。

 存在を燃やす炎。

 鋼線ごと、空間が歪んで消えた。

 刺客は声もなく蒸発する。

 だが――

「三人目、来るぞ!」

 トウマの声と同時に、地面が隆起した。

「新潟王国……地質操作!」

 避ける暇はない。

 俺は前に出た。

「活性・過燃」

 踏み込み、拳を叩き込む。

 地面ごと、炎で砕く。

 だがその瞬間――

 背後。

 雷が弾ける。

 トウマが、俺の“死ぬ未来”を斬った。

「遅い!」

 見えなかった。

 透明化――いや、認識阻害。

「京都王国だ!」

 トウマが叫ぶ。

 剣が、走る雷になる。

 未来が断たれ、刺客が姿を現す。

 俺は迷わなかった。

「燃えろ」

 京都王国の刺客は、静かに灰になった。

 息を整える暇はない。

 四方から、さらに殺気。

「……何人いる」

「最低でも――」

 トウマが言い切る前に、スピーカーが鳴った。

『確認。

 東京帝国反逆個体2。

 対処のため、四十五国連合刺客網を起動』

 ぞっとする言葉。

「全員、来る気かよ」

 俺は、笑った。

「上等だ」

 炎が、地下を照らす。

 天井が軋み、壁が溶ける。

「トウマ」

「なんだ」

「俺が前に出る。お前は――」

「結果を斬る」

 短い。だが十分だ。

 俺たちは背中を合わせる。

 次に現れた刺客は、四人。

 能力も、国も、全部違う。

 これが、この世界だ。

 国家は国民を守らない。

 国民を、武器として使う。

 俺は、理解した。

 四十五国すべてが敵でもいい。

 その先に、黒い導師がいるなら。

 炎が、さらに深く燃えた。

「来いよ」

 雷が、応える。

「全部――切ってやる」

 地下で、殺し合いが始まった。

 それはもう、代表戦でも娯楽でもない。

 反乱の、始まりだった。

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