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スキル《絶対殺すマン》持ちの俺は、死ねない少女と旅をする  作者: 日並うたたね


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18/31

第18話 スピカの切り札

スピカ「セイントフィールド!」


スピカが高らかに叫んだ。


白く眩い光がウィルを中心に広範囲へと広がってゆく。

そして、光に包まれたその場所には____


シーン......


ひと時の静寂が訪れた。


ゾーイ「な......なんだと? 紋章と結界が.......消滅している!」


辺りを見回すゾーイは驚愕した。

光に包まれている範囲の紋章と結界が、完全に姿を消している。


(聞いたことがある.......己のマナと引き換えに、全ての魔術の効果を消し去る魔法......我々魔族に対抗するために人間どもが生み出した______最後の切り札)


ゾーイはスピカを見て歯ぎしりをする。


ゾーイ「やって.......クレルジャアナイデスカ.......!」


だが、冷静さを失ったことに気が付くと、自分を落ち着かせるように一瞬目を閉じた。

そして、ある重要な記憶を呼び覚ます。


ゾーイ「ソウカそうか......取り乱す必要などなにもない。なぜなら.......この光は間もなく消滅する! そうなったあとで.......ゆっくりと止めを刺せばいいんです。ねえ!? ウィル......」


目を開くと、既にそこにはウィルの姿はなかった。

目を離したのは___

瞑った一瞬のみ。


ゾーイ「な......一体どこへ!?」


慌てて辺りを見渡すゾーイ。

だが_______


ウィル「アウルスガーレ.......」


ゾーイのすぐ後ろから聞こえたのは、呪文の名を呼ぶウィルの声。

そして____

ナイフを纏う風のうなり声だった。


ズバァァァァァァアア!!!


振り下ろした風の刃は、再びゾーイの肉体を切り裂いた。


ゾーイ「グァァァァァアア!!!!」


洞窟内に響き渡る叫び声。

大量の血しぶきとともに________

ゾーイはその場に崩れ落ちた。


息を切らし、片膝をつきながらウィルはその様子を見つめていた。


ウィル「やった......やったぞ......」 


ウィルの勝利を確信し、スピカもそっと胸をなでおろす。


スピカ「......やりました! カーティスさん.......ウィルさんがやってくれましたよ!!」


興奮気味に語り掛けるスピカ。

だが、カーティスはジッとゾーイを見つめている。

ふたりのもとへと駆け出したウィルがゾーイを横切ろうとしたその時______

カーティスがいち早く異変に気付いた。


カーティス「ウィル! まだだ!」


その声と同時にウィルは後ろを振り向く。

すると___


グサァァァ......!


肩に何かが突き刺さり、遥か後方まで吹き飛ばされた。


ウィル「うぁぁぁぁぁ!」


スピカ「ウィルさん!」


慌ててスピカがウィルの元へ駆け寄る。


スピカ「ウィルさん! 大丈夫ですか!? ウィルさん!」


ウィル「ああ.......当たったのは左肩だ。大丈夫........心配いらない」


ウィルは自分が先ほどまで居た場所を注視する。

そこには______

禍々しい殺気をまき散らしながらその場に立つ、ゾーイの姿があった。

その足元には........折れた杖の一部が転がっている。


ウィル「あの野郎.......杖で防いでやがったのか......!」


ゾーイ「ユルサナイ......」

「ゼッタイニユルサンゾォォ!! コノムシケラドモガァァァァァ!!!!」


けたたましい叫び声と共に、ゾーイの目の前に黒い球体が出現する。

それは、壁に触れそうなほど巨大な球体。


ゴゴゴゴォォォォォオオ!!


そのあまりにも強大な力に、洞窟全体が悲鳴を上げる。


ゾーイ「マトメテケシテヤルゥゥゥゥ!! カタチモノコラナイトオモエェェェェ!!」


球体が勢いよく押し出されると、それは辺りにある小石を巻き込みながら徐々に3人と元へと迫っていった。


ウィル「なんだよ.......あれ」


(......やべぇ......すぐに逃げねぇと......)


ウィルは隣にいるスピカに視線を向ける。


(この怪我じゃあスピカを抱えては逃げられない。それに___こいつは不死身なんだ。例えあれに巻き込まれたとしてもきっとだいじょ........)


ギュッ


スピカがウィルの腕を掴んだ。

その手は......震えている。


(違うだろ! そういう問題じゃあないんだ.......この子を置いて逃げるなんて......絶対にやっちゃいけないんだ......! だって____)


ウィルは前方を睨みつけた。


ウィル「スピカ......俺の後ろに」


迫りくる巨大な球体は、空気を震わせながら近づいてくる。

それは、既に目の前まで迫ってきていた。


(多分......俺はここで死ぬ。だったらせめて........)


ウィル「初めてできた俺の仲間........スピカ。俺は、絶対に君を守るよ。」


ウィルは立ち上がり、前へと歩いてゆく。


スピカ「ダメ.......ダメですよぉぉ!! ウィルさぁぁぁん!!!」


手を伸ばし、泣き叫ぶスピカ。


(スピカ.......短い間だったけど......本当に楽しかったよ。笑ったり怒ったり.......コロコロ変わる君の表情を見てると、自然とこっちが笑顔になれた。ありがとう_______俺にとって君は......最高の仲間だったよ)


ウィルは立ち止まると、一度だけ両頬を叩いた。


(こういうのはあんまり好きじゃないんだけどな.......でも___結局、最後は根性だろ! この身体で......受け止めてやらぁ!!)


ウィル「さぁ.......こぉぉぉぉいぃぃ!!!」


目の前に迫る黒い球体がウィルの身体を吞み込もうとした.........

その時___


?「ホント、男ってバカばっかりね~」


ウィルの耳元で、誰かがそう囁いた。


(誰だ.......それにこの匂い.......澄んだ水の........香り.......)


そして、次の瞬間________


ドプン...........


静けさを纏う水のヴェールが、巨大な黒い球体を包み込んだ。



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