第6話 もう一度、春に
春の風がやわらかく吹き抜ける頃、大学のキャンパスは淡い光に包まれていた。桜の花はまだ満開には遠いが、その蕾は確かな春の訪れを告げていた。駿と風花は、ゆっくりとした足取りでその並木道を歩いていた。
「ねえ、駿」
風花の声は少しだけ震えていた。けれどその瞳は、確かな決意を秘めていた。
「今日、一緒にこうして歩けてよかった」
駿はその言葉に微笑み、彼女の手をそっと握った。手のひらの温もりが伝わり、胸の奥にぽっと灯がともった。
「俺も。ずっと君のそばにいたい」
彼の言葉は静かに、でも強く彼女の心に届いた。
その日から、ふたりは毎日のように顔を合わせるようになった。授業の合間、図書館の窓辺、そして帰り道のカフェ。言葉を交わし、互いの気持ちを確かめ合う時間は、ゆっくりとした幸福感に包まれていた。
ある日の夕暮れ、駿はふと、風花に尋ねた。
「風花は、将来のこと考える?」
彼女は少し考えてから、穏やかな声で答えた。
「うん。君となら、どんな未来でも怖くないって思う」
駿はその言葉に胸が熱くなり、ただ「ありがとう」とだけ言った。
季節はゆっくりと移ろい、桜はつぼみから花へと変わっていった。大学のキャンパスも、春の息吹に満ちている。駿と風花は、そんな中でゆったりとした時間を過ごし、日々の些細な幸せを感じていた。
ある日の午後、ふたりはお気に入りのカフェで向かい合って座っていた。窓の外には満開の桜が咲き誇り、花びらがひらひらと舞っている。
「駿、ねえ」
風花が声を潜めて話しかけた。
「なに?」
「私ね、最近思うの。これからのこと。将来のこと。」
駿はじっと彼女の目を見つめる。
「うん、俺も考えてるよ。君と一緒に歩いていける未来のことを。」
「私、ずっと不安だった。だけど今は、君となら怖くないって思える。どんなことがあっても、二人なら大丈夫って。」
その言葉は、優しく、確かに駿の心を満たしていった。
数日後、桜並木の下で駿はそっと風花の手を握った。
「風花、これからもずっと一緒にいてくれるか?」
風花は照れくさそうに微笑み、頷いた。
「うん、ずっと。」
二人はそっと見つめ合い、時間がゆっくりと流れていった。
満開の桜の花びらが舞い散る中、駿と風花は手をつなぎながら歩いていた。彼らの未来は、春の陽光のように輝いていた。
「駿、あの日からずっと思ってたんだ」
風花が静かに話し始めた。
「君と一緒にいると、毎日が特別で、何気ない日常が宝物に思える」
駿は彼女の手を強く握り返した。
「俺もだよ、風花。君となら、どんな困難も乗り越えられる」
その言葉に、風花の目に涙が浮かんだ。
「これからもずっと、君と一緒に春を迎えたい」
駿は頷き、優しく微笑んだ。
「ずっと、一緒にいよう」
二人の未来はまだ白紙のページだが、確かな絆とともに、新しい物語が始まったのだ。
風花と駿は、これからもずっと、春の訪れを二人で祝福し続けるだろう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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