表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/31

第15話 天使の翼

ゾーイ「妙ですね......」


戦況は圧倒的に優位。

にも拘わらず、ゾーイはこの状況に違和感を覚えていた。


(ワタシの放った球体......思ったよりも数が増えていない。これは一体どういうことでしょう)


ゾーイはウィルの後方にいるふたりを見つめた。


ゾーイ「彼女は......違いますね。そんな素振りは見せていない」

「ということは......」


その視線は、カーティスへと移される。


ゾーイ「彼......ですね。本を開いているということは、杖ではなく"あれ"を媒体にしてワタシの魔術を相殺しているというわけですか」

「どういう魔法かは知りませんが......なかなか頑張りますね」

「ですが......」


ゾーイはカーティスの表情を確認すると、思わず笑みをこぼした。


ゾーイ「あんなに必死な顔をして......どうやら、全く余裕などないようですね」

「想定よりは遅いですが、球体は数を増している。まあ......所詮無駄なあがきです」


余裕の表情を浮かべるゾーイとは対照的に、ウィルは神経を研ぎ澄ませる。

"その瞬間"を決して見逃さないように。


カーティス「いいですかスピカ。 私が合図したら、ウィルに"あの魔法"をかけてください」

「一瞬の遅れが致命的になります......集中してくださいね」


スピカ「わかりました!」


スピカは、杖を構えた。

カーティスの合図に即座に反応できるように。


ウィルの前方では、黒い球体が更に数を増してゆく。

だが、そこに焦りは一切ない。


(あっちのも、こっちのも.......あそこのも消えた。多分.......あと少しで)


球体自体は減っている数よりも、増えている数の方が多い。

だが、直線上にいるゾーイの姿がウィルの目にハッキリと映る機会が増えてゆく。

それは、意図的に狙いをつけて球体を消していたカーティスの思惑によるものだった。


(よし、あとはあれだ。あれさえ消えれば.......)


結界内で無差別に反射を繰り返す黒い球体。

だが、そんな混沌とした状況の中_______


ウィルからゾーイまでの間に一直線上の道ができる。

阻む球体は___

ひとつのみ。


カーティス「スピカ!」


カーティスの叫び声とともに、ウィルの視界を阻んでいた最後の球体が消滅した。


スピカ「エンジェルウィング!!」


呪文を唱えると、ウィルの背中が白く輝いた。

その光は、大きな天使の翼へと姿を変える。


ビュゥゥゥゥン!!


開けた視界。

人ひとりが通れるギリギリの隙間を縫って、ウィルはゾーイの元へと一直線に飛んで行く。

あっという間に球体を置き去りにすると_______


「アウルスガーレ!」


持っているナイフに風の刃を纏わせた。


ウィル「終わりだ!!」


ゾーイ目掛けてナイフを振り抜こうとしたその時________


ヴヴヴゥゥゥゥゥンン.......


ウィルの目の前に大きな黒い球体が出現する。


ゾーイ「よくここまで来れましたね。褒めてあげます」

「ですが......攻撃する権利を与えるとは言いましたが......反撃しないとは言ってませんよぉ?」


ウィルは既に攻撃態勢に入っている。

もう______止まることはできない。


ゾーイ「さようなら」


ウィル「く......くそぉぉぉぉ!!!」


ウィルの死を確信し、悦に浸るゾーイ。

だが________


パァァァァァン!


ゾーイ「......は?」


突如、大きな黒い球体は跡形もなく消え去った。


(消えただと!? 一体なにが起こって......)


状況を理解できずに目を見開くゾーイ。

だが、その目の前には_______


ウィル「うぉぉぉぉぉぉ!!」


ズバァァァァァァァ!!!


振り抜いた渾身の風の刃がゾーイの身体を切り裂くと____

黒い血しぶきが宙を舞った。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ