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ミッドランドの物語のひとつ。
深緑に染まるシラトネー山の頂上に古代の人々が造った石舞台上で、7人の聖女は集まっていた。
周りには、彼女たちのユニコーンが控えている。
ミリンダル、ラファンタ、ペプシア、セブンナ、エネーポン、スコールオ、ネクターシャ。
美しい7聖女は互いの顔を見て、屈託のない笑みをこぼした。
ひとしきり再会を楽しんだ後、ネクターシャが「敵の強力な攻撃が迫っているわ」と、表情を引き締めた。
6人の姉妹が頷く。
聖女たちの視線がシラトネー山と並ぶ高さの、正面の山に向いた。
黒雲が頂点を覆い、雷光が走っている。
次第に暗雲は広がり、とてつもない大きさとなった。
その中から、漆黒の闇が開く。
「来た!」
ミリンダルが声をあげた。
現れた闇は、産みの親である暗雲をすっぽりと呑み込み、巨大な人の形を成した。
顔にあたる部分に、両眼と口のような穴が空く。
闇の巨人が、ニーッと笑った。
「あれを放っておけば、この世界に甚大な災いを及ぼすわね」とラファンタ。
「よし! 片付けてやる!」
ペプシアが銀の槍を構えた。
「私も」
セブンナも、銀のロングソードを抜く。
「待って!」
エネーポンが2人を止めた。
彼女の瞳が、キラリと光る。
「あの怪物の本体は、ここにはないわ」
「確かに」
ネクターシャが頷く。
「2つ…いえ、3つ。他の次元に悪の源を隠している」
「どうする?」
スコールオが訊いた。
「分かれて破壊しましょう」
ネクターシャが姉妹たちを見つめる。