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文明崩壊、3000年後  作者: うなぎ
神奈川王国編
1/12

第1話 炎と剣

夜明け前の遺都、東京帝国。

上層部の娯楽として楽しまれていたのは━━━━

殺し合いだ。

この世界には45の国がある。

今日は国を代表して戦いが起こる日。

今回の相手は千葉王国。

俺、カグラミコトは後衛として配置された。

正直、剣などを使うやつは馬鹿だと思う。荷物になるだけだ。


『勝負開始!』


合図と共に、全員が走り始める。

10人ほどのチームだが、それほど仲はいいわけじゃない。

俺の能力は炎。

炎を自在に操ることが出来る。

「活性」

「おい待て!」

制止の声を振り切り、炎の能力を使いジェットのように駆けだす。協力する必要なんてない。俺一人でいい。

その速度は時速100kmを超える。

会場の中央まで来たところで、人影が見えた。

「剣士……?」

降りて見てみると、鞘を腰に下げた黒髪の剣士がいた。

「剣を使うバカに俺が負けるわけないだろう!」

炎で急接近。腹に蹴りが入った。

ヒットアンドアウェイ、一旦引こう。

「陽炎」

魂を肉体から剥がし、肉体を炎の力で形を保つ。その後、魂に肉体をつけて瞬間移動したように見せる技だ。

このままいけばこの剣士には勝てる。


「活性」


腹から血が吹き出す。

斬られた?何も動いてなかっただろ!?

まずい、剣士に殺される。こんなところで……!

「お前、何を目的に戦っている?」

剣士がそう言う。

「何って……それ以外に職がないからだろ……」

「そうだ。それ以外の職業は全て貴族がやっている。でもおかしくないか?なぜ我々下級国民に殺し合いという仕事をやらせていると思う?」

「それは……娯楽のためだろう。」

「それ以外の目的もあると思わないか?」

「……なんでそれを俺に聞く?」

「お前とならこの世界の謎を解き明かせると思ったからだ。」

……

「俺に勝ったら協力してやるよ!」


時速100kmを超える蹴りを剣士に入れる。

「防がれた!?」

あり得ない。

 この速度、この威力――生身で受け止められるはずがない。

 だが、剣士は動かなかった。

 腰の剣を抜きもせず、ただ片腕で受け止めている。

 いや、違う。

 受け止めた“ように見えた”だけだ。

 次の瞬間、俺の視界が横にずれた。

 地面が近い。視界が回転する。

 ――吹き飛ばされた。

 背中から地面に叩きつけられ、肺の空気が一気に抜ける。

 炎で衝撃を逃がしたはずなのに、骨が軋んだ。

「剣士を……舐めすぎだ」

 いつの間にか、剣士は剣を抜いていた。

 黒い刃。光を反射しない。まるで影そのものだ。

「今のは、防いだんじゃない。斬った」

「……は?」

 剣士は静かに言う。

「お前の“未来”をな」

 意味が分からない。

 だが、腹の傷がそれを否定しなかった。

 俺は歯を食いしばり、立ち上がる。

 血が滴り落ち、地面で蒸発する。

「未来を斬る?……冗談だろ」

「冗談ならよかった」

 剣士は一歩、前に出た。

 その瞬間、空気が変わる。

 ――危険。

 反射で能力を解放する。

「活性・過燃『オーバーヒート』!」

 体内の炎が爆発的に増幅される。

 皮膚の下を火が走り、視界が赤く染まる。

 次の瞬間、俺は消えた。

 否、突っ込んだ。

 直線。

 真正面から。

 逃げも小細工もなし。

 拳に炎を凝縮する。

「焔砕!」

 交差点が吹き飛ぶ。

 地面が抉れ、衝撃波が観客席まで届いた。

 ――当たった。

 確信した。

 だが。

「……浅い」

 煙の中から、声がした。

 剣士は立っていた。

 外套が焦げ、肩口が焼け落ちている。だが、それだけだ。

「な……っ」

「お前の炎は強い。だが、速さに頼りすぎている」

 剣士は剣を構えた。

 その構えは、不自然だった。

 剣先が――俺ではなく、空間を向いている。

「剣はな。物を斬る武器じゃない」

 一閃。

 音が遅れてきた。

 世界が、ずれた。

 気づいた時には、俺の右腕が宙を舞っていた。

 遅れて、痛みが爆発する。

「――ッ!!」

 だが、叫ぶ暇はない。

「再生・炎!」

 断面を炎で焼き固め、無理やり形を作る。

 腕が“戻る”。だが、感覚は鈍い。

 ――こいつ、危険すぎる。

「それでも立つか」

「……当たり前だ」

 息が荒い。

 内臓が焼ける感覚がする。使いすぎだ。

「約束だ。俺が勝ったら――」

「分かっている」

 剣士は、わずかに笑った。

「だから、次で終わらせる」

 剣士の姿が、ぶれた。

 いや、違う。

 時間が、歪んだ。

 俺は理解した。

 こいつの能力は――

「時間干渉型……!?」

「正確には、“結果固定”だ」

 剣士の声が、遠く聞こえる。

「俺が斬った未来は、必ず起こる」

 つまり――

 避けても、無駄。

 俺は、笑った。

「……最高じゃねえか」

 炎を、すべて解放する。

「だったら俺は――」

 世界が赤く染まる。

「未来ごと燃やすだけだ!!」

 次の瞬間、遺都東京帝国の闘技場は、

 夜明け前だというのに――太陽が昇ったかのように輝いた。

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