表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ 兄妹の邂逅

傍点がカクヨム準拠になってます。

 彼は、夜の住宅街を歩いていた。

 

 理由は単純。夕食後に勉強をしていたらシャー芯が切れてしまったからだ。もう高校2年生なので、勉強はしっかり取り組まなければ。特に塾にも行っていないのでなおさらだ。


 冬の冷たい空気が、彼の頬を撫でた。

 行き先は近くのコンビニということで、あまり厚着はしてこなかったのだが、やはり寒い。だが、我慢できないほどではない。


「夜にひとりで出歩くなんて、いつぶりだろうな」


 彼は小声で呟いた。

 誰かと遊ぶときはいつも早めに解散するので、遅くても7時くらいには帰宅しているのだ。それに遅くなるのは、だいたい妹に連れ回された日だ。だから、1人なのは珍しかった。


 ふと、何かの気配がした。それも、とても不気味な。


 気になって前方へ目をやった彼は、何かが動いているのを見た。……明らかに人影ではない。それよりもずっと小さいものだ。


 どうにも興味が湧いてしまい、彼は怯えつつもその影に近づいていった。


 よく見れば、それは1つだけではなかった。5つくらいだろうか。


 ──そこで彼は、ありえないものを見た。


「…………っ!?」


 ウサギのぬいぐるみが、ひとりでに動いていたのだ。複数いる中で、それぞれが違う動きをしている。


「いや、なんだよコイツら……完全にホラーじゃねぇかよ……」

 

 彼はそうおどけて言いつつも、内心ではかなりの恐怖を覚えていた。早くこの場から立ち去りたかったが、どうしても《《それ》》から目を離せなかった。


 ……どうしよう、危害でも加えてきたら為す術も何もない。死ぬのか俺!?

 と、そんなことを思っていた時。


 ぬいぐるみたちをめがけて、空から人間が降ってきた。……人間、というか女の子だ。


「……っと!」


 少女は華麗に着地した。カツン、と靴の音が響く。ひらひらした黄色のスカートがふわりと揺れた。


 彼は、その様子を見て絶句していた。しかしそれは、少女も同様だった。


「……お、お前……!」


 彼が言うと、少女は引き攣った笑みを浮かべながら、震えた声で返した。


「ににに兄さん……!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ